コラム

シャンパーニュでNo.1の評価を得た、ルイ・ロデレール【シャンパーニュ一押しメゾン】

   

日本でも多くの人に飲まれているシャンパーニュ(シャンパン)。そのシャンパーニュを語る上で覚えておきたいつくり手を紹介する本シリーズ、前回のモエ・エ・シャンドンに続き、今回はさまざまな場面で「No.1」と評価されてきたルイ・ロデレールを取り上げたい。

Louis Roederer

ルイ・ロデレールのエピソード

専門誌や世界的なコンペティションで認められたシャンパーニュの“No.1”

シャンパーニュのつくり手が数多くある中で、ルイ・ロデレールはこれまでに何度も“No.1”の評価を得てきたメゾンだ。

2013年には、フランスのワイン専門誌「La Revue du vin de France」がシャンパーニュを手掛けるメゾン68軒のランキングを作成。700本ものワインを試飲して検討を重ねた結果、ルイ・ロデレールを第1位とした。

また、スパークリングワインの世界的なコンペティション「シャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権」において、2016年にルイ・ロデレールの「クリスタル・ブリュット 2002(マグナムボトル)」が最高賞「シュープリーム・ワールドチャンピオン」に輝いた。

2016年の同コンペティションでは、ルイ・ロデレール自体が「スパークリングワイン・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、「ブリュット・ロゼ2010」が「ワールドチャンピオン・クラシック・ブリュット・ロゼ」に、先ほどの「クリスタル・ブリュット 2002」が「ベスト・フレンチ・スパークリングワイン」に選出されるなど、華々しい成果を収めた。
Louis Roederer Août 2009

クリスタルガラスに詰められたルイ・ロデレールの顔「クリスタル」

ルイ・ロデレールには「クリスタル」というプレステージ・シャンパーニュがある。クリスタルは1本数万円もする高級シャンパーニュだ。日本でも2018年からJALの国際線ファーストクラスで提供されるなど、最上級の評価を受けている。

1876年に、ルイ・ロデレールを愛したロシア皇帝アレクサンドル2世が自分専用の最高級品をつくるようにと依頼。最高水準のシャンパーニュをクリスタルガラスの瓶に詰めて納めたことから、この最高峰のシャンパーニュは「クリスタル」と呼ばれるようになった。

アメリカでも、ヒップホップのミュージックビデオに登場するなど、クリスタルはセレブの間で愛される逸品だった。しかし2006年に、販売会社の役員が黒人ラッパーに好まれるのは本意ではないと人種差別的な発言をしてしまい、クリスタルの不買運動が起きてしまった。

Louis Roederer Cristal

ルイ・ロデレールの歴史

ルイ・ロデレールの母体となったメゾンは、アメリカ独立宣言が採択された1776年に設立された。

「ルイ・ロデレール」の名の由来となったルイ・ロデレール氏がメゾンの当主となったのは、1833年のこと。シャンパーニュ地区には、農家からぶどうを買い付けて醸造するメゾンが多い中、自社でぶどう栽培から取り組むようになった。

1845年にはヴェルズネ村のグラン・クリュ(特級畑)を15ha取得。自社畑を管理するようになったことで、それぞれの区画から採れるぶどうの特徴をより詳しく把握できるようになった。

1870年代からは、フランス国外への輸出を開始。前述のようにロシア皇帝アレクサンドル2世にも愛飲され、看板商品「クリスタル」を生み出すことになる。

第1次世界大戦が終わり1920年代に入ったが、大戦の影響から大半のぶどう畑が荒廃してしまっていた。後に当主となるレオン・オルリー・ロデレール氏は、畑の再生に着手するとともに、複数の収穫年のぶどうをブレンドしてバランスと品質を安定させた「ブリュット・プルミエ」の基礎となる技術を確立した。

現在は7代目のフレデリック・ルゾー氏が経営に当たり、年間輸出総量は300万本にまで規模を拡大している。

Louis Roederer

ルイ・ロデレールのワインづくりの特徴

品質第一。家族経営を240年以上続ける

ルイ・ロデレールは創業から現在に至るまで、家族経営を続けるメゾンだ。

営利を最優先としなくても済む家族経営というやり方を貫くことで、高品質なシャンパーニュを生み出すことに、こだわれるようになっている。

410の区画、それぞれの特徴を最大限引き出すぶどう栽培

ルイ・ロデレール氏がぶどう栽培から一貫したワインづくりを手掛けるようになって以来、ルイ・ロデレールのミレジメ(単一年のぶどうでつくるヴィンテージワイン)は自社畑で採れたぶどうを100%使用してつくられている。

ルイ・ロデレールが所有する畑は、2013年時点で約240ha。どの畑もグラン・クリュか、プルミエ・クリュ(1級畑)だという。

広大な畑は、410の区画に分けられる。区画ごとに異なる環境・土壌を考慮に入れ、伝統的な農法を守り、150の区画ではビオディナミ農法を採り入れるなど、それぞれの区画に適したぶどうの栽培方法を模索している。
Cristal in the Making

区画ごとにタンク醸造。巧みなブレンドにより安定して高品質を生み出す

こうした区画ごとの特徴を引き出したぶどうは、これまた区画ごとに最適なタイミングで手摘みにより収穫。その場ですぐに圧搾して果汁を集め、新鮮なまま醸造工程に入る。

醸造にはステンレスタンクを使用。450以上のタンクを用いて、区画ごとに分けたまま醸造していく。醸造中は毎日テイスティングして、区画ごとの特徴を分析・記録して分類する。それだけ多くのワインを巧みにブレンドし、安定的に高品質なシャンパーニュを生み出している。

ルイ・ロデレールのおすすめワイン

クリスタル

良質なぶどうが採れた年だけ生み出されるプレステージ・シャンパーニュ。セラーで6年熟成された後、澱を取り除いてさらに8カ月保存されてから出荷される。20年以上の熟成が可能だ。

ピノ・ノワールを60%、シャルドネを40%でブレンドする。口当たりはやわらかく、フルーティーなアロマ、力強いミネラルが特徴。白い花と柑橘類のニュアンスも感じられる。
Cristal Louis Roederer

ブリュット・プルミエ

ルイ・ロデレールが手掛けるスタンダード・シャンパーニュ。50区画以上で複数年にわたって収穫されたぶどうをブレンド。発酵にはオーク樽を用いて、セラーで3年間熟成させた後、澱引きしてさらに6カ月熟成させる。

セパージュはピノ・ノワール40%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエ20%。しっかりとした骨格を持ち、上品でいきいきとした味わい。バランスに優れ、持続性のある非常に芳醇なシャンパーニュに仕上がっている。

Champagne Louis Roederer

ブリュット・ナチュール

2006年から発売となったルイ・ロデレールの新製品。シャンパーニュでは一般的な補糖(ドサージュ)をしないで仕上げるノン・ドサージュのシャンパーニュで、2006年に次いでつくられた2009年のヴィンテージは「ロデレールのシャンパーニュの中でも、おそらく最もロデレールらしくないシャンパーニュであり、最も現代的なシャンパーニュ」だという。

「誠実」「最小限」「現代性」といったキーワードを意識してつくられている。すっきりとした酸味でバランスが取れている。糖度が高く濃密で力強い風味を持つ。

Roederer Launches New Brut Nature Champagne

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