カリフォルニアワイン協会(CWI)は、2020年のワイン用ぶどうの収穫レポートを発表した。
2020年のカリフォルニアは、新型コロナウイルス感染症に記録的な山火事と、困難な局面があったものの、年間を通して天候に恵まれ、全体として非常に品質の高いヴィンテージになったそうだ。
収穫量は少なめだが、バランスの良い高品質なヴィンテージ
2020年のぶどうの生育期間は、降雨量が平年の半分程度という乾燥した冬から、冷涼で穏やかな春を経て、暑さの続いた8月に成熟が促進された。結果として、ほとんどの産地で通常より1~2週間早く摘み取りが開始された。
夏には酷暑により晩熟品種が脱水症状や日焼けを起こしたエリアもあるが、カリフォルニア全体としては、ほぼ理想的な生育状況で、バランスが良く熟度の高いぶどうが実った。夏の暑さを反映して、酸味は例年よりわずかに少なめだが、比較的低い糖度水準でバランスの取れたぶどうは珍しいという。
収穫量は、果粒が小さいことや熱波による落果、遅霜により、セントラル・コーストなど一部のエリアを除いて、平均より低かったようだ。
品質に関しては、豊潤さと個性に深みがあるという点で、「2019年よりも上質」「果実味が際立って生き生きとしている」「過去10年で最高のヴィンテージの1つになる」とも言われている。
山火事と新型コロナウイルス感染症の影響
山火事は、多くのワイン生産者や栽培家に影響をもたらした。モントレー・カウンティやレイク・カウンティでは山火事により収穫量が減っている。ただし、カリフォルニア州の4200のワイナリーのうち、深刻な損害を被ったワイナリーは20に満たなかったとのことで、カリフォルニアのワイン産業全体で見れば、火災による被害は軽度だったと言える。山火事に直面した地域では、ぶどう栽培家とワインメーカーが協力し、ぶどうの煙害を軽減するよう努めた。
ローダイなど一部の地域では、大気の状態が良くない日が続いたが、分析の結果、ワインに煙害の影響は見られなかったという。煙害を懸念して晩熟のいくつかの赤ワイン品種を断念したワイナリーがある一方で、多くのワイナリーではその影響を見定めつつ、カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとした赤ワインを生産していく見込みだ。今回のヴィンテージには特有の骨格と質の高さが感じられるそうで、期待が高まる。
また、世界的に拡大している新型コロナウイルス感染症は、カリフォルニアワイン産業にも影響を及ぼしている。収穫時期には、ソーシャル・ディスタンスの確保やスタッフの手配が、課題として挙がったという。
ワイナリーから主な品種についてのコメント
全体としては、天候に恵まれたことでバランスの取れた風味の良いぶどうが実り、それがヴィンテージの特徴の1つとなった。
◆黒ぶどう品種
カベルネ・ソーヴィニヨン:素晴らしい品質で、好ましい凝縮感がある。
カベルネ・フラン:見事な深みと骨格を備えており、驚異的な風味と味わいを持つ。
シラー:色合いも味わいも良く、複雑性と将来性を感じるヴィンテージ。他の品種と比較して、品質が良い。
ジンファンデル:生気に満ち、奥行きのあるヴィンテージ。
ピノ・ノワール:通常より色が濃く、躍動感があり、素晴らしい味わい。
プチ・シラー:非凡な風味。大変良好なヴィンテージ。
◆白ぶどう品種
シャルドネ:果実感に優れ、見事なストーンフルーツの風味がする。例年以上の力強さを備えている。
ソーヴィニヨン・ブラン:例年より素晴らしい品質。
リースリング:好ましい酸の量があり、エレガントでお手本のようなヴィンテージ。
【関連リンク】
カリフォルニアワイン2020収穫レポート