コラム

ロゼワインの新しいトレンド「ボルドー・ロゼ」とは?

明るく華やかなロゼワインは、世界のトレンド

長らくブームが続くロゼワインに、新しいトレンドが生まれた。「ボルドー・ロゼ」である。

ボルドー・ロゼの魅力を紹介する前に、まず、ロゼワインについておさらいしよう。ロゼワインは21世紀に入ってから急速にファンを増やしており、2002年~2017年の消費量を比較すると、その伸び率は実に30%ほど増えている。

<関連記事>
空前の盛り上がりを見せるロゼワイン市場、人気をけん引する「プロヴァンス・ロゼ」の魅力を探る

ここまで飛躍的にファンを増やしている理由の1つは、柔軟な味にある。果実の程よい甘みとフィニッシュのほのかな苦みは、赤ワインと白ワインのどちらのシチュエーションにも合い、幅広い料理にペアリングできる。

もう1つの理由は、ロゼの華やかな色合い。いわゆる“映える”色合いはSNSで拡散され、より多くの人々を魅了している。

トレンドは「ボルドー・ロゼ」

そんなロゼワインの中でも、これからのトレンドになるとささやかれているのが、「ボルドー・ロゼ」だ。

(c)Cronenberger

特徴は“映える”見た目

「ボルドー・ロゼ」は、フランスの大銘醸地ボルドーの赤ワイン用ぶどうである、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローなどをブレンドしてつくられる。最高峰の条件で生産された偉大なぶどうでありながら、カジュアルな飲み方が似合うというのが大きな魅力だ。

その味わいには、ストロベリーやラズベリー、クランベリーなどフレッシュな果実の風味と、キレの良さがバランスよく混ざり合っている。もちろん見た目もチャーミングで、テーブルに彩りを添えるロゼらしいピンク色は、SNS映えもばっちりだ。

ペアリングもオールマイティー

「ボルドー・ロゼ」は、魚介料理や肉料理、西洋料理や和食、中華、エスニック料理と、オールマイティーのペアリングが楽しめる。アペリティフとしてはもちろん、氷を入れたり炭酸で割るなどのアレンジをすれば、合わせられる料理の幅も広がるだろう。

相性の良いメニューとしては、春は花見などで楽しめる「筍と菜の花のお浸し」や「桜鯛のカルパッチョ」、夏には冷やしたロゼと相性の良いトマト料理がぴったりくる。また、「ボルドー・ロゼ」は軽いだけでなくボディの強さもあるため、酸味のある酢豚やエビチリなど、インパクトのある料理との相性も良い。

よりおいしく味わうには、7~11℃に冷やし、その爽やかさを引き立ててからグラスに注ぐのがおすすめ。通年を通して楽しめるが、とりわけバーベキューやキャンプなど、アウトドアでカジュアルに過ごすシチュエーションによく似合う。その場合は、バケツに氷を張って冷やしておこう。

オリジナリティあふれる「ボルドー・クレレ」

ボルドーでつくられるロゼには、よりオリジナリティあふれるワインもある。その名は「ボルドー・クレレ(Clairet)」。日本語で「明るい」を意味するフランス語「クレール(Clair)」から転じた、印象的なネーミングだ。

「クレレ」の色は、ロゼにしては濃く、赤ワインにしては明るい。ボルドーの赤ワインといえば、今でこそ濃いぶどう色を想像するが、現在とは違う製法でつくられていた時代にはずっと明るい色をしており、そこから「クレレ」という名前が誕生した。中世から長い間ボルドーワインを愛飲し、輸入量・消費量ともに群を抜いているイギリスでは、今でもボルドー産の赤ワインを「クラレット(Claret)」と呼ぶことがあるという。

現在の「ボルドー・クレレ」は、色・味わいともに、赤ワインとロゼワインの中間に位置するといえるだろう。「ボルドー・ロゼ」と比べると、より果実味とボディ、渋みが効いているからだ。

明るい色から濃い色、軽快あるいはしっかりとした味わい、さらには泡と、幅広い表情を見せる「ボルドー・ロゼ」。花見やアウトドア、パーティーシーンにと、1年を通じてさまざまな楽しみ方ができるだろう。

<関連リンク>
ボルドーワイン委員会(CIVB)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  tomoko

広告代理店を経て、フリーライター。得意ジャンルは、グルメ、IT、エンタメ、伝統芸能。