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ニュージーランドの名門ワイナリーを紹介する本シリーズ、今回はニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランの素晴らしさを世界に認めさせた「クラウディ・ベイ」について、ご紹介していこう。
クラウディ・ベイのエピソード
ニュージーランドワインは、クラウディ・ベイが世界に広めたと言っても過言ではない。クラウディ・ベイがあるマールボロは、ニュージーランド南島の北端に位置し、ニュージーランドで最も日照時間が長い地域。そのため、ぶどうが良く熟成される。また、昼夜の温度差が大きいために凝縮感と酸味を併せ持つエレガントなぶどうができる。
クラウディ・ベイは、良く熟成されたエレガントな味わいのマールボロ産ぶどうを使い、それまでのソーヴィニヨン・ブランのイメージを覆すほど濃縮されたピュアな果実味と豊かな香り、そして爽快さを持つワインをつくりあげた。1996年ヴィンテージのソーヴィニヨン・ブランがワイン専門誌ワインスペクテイターで、高級プレミアム・ワインに匹敵する94点を獲得。それは、「世界でもっとも美味しいソーヴィニヨン・ブラン」と絶賛された。その結果、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの素晴らしさが世界に広まり、ニュージーランドワインの地位が向上した。
今日では、ニュージーランドのマールボロは、フランスのボルドーやロワールと並んでソーヴィニヨン・ブランの三大産地として知られるようになった。
クラウディ・ベイの歴史
マールボロを初めに開拓したワイナリー
クラウディ・ベイは、1985年にオーストラリアのケープメンテルのオーナーであるデイヴィッド・ホーネン氏が設立した。クラウディ・ベイは、マールボロに最初に設立された5つのワイナリーのうちの1つ。当初、マールボロはぶどう栽培地に不向きな土地と考えられていた。しかし、ホーネン氏は、マールボロの土地の可能性を信じ、素晴らしいぶどう栽培地、ワイン生産地に育てあげた。そして1985年、ソーヴィニヨン・ブランのファーストヴィンテージの発売とともにワイナリー「クラウディ・ベイ」を誕生させた。
クラウディ・ベイというワイナリー名は近くの湾「クラウディ・ベイ」に由来している。この湾は、冒険家のキャプテン・クックが川の氾濫で水が濁った湾を見て「クラウディ・ベイ(cloudy bay)」と名づけたと言われている。
挑戦し続けるワイナリー
クラウディ・ベイは、1985年にソーヴィニヨン・ブランを誕生させた後、1986年にシャルドネ、1987年にスパークリングワインのペロリュス、1994年に赤ワインのピノ・ノワールを発売した。さらに、2000年になるとテ・ココを誕生させた。
テ・ココは、1985年に発表したソーヴィニヨン・ブランと同じく、ソーヴィニヨン・ブラン100%でつくられているワイン。しかし、このテ・ココは、1985年にクラウディ・ベイが印象づけた「爽快さ」とは対照的な「ボリューム」を感じさせる味わいを持っていて、またも世界を驚かせた。
2016年には、テ・ワヒをリリース。「ニュージーランドで最も表現豊かなピノ・ノワールをつくる」という目標を掲げ1994年に発表したピノ・ノワールをさらに進化させるべく、南島の南に位置するセントラルオタゴに場所を移し、誕生させた。テ・ワヒ(Te Wahi)はマオリ語で「その場所」を意味する。その言葉通り、セントラルオタゴ産ピノ・ノワールの特徴が良く出たワインだと評されている。
このように、クラウディ・ベイは常に新しいことに挑戦しつづけ、ニュージーランドのワイン界を牽引している。
クラウディ・ベイのワインづくり
土地に最も適した品種を使う
クラウディ・ベイでは、「土地に最も適した品種からプレミアム・ワインをつくり続けることが成功の鍵である」という信念のもと、ワインをつくっている。品種によって栽培する場所を変え、その品種の特徴が最大限に引き出されるようなワインづくりを続けている。
また、ぶどうの扱いにも細心の注意を払っている。適切な糖度にまで熟したぶどうを手で収穫し、ぶどうが自らの重みでつぶれてしまわないよう、収穫には小さなバスケットを使用している。
環境への配慮
クラウディ・ベイは、ぶどう栽培やワインづくりだけでなく、それらを取り囲む環境にも配慮している。ぶどうの搾りかすを栽培地の堆肥や腐葉土として再利用したり、ワイナリーから出る廃水をワイナリー周辺の森林の灌漑対策に使用したりしている。さらに、土地固有の鳥であるエリマキミツスイが住む林の生態系を存続させるために、栽植も行っている。
クラウディ・ベイのおすすめワイン
クラウディ・ベイ ソーヴィニヨン・ブラン
クラウディ・ベイを代表する辛口の白ワイン。クラウディ・ベイのアイコンというだけでなく、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを世界に示したワイン。ソーヴィニヨン・ブラン100%でつくられている。
クラウディ・ベイ テ・ココ
ソーヴィニヨン・ブランと同じくソーヴィニヨン・ブラン100%でつくられる辛口の白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランの爽快さとは対照的にボリューム感を出したワインで、やはり、クラウディ・ベイを代表するワインとなっている。