コラム

”モノ”としての定番ワインより、ちょっと冒険して希少なワインと出会う”コト”を楽しむように――米Wine Accessレポート

「若者が以前と比べてお酒を飲まなくなってきた」と見る向きもある。ワインバザールも以前公開したレポートで、20代男性の39.8%が1カ月に1回もお酒を飲まない現状をお伝えしたことがある。

一方でアメリカでの話にはなるが、「“ミレニアル世代”(1980年代~2000年代初頭に生まれた世代)こそがワインの消費を牽引するようになる」とうたうレポートがこのほど登場した。

同レポートを2018年1月30日に公開したのは、ワイン関連のWebサービスを展開する「Wine Access」。アメリカ中のワイン愛好家1800人を対象として、ワインの購買傾向を調査した。

世代別の年間ワイン購入額については、“X世代”(1960年代~1970年代に生まれた世代)の購入額が最も多く、年間で平均5717ドル(約62万2000円)を使っていた。“ベビーブーマー世代”(1946年~1964年に生まれた世代)のワイン購入額は年間で平均4900ドル(約53万3000円)、“ミレニアル世代”は平均4163ドル(約45万3000円)だった。アメリカでも、年若い“ミレニアル世代”のワイン購入額は他の世代よりも多くないのが現状だ。

同レポートでは、向こう数年間は“X世代”がワイン市場の主役になると分析。“X世代”は仕事の面でステップアップして収入が増加し、1本70ドル以上(約7600円)するワインを1カ月に1本以上は楽しみ、ワインクラブに参加する人の割合も最も多いという。


“X世代”は“ミレニアル世代”よりも自由に使えるお金があり、ワインのニュアンスを楽しむために時間を使い、ワインにお金をかける価値を理解する人が多くいる。

ただ“ミレニアル世代”に目を向けると、現状のワイン購入額については“X世代”よりも少ないが、75%が「もっとワインにお金を使いたい」と希望している。

ここ数年間の傾向として、所有することに価値を置く“モノ消費”より、得がたい体験を重視する“コト消費”がアメリカでも広まっている。“ミレニアル世代”こそが“コト消費”に積極的で、旅行や外食、ワインなどにお金を使う“コト消費”を牽引してきているのだという。


ワインの購買に関しても“コト”を重視する傾向が現れ始めているのか、伝統的に「おいしい」と言われてきた定番品種のワインばかりを選ぶのではなく、無名のワインであってもちょっと冒険して試してみようとする動きが広まってきたそうだ。

そうした動きが顕著に現れているのが“ミレニアル世代”であり、彼らの65%は「希少なワインや普段見掛けないワインを探し出したい」と望んでいる。“ミレニアル世代”がこうした冒険好きな志向を持っていることから、彼らの世代こそがワインの“コト消費”を引っ張っていくだろうと同レポートでは主張している。

<関連リンク>
Through The Grapevine Q1’18
New Data: Millennials Plan to Spend More Money on Wine than Any Other Age Group

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