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世界各地の覚えておきたい代表的なワイナリーを取り上げていく本シリーズ。今回から、ニュージーランドの名門ワイナリーを紹介していきたい。
今回はニュージーランドでは珍しく、外国資本の傘下に入っていない純粋なニュージーランドワイナリーであり、ニュージーランドで最多の受賞歴を誇る「ヴィラマリア」について、ご紹介していこう。
ヴィラマリアのエピソード
ヴィラマリアは国内だけでなく、国際的なワインコンクールでも数々の賞を受賞している。権威あるコンクール「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)ではソーヴィニヨン・ブラン部門で2年連続金賞を獲得した実績がある。コンクールでの受賞数は、ニュージーランドのワインメーカーの中で35年以上、最多を誇っている。
さらに、イギリスの権威ある専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が発表した「世界で最も称賛されるワインブランド」では、2015年、2016年の2年連続で、ニュージーランドワインで唯一、トップ10に選出されている。このように、ヴィラマリアは国際的に非常に高く評価されていて、ニュージーランドのワイン、特にプレミアムワインを牽引するワイナリーとなっている。
ニュージーランドのワイン市場においてヴィラマリアの販売量は第3位で、およそ10%のシェアとなっている。さらにプレミアムワインに限ると20%のシェアを誇る。現在、ヴィラマリアのワインは世界60カ国以上に輸出されている。
ヴィラマリアの歴史
ヴィラマリアは1961年に、ジョージ・フィストニッチ氏がオークランドに設立したワイナリーで、現在まで外国の資本が入っていない純粋なニュージーランドワイナリー。フィストニッチ氏が父親から借りたおよそ2haの土地で始めたワイナリーは、現在では、北島のギズボーン、ホークスベイ、オークランドと南島のマルボロウに自社畑を保有するほか、栽培研究チームが直接管理する約80の契約農家からぶどうを購入するマンモスワイナリーに成長した。さらに規模だけでなく、品質の面でもニュージーランドをリードするワイナリーとなっている。
21歳でワインづくりを始めたフィストニッチ氏は、自身のワイナリーを大きく成長させただけでなく、長年にわたりニュージーランドのワイン産業にも貢献してきた。その功績が認められ、2009年にニュージーランドのワイン業界では初めてとなる「ナイト」の称号を与えられた。
ヴィラマリアのワインづくり
質の良いぶどうは質の良いワインのエッセンス
「質の良いぶどうは質の良いワインのエッセンス」という信念のもと、ヴィラマリアは良い畑で品質の高いぶどうを栽培している。北島のギズボーン、ホークスベイ、オークランドと南島のマルボロウにぶどう畑を所有しているが、その畑は、各地域で最良の畑と評されている。
ヴィラマリアでは、高品質のぶどうをつくるために、ぶどうの房を少なくしている。そのため、ヴィラマリアの畑では、平均収穫量が1haあたり4200Lと、ニュージーランドの平均収穫量6300Lを大きく下回っている。
収穫したぶどうは、新鮮な状態を保ったままオークランドとマルボロウにある2カ所のワイナリーへ運ばれて、醸造、熟成される。ボトリングは、オークランドのワイナリーで厳しい品質管理のもと行われる。
最先端のワイナリー
ヴィラマリアは、ニュージーランドで最先端のワイナリーとして知られている。スクリューキャップの利点を早くから検証し、コルクの欠けなどによる不良品や、空気の流入によってワインの味わいに差が出るなど、コルクの欠点をスクリューキャップで改善できると考えた。そして、2002年ヴィンテージから世界に先駆けて、全ての製品にワイン専用のスクリューキャップを採用した。またヴィラマリアは、最新型のステンレス製開放桶を使用して赤ワインを醸造している。
家族経営の考えを根幹におくワインづくり
ニュージーランドでは、メジャーワイナリーの多くが外国資本を導入している。マンモスワイナリーとなったヴィラマリアだが、規模が大きくなっても品質へのこだわりを貫くために家族的な考えを大切にし、家族経営を守り続けている。その一つとして、「家族として次世代に残す環境に責任を持つ」という考えのもと、環境に配慮したワインづくりに取り組んでいる。「サステイナビリティ」を推し進めているニュージーランドワイン業界の中でも、ヴィラマリアは早くから有機栽培を導入し、リーダー的な役割を担っている。
ヴィラマリアのおすすめワイン
ヴィラマリア プライベート・ビン ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランは、ニュージーランドワインを代表する品種。マルボロウ地区のワイラウヴァレーとアワテレヴァレーで収穫されたぶどうを使用する。マルボロウのワイナリーで、それぞれ異なるステンレスタンクで低温発酵させた後、タンクごとの個性を生かしつつ、ブレンド。「ヴィラマリア プライベート・ビン」シリーズは高品質なぶどうを使用し、品種の味わいをストレートに表している。
ヴィラマリア プライベート・ビン リースリング
マルボロウ地区のワイラウヴァレーとアワテレヴァレーのぶどうを使用。早朝の涼しい時間帯に収穫したぶどうを丁寧に搾汁し、低温発酵する。タイミングをみて発酵を止め、オフドライに仕上げている。
ヴィラマリア リザーブ ピノ・ノワール
マルボロウ地区のアワテレとサザンヴァレーのぶどうを使用。最上クラスの畑で栽培され、収量は1本の木から2~ 3.5kg と低い。そのぶどうをさらに厳しく選別し、12~16カ月間、樽で熟成させる。2008年のインターナショナル・ワイン・チャレンジで2006年ヴィンテージが金賞を受賞。