コラム

もうワインの澱(おり)の除去に悩まない!? デキャンタージュなしで澱を取り除いてくれるグラスが登場

ヴィンテージワインに生じる澱(おり)。赤ワインの場合は色素成分やタンニンが、白ワインの場合はミネラル成分が結合して発生したものだ。

澱には渋みや苦みがあるので、口の中に入るとあまり心地の良いものではない。ワインに澱があったら、開栓前にワインを立てて下に沈め、さらにデキャンタージュをして除去してからグラスに注ぐのがいいだろう。

ゆっくりとボトルを傾け、澱(おり)の入らないようにワインを注ぐところからヴィンテージワインを楽しんでいるという人もいるかもしれない。けれど、この作業がどうしても得意ではない人や、万が一でも口の中に澱(おり)を入れたくない人もいるだろう。

そんな人にとって、うれしいワイングラスが誕生した。

Champagne / from grapes to bubbles

澱(おり)を取り除くデキャンタージュとは

「デキャンタージュ」とは、ワインをボトルからグラスに直接注がずに、1度デキャンタというガラスの容器に移してから注ぐことだ。

熟成させたワインで生じる澱(おり)を取り除き、ワインをデキャンタに移すことで空気に触れさせて香りの華やかさや味の複雑さなど、そのワインの持つ個性を引き出すことがデキャンタージュの目的だ。

デキャンタージュによって澱(おり)を除去するためには、できるだけ静かに抜染したり、ボトルの中のワインが残り半分になったらさらにゆっくりと注ぐようにしたり、ボトルネックをよく見て澱(おり)がデキャンタに入らないように気を付けたりと、なかなか難しい作業になる。

last dregs: zinfandel

ボトルからグラスに注ぐだけ

Kickstarterで6月15日まで注文を受け付けていた「The Spirale Wine Glass」は、デキャンタージュの手間を省けるグラスだ。

グラスの底にスパイラル型のくぼみがついている。

ここにワインを注ぐと

澱(おり)はくぼみの部分にたまり

グラスを傾けても口の中には入らない。

600を超えるサンプルをワインのエキスパートたちに送ったところ、「機能的だし見た目もスタイリッシュ」「洗うのも楽」「ユニークで会話のネタにもなる」などの評価が返ってきているそうだ。

目標を大きく超える反響が集まった

Kickstarterは、一定期間中に支援金が目標金額に達すると、支援者に向けて商品が送られてくる仕組み。もし出資が十分に集まらないとキャンセルになってしまう。

The Spirale Wine Glassは、目標金額4万8000ドル(約530万円)でスタートしたところ、2カ月で8万5000ドル(約940万円)を超える金額が集まった。

The Spirale Wine Glassの小売価格は35ドル(約3900円)という設定だった。現時点ではKickstarterでのプロジェクトが終了となっているため今から入手できるかは不確かだが、日本でも取り扱われる日は来るのだろうか。

<関連リンク>
ワインをデキャンタージュする意味・やり方は? 飲み頃になる時間はどう判断すべき?

The Spirale Wine Glass

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ