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カリフォルニアワインの収穫量、2019年は前年より少なめ
カリフォルニアワイン協会日本事務所が、「カリフォルニアワイン2019 収穫レポート」を発表した。
2019年のカリフォルニア州では、冬から春にかけて雨が多く降り、例年よりも低い気温が続く地域が多かった。そのため、果実はゆっくりと成熟を迎えた。
その結果、カリフォルニア州の多くのワイン産地で、ワイン用ぶどうの収穫は平年より1〜2週間遅く始まり、収穫量が少なくなった。
米国農務省が発表した8月の作物高レポートによると、カリフォルニア州全域の2019年の収穫量は、2018年の収穫量よりも2%低い420万トンになるという。
それでも歴史的平均の390万トンよりは若干多い。原産地呼称ワインの収穫高については、生産者は少なめから中庸と見込んでいる。
カリフォルニアワイン 主な地域の収穫レポート
ナパ・ヴァレー
ワイン用ブドウ総栽培面積:4万5433 エーカー
主力品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルロー
過去2年と比べると春の気温が少し低く、雨も多かった。そのため、芽吹きと開花が前年より2~3週間遅くなった。
一方、夏の気温は高かったため、ぶどうの生育は遅れを取り戻した。それでも摘み取りは、直近10年間の平均に比べて1~2 週間遅れで始まった。
5月に雨が多かったことと、8月下旬~9月上旬の、日中が暑くて夜が冷え込むというほぼ理想的な成熟条件により、房が大きくて果粒が重い、熟したぶどうが実った。生産者によると、収穫量は前年並みか少なめとのことだ。
ローダイ
ワイン用ブドウ総栽培面積:11万エーカー
主力品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、シャルドネ
芽吹きが遅れ、過去数年と比べて生育の開始が遅かった。5月の多雨により、いくつかの品種で開花に影響が出て、収穫量が少なめになっている。
8月中旬からは理想的な天候条件が続いたため、ぶどうの糖分は徐々に蓄えられ、つくり手はぶどうの熟成が最適なタイミングを選んで摘み取ることができた。
ハングタイムが長く、糖分の蓄積がゆっくりと進んだので、優れたバランスとフレッシュな風味を持つ果実ができたという。品質は例外なく良好とのことだ。
マデラ・カウンティ
ワイン用ブドウ総栽培面積:3万1005エーカー
主力品種:フレンチ・コロンバール、グルナッシュ、シャルドネ
低気温だった春と例年にないほどの冷夏のため、当地のぶどうは開花が遅くなった。
晩夏は酷暑で果実の成熟が進んだが、平年と比べ収穫開始が約2週間後ろ倒しになった。
品質については、例年通りに質の高いものができたという。
エルドラド・カウンティ
ワイン用ブドウ総栽培面積:2176 エーカー
主力品種:ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー
エルドラド・カウンティの冬は、例年に比べて寒く、雪が多かった。春も低い気温が続き、芽吹きが数日遅れた。夏も平年より涼しかった。
そのため、エルドラド・カウンティでは、平年より1週間から10日遅れで収穫が始まった。収穫量は平年を10~20%下回る見通しだ。
ただ、ぶどうの品質は非常に高い。特にカベルネ・ソーヴィニヨンの出来がよく、低い糖度で熟した風味が感じられるという。
レイク・カウンティ
ワイン用ブドウ総栽培面積:9681エーカー
主力品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブラン
カリフォルニア州の他の多くの地域とは異なり、レイク・カウンティでは平年よりも早く収穫を迎えた。収穫は8月下旬、レイク・カウンティの代表品種であるソーヴィニヨン・ブランから始まった。
2019年のソーヴィニヨン・ブランは、香り高いワインを仕込むのに理想的な糖とpHで、生産者からはこれまでで最高のヴィンテージになるとの声が上がっている。
リヴァモア・ヴァレー
ワイン用ブドウ総栽培面積:2914エーカー
主力品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルロー
リヴァモア・ヴァレーでは、全体的に穏やかな気候が続き、熱波に見舞われることもなかった。3月の雨で芽吹きが遅れたものの、開花時期は申し分ない天候だった。
ぶどうはうまく実を結び、凝縮した風味が果実にもたらされたという。収穫量は、2018年と比べると極めて少ないが、2016 年や2017年の水準には達している。
ソノマ・カウンティ
ワイン用ブドウ総栽培面積:5万9193エーカー
主力品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン
春の気温が低かったので果実の発達が少し遅れ、過去数年と比べて収穫開始が後ろ倒しになった。
しかし、夏の天候は当地のぶどう栽培にとって完璧だった。ワイン生産者はぶどうの品質について、「良好」から「傑出」と報告している。
テメキュラ・ヴァレー
ワイン用ブドウ総栽培面積:1178エーカー
主力品種:サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー
冬に何度か激しい雨が降り、2月半ばには洪水も起きた。その結果、冬の間、いくつかのワイナリーが営業停止に追い込まれた。
収穫開始は2018年より2~3週間遅れとなったが、収穫量は順調で、前年より20~40%増えたワイナリーもある。