今、フランス国内をはじめ、全世界に「意識的な消費」が広がっている。その製品がどこでどうやって生産されたのか、考えてから購入する行動のことだ。自分自身の健康について考えるのと同様に、地球への影響も考慮し、次世代へよりよい環境を残すために、エシカルな製品を選ぶ人が増えてきている。
地球環境に配慮したワインづくり
フランスのプロヴァンスでは、ロゼワインの生産者がそうした地球環境に配慮したワインづくりをするべく、日々研究を重ねている。その取り組みの1つが、有機栽培のぶどう畑の拡大だ。
EUの有機認証機関である「ユーロリーフ(Euro Leaf)」、フランス政府制定のオーガニック認証組織「AB(Agriculture Biologique)」などがワイン業界では有名だが、2019年にはプロヴァンスにあるぶどう畑の約2万7464haのうち、19%以上がこのどちらかの認証を取得しており、今後も増える見込みだという。
その他にも、フランス農水省が優れた環境のぶどう畑に表記を認める「HVE(High Environmental Value)」という認証がある。畑に下草(カバークロップ)を生やしたり、周囲に木々や垣根を植えて低い塀をつくることで生物多様性を保護すること、殺菌剤、殺虫剤、除草剤の使い方や頻度を守ること、醸造時の水の使用を少なくすることなど、さまざまな条件を満たしたサステナブルなぶどう栽培やワイン生産者にのみ、HVE認証は与えられる。
プロヴァンスのHVE認証への取り組み
プロヴァンスでは、2019年にプロヴァンスワイン委員会とコート・ド・プロヴァンス企業連合が、HVE機関と共同プロジェクトをスタート。HVE認証のぶどう畑を2024年までに60%に、2030年には100%にすることを目標に掲げている。
病気や干ばつに強いぶどう品種が何かを探り、試験栽培や研究をすることで地球環境の変動に対応している。さらには、農薬などの使用量を減らす試みも続けている。
また、2016年には、エコサイエンス・プロヴァンスが主導し、ワインボトルを回収して洗浄後に再利用するというリサイクルのプロジェクト「ラ・コンシーニュ」も開始している。地元のワイナリーをはじめ、ワイン産業に携わる関係者が協力しており、厳格な品質管理のもとでワインボトルを再利用している。
ワインボトルのリサイクルは、誰でも参加できる取り組みでもある。例えば、ロゼワインを楽しんだ後、空ボトルを花瓶やランプなどとして再利用できる。プロヴァンス・ロゼワインのボトルはユニークな形状のものもあるので、インテリアにも最適だ。
ぶどう栽培に適した環境
プロヴァンスがオーガニックや持続可能なワインづくりで先端にいる背景には、ぶどう栽培に適した環境もある。ぶどう畑の土が痩せていて水はけがいいこと、暑く乾燥した地中海性気候で日照時間が長いこと、またアルプス山脈から吹くミストラルという乾いた強風で湿度がこもらず、さまざまな病害からぶどうの樹を守ってくれること。こうした恵まれた立地と、最高のワインをつくりたいという生産者の強い意思が組み合わさって、世界最高峰といわれるプロヴァンス・ロゼワインが生み出されているのだ。
ぶどう栽培に適した環境とワイン生産者のたゆまぬ努力によって生み出される、プロヴァンス・ロゼワイン。ワインを購入する際は、その証である認証シールをぜひ確認してみてほしい。
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プロヴァンスワイン委員会