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カリフォルニアワインの名門ワイナリー「ロバート・モンダヴィ」が、新作「ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクション バーボン・バレルエイジド」の日本での販売を2019年2月26日に開始した。これを記念して、同年4月16日にロバート・モンダヴィに関するセミナーが東京都内で開催された。
セミナーには、ロバート・モンダヴィのブランドアンバサダーを務める加藤勝也氏が登壇。加藤氏は、ロバート・モンダヴィの歴史やそのワインづくりについて紹介した後、バーボン・バレルエイジドの特徴について説明した。
カリフォルニア随一の本格ワイナリー「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」
モンダヴィ氏の生い立ちとワイナリー設立まで
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの創設者であるロバート・モンダヴィ氏は、カリフォルニアワインを世界的に認知されるレベルにまで高めた第一人者であり、今や“カリフォルニアワインの父”と称されている。
モンダヴィ氏は、1913年6月18日にミネソタ州ヴァージニアで誕生した。両親はイタリア・マルケ州からの移民で、中央イタリア特有の価値観や伝統の中で育った。父親がカリフォルニアのローダイ地区にワイン農園を開く実業家だったため、幼い頃からワインは身近にあった。
当時のアメリカは禁酒法が施行されていたが、加藤氏によると、「キリスト教ではワインはキリストの血と考えられているので、禁酒法の時代でもワインづくりは一部のつくり手には認められていた。実際に当時、十数のワイナリーが存在していた」という。
モンダヴィ氏は長じて後、スタンフォード大学に進学し、経済学と経営管理学の学位を取得。30歳になった1943年に、初めてワイナリーの経営に参画した。自らの名を冠したワイナリー「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」を設立したのは、53歳に達した1966年のことである。
加藤氏は、「ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは、1933年の禁酒法廃止以後、カリフォルニアのナパ・ヴァレーで最初に誕生した本格的なワイナリーだ。禁酒法が廃止されても、1966年までの33年間、本格的なワイナリーは全く生まれなかった。ロバート・モンダヴィのワイナリー設立は、アメリカのワイン史におけるターニングポイントとなった」と説明する。
カリフォルニアで初めてソーヴィニヨン・ブランの辛口ワインを展開
イタリア人の両親のもとに生まれ、イタリア流のワインづくりに触れながら成長したモンダヴィ氏だが、ワインの勉強のため、フランスには頻繁に足を運んだ。フランスでは、ステンレスタンクやフレンチオーク樽の使用のほか、低温発酵など、ファインワインづくりの技術を積極的に学んだという。
中でも、モンダヴィ氏の心を強く動かしたのが、フランスのロワール地方に伝わるソーヴィニヨン・ブランを使った伝統的なワインづくりだ。ソーヴィニヨン・ブランにカリフォルニアワインのつくり手としていち早く着目したモンダヴィ氏は、ワイナリー設立の年に収穫したソーヴィニヨン・ブランを樽発酵/樽熟成させ、設立から2年後に「フュメ・ブラン」(1966ヴィンテージ)と名付けて世に出した。
フュメ・ブランは、その辛口の味が受け、好評を博した。「当時のカリフォルニアでは、他のワイナリーもソーヴィニヨン・ブランのワインを出していたが、そのほとんどは甘口だった。その上、他のぶどう品種も混醸されていた。モンダヴィ氏はそれを単一品種でつくり、辛口で展開した」と加藤氏は話す。
ロバート・モンダヴィはアメリカ国内で躍進しただけでなく、グローバル化にも成功。1979年には、フランスのボルドーで「シャトー・ムートン・ロートシルト(ロスチャイルド)」という一級シャトーを所有するバロン・フィリップ・ロートシルトと共同で、「オーパス・ワン」を創設。また、1995年には、イタリアのフレスコバルディ侯爵家とのジョイントベンチャーを開始し、「ルーチェ」を設立した。その後も海を越えて、彼のパートナーシップはさらに広がっている。
冷涼気候で育ったぶどうを使った「バーボン・バレルエイジド」
ぶどう産地別に3つのブランドを展開
そんなロバート・モンダヴィには現在、使用するぶどうの産地に応じて、「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」「ウッドブリッジ」「プライベート・セレクション」の3つのブランドがある。新発売のバーボン・バレルエイジドは、このうちのプライベート・セレクションから展開される。
プライベート・セレクションの価格帯は、ナパ・ヴァレー産の銘醸ワインを展開するロバート・モンダヴィ・ワイナリーと、セントラル・ヴァレー(ローダイ)産のデイリーワインを展開するウッドブリッジの中間に相当する。プライベート・セレクションで使用するぶどうの主産地は、カリフォルニアのセントラル・コーストである。
冷涼気候で育ったぶどうを使用
セントラル・コーストは、寒流が入り込むモントレー湾の周辺に位置している。そのため、気候は至って冷涼だ。加藤氏によると、冷涼気候で育ったぶどうを使ったワインづくりが昨今のトレンドだという。同氏は、「冷涼気候で生育されたぶどうでつくったワインは、酸味がきちんと豊かに表現され、エレガントなスタイルになる」と説明する。
ただし、冷涼とはいうものの、やはりカリフォルニアであるため、一日の中に、霧、風、涼しさと温かい日照という気候の要素が混在している。これらの気象条件がぶどうをゆっくりと成熟させ、果実の風味が詰まったワインを形成する。
バーボン・バレルエイジドは、このようなセントラル・コースト産のぶどうの中でも、モントレー・カウンティ産のぶどうを使用。その味わいは、エレガントな酸味、豊かな果実味、滑らかなタンニンが見事に調和している。
加藤氏は、「セントラル・コーストのぶどうは、甘やかな果実味もきちんと同居している。バーボン・バレルエイジドの最大の特徴は、酸味と果実味の共存。世界中を見渡しても、これを成し得たワインを他に見つけるのは難しいと思う」と語る。
バーボン樽由来のスモーキーフレーバーが特徴
バーボン・バレルエイジドの特徴は、他にもある。アメリカ南部のバーボン・ウイスキー熟成の伝統を、ワインづくりに組み合わせたことだ。
バーボン・バレルエイジドはその名の通り、バーボン樽で熟成されている。そのため、オーク由来の甘さやスモーキーなフレーバーがあり、独特の香りと風味が楽しめる。
「バーボン樽での熟成は、クラフトビールやスピリッツでは盛んに行われてきた歴史がある。しかし、これをワインづくりに取り入れるのは珍しい」と加藤氏はいう。
バーボン・バレルエイジドの魅力は、ぶどうがもたらす酸味や果実味と、バーボン樽からくる香りや風味の相乗効果だ。飲み口にはバニラのような香りが匂い立ち、味わいは果実味が豊富でクリーミーながら、後味には際立つような酸味と余韻が続く。加藤氏いわく、「飲んだ後には、バーボン由来のスモーキーな香りが追い風のように口中に漂ってくる」。
また、そのスモーキーなフレーバーゆえに、焼き上げた肉との相性は抜群だ。炭火焼、バーベキュー、燻製料理にベストマッチとのことだ。
ラインアップは、「バーボン・バレルエイジド カベルネ・ソーヴィニヨン」「バーボン・バレルエイジド シャルドネ」の2種類を用意。ボトルデザインは、ゴールドと黒を基調とした高級感あるスタイリッシュなもの。ターゲットは本格指向の50~60代をはじめ、バーボンを飲み始めの40代以下の若年層だという。