コラム

40年前と比較:日本でワイン、どのくらい飲まれてる? 実は○○倍も消費は増えていた

国税庁発表の資料によると、2015年のワイン消費数量は4年連続で過去最高を更新。2012年から“第7次ワインブーム”に入ったと言われている。

第1次ワインブームは1972年。それから現在の第7次ワインブームに至るまで、日本ではどのようなワインブームが起きてきたのだろうか。詳しく調べてみると、ここ40~50年の間で、日本でも驚くほどワインが日常的に飲まれるようになっていた。10年前、40年前と比較して、日本人はどのくらいワインをたくさん飲むようになってきているのだろうか。

第1次ワインブーム(1972年)

1964年の東京オリンピックをきっかけに、東京都内でワインを楽しめる場所が増加。さらに1970年の大阪万博で西洋の食文化が浸透して食生活が多様化。そこに外国産ワインの輸入が自由化されたのをきっかけとして、第1次ワインブームが訪れた。

1972年の消費数量は8986 kL。1973年にはさらに消費を伸ばして、1万4545 kLを記録して“ワイン元年”と呼ばれるようになった。

第2次ワインブーム(1978年)

第2次ワインブームを生んだのは、「サントリーワインレゼルブ」などの1000円前後のワインだった。1979年には山梨県勝沼町(現在の甲州市)がワイン原産地認証制度を制定している。

1978年の消費数量は3万6610 kL。1979年は消費数量4万1769 kLだった。

勝沼

第3次ワインブーム(1981年)

第3次ワインブームが起きたころには、急激な円高のために輸入ワインの価格が下がり、さらに低価格な一升瓶ワインなどの地ワインが人気を集めた。

1981年の消費数量は5万1662 kL。1982年は消費数量5万9494 kLだった。

第4次ワインブーム(1987年~1990年)

第4次ワインブームでは、日本に上陸したボジョレー・ヌーヴォーが人気に。解禁日にはあちこちで「解禁パーティー」が開催された。また、時代はバブル景気を迎えて高級ワインもブームとなった。

1987年の消費数量は8万443 kL。1989年には10万kLを超えて、消費数量11万2777 kLとなった。

ブームが過ぎ去った1991年以降は、3年連続で前年度よりも消費数量が下回る結果に。しかし、11万kLを下回ることはなかった。

ボジョレー・ヌーヴォー

第5次ワインブーム(1994年ごろ)

バブル経済も崩壊し、サントリーの「デリカ・メゾン」といったワンコインワインがブームとなった。1995年にはソムリエの田崎真也さんが、第8回世界最優秀ソムリエコンクールで優勝。日本人初の快挙もワインブームの追い風となった。

1994年の消費数量は12万2904 kL。1995年は消費数量14万4294 kLだった。

第6次ワインブーム(1997年~1998年)

動脈硬化を予防する効果など、ポリフェノールの健康効果に注目が集まって起きたのが第6次の赤ワインブームだ。

1997年には消費数量は初めて20万kLを超えて22万4774 kLとなり、前年比41.0%増という大きな伸び率を記録した。この勢いは翌年も続き、1998年は29万7883 kL(前年比32.5%増)となった。

ワインブームの反動が

1998年には消費数量が30万kL直前となったものの、その後は連続してワインの消費数量はダウン。2003年には消費数量が23万6942 kL(前年比8.5%減)と大幅に下がり、2004年には消費数量22万5543 kL(前年比4.8%減)となった。

第7次ワインブーム(2012年)

2008年9月に起きたリーマン・ショックはワイン市場にも悪影響を与えた。それでも2009年以降、ワインの消費数量は順調に成長してきている。

2012年には消費数量が第6次ワインブームを超えて、32万785 kLに。以降、2015年までの消費数量は、4年続けて過去最高を更新している。

その背景にあるのは、チリ産などの低価格輸入ワインの市場が拡大し、食卓や外で“ワインを飲む”という行為が日常化しつつあることだろう。

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何度もブームを迎えては収束してきた日本のワイン市場だが、それでも1972年と2012年を比べると、40年間でワインの消費数量は35.7倍に。2005年と2015年の比較でも1.6倍に増えている。

第7次を迎えたワインブーム、今回はブームから定着に向かうのだろうか。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ