コラム

「ドメーヌ」「シャトー」「キュヴェ」「クリュ」――ラベルに書かれたあの言葉の意味・違いとは

ワインを調べると何度も目にする「ドメーヌ」「クリュ」「シャトー」といった言葉。これらの言葉の意味・違いを、正確に理解できているだろうか。

これらの言葉を「本来の意味」「産地で異なるワインの分類表記」に分けて、あらためて整理してみたいと思う。

「ドメーヌ」の意味

本来の意味

ドメーヌとはフランス語で、区画や区域、領地、領主のことを指す。

ワインにおいての意味

自分の畑で収穫されたぶどうを使用し、自分で瓶詰め、醸造する者のことを指す。ブルゴーニュやローヌ地方などでよく使われる言葉だ。

ボルドーの「シャトー」が自社畑のぶどうを自社で瓶詰めしているのを指すのとほぼ同義だが、違うのは規模だ。大規模な畑を所有するボルドーのシャトーとは違い、ドメーヌ生産者は1ha未満の畑でこつこつとぶどうを育て、ワインに仕立てる職人的なニュアンスがある。

Corton Bressandes Grand cru

「シャトー」の意味

本来の意味

シャトーとは、フランス語で城のことを指す。

ワインにおいての意味

主にボルドーで見られる自社畑で収穫したぶどうを使用し、瓶詰め・醸造する者を指す。ボルドー地方では代々、この作り手が優美なシャトー=城を所有し、そのシャトーを中心にワインをつくってきた。

ボルドーの有名シャトーの多くは数十haに及ぶ広大な畑を所有する。ただ、条件を満たせば小規模な作り手でも「シャトー」を名乗ることができる。ボルドーだけでも8000を超えるシャトーが存在する。

またその他の地方でも、規模の大きい作り手はシャトーを名乗ることが増えてきた。

P1140823

「クリュ」の意味

本来の意味

クリュとは、フランス語で直訳すると「成長する」という意味になる。一般的にはワイン用のぶどう園、ぶどう畑のことを指す。

ワインにおいての意味

ブルゴーニュ、ボルドー共に、ワインまたは畑の格付けに使われる。

まず、ブルゴーニュでは畑に格付けがされ、「一級畑=プルミエ・クリュ」「特級畑=グラン・クリュ」と呼ばれる。この格付けされた畑のぶどうを使って、複数の作り手がワインをつくる。日本語でクリュと聞くことが最も多いのは、このブルゴーニュの格付けだろう。

ボルドーの場合は格付け方法が異なり、作り手であるシャトーが格付けされる。こちらもフランスでは「第一級=プルミエ・クリュ」といったような表現をする。

さらには、いわゆる「ボルドー格付け」に含まれなかったAOCメドック産の良質なワインを「クリュ・ブルジョワ」と格付けている。

Chambertin Grand Cru 1991 Trappet

「キュヴェ」の意味

本来の意味

キュヴェとは、発酵槽を意味するキューヴから派生したと言われている。

ワインにおいての意味

何か特定な作り方や製品、分類を指すわけではなく、さまざまなケースで使われている。特に使われるのが多いのは「造り手こだわりのワイン」を指すときだ。

なお、シャンパーニュにおいてはアサンブラージュ(ブレンド)されたワインのこと、また一番搾り果汁のことを指す。

Cuvee 2011 selected wines

このように、同じ言葉でも地方により意味合いが異なってくる。ニューワールドや日本のワインも、フランスにならった名称を付けていることが多いので、基本的なところは覚えておこう。

ワインを選ぶときの参考になれば

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身