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「ワールド・ベスト・ヴィンヤード(World’s Best Vineyards) 2020」において世界第3位、ヨーロッパ第1位にランクインした、オーストリアのドメーヌ・ヴァッハウ(Domäne Wachau)。ユネスコの世界文化遺産の景勝地であり、オーストリア最大のワイン生産地としても知られる、ヴァッハウ渓谷に位置するワイナリーだ。
世界のベスト3に入り、かつヨーロッパのトップと評価されたワイナリーには、どのような魅力があるのか見ていこう。
最高級ワインを生産する実力派ワイナリー
ドメーヌ・ヴァッハウがあるデュルンシュタインの村は、オーストリア北部のドナウ川下流地域に位置する。風光明媚なヴァッハウ渓谷が有名で、メルク修道院とともにドナウ川クルーズの見どころとなっている。
この地域は地質や気候がぶどう栽培に適していて、川沿いの丘陵地帯に畑を持つ数多くの小規模ワイナリーが、協同組合をつくりながら経営している。
その中でも1938年設立のドメーヌ・ヴァッハウは、地域全体の生産量の3分の1を占める、最も規模の大きいワイナリーだ。現在は、ワイナリーディレクターのローマン・ホルヴァートと、ワイン醸造学者でセラーマスターのハインツ・フリシェングルーバーがチームを率いている。
ドナウ川を望む傾斜地などに計1344haのぶどう畑を持ち、オーストリアワインの主要品種であるグリューナー・ヴェルトリーナーを中心に、リースリングなどの品種を植えている。単一畑の限られた1区画で収穫されたぶどうのみを使っているため、テロワールの個性や深みが出やすく、かつ高品質なシングルヴィンヤードワインができる。
また、生態系保持のための土壌緑化や有機栽培、手摘みの収穫にもこだわり、世界の白ワインの中でも最上級と評されるクオリティのワインを生産している。
バロック様式の美しい城館が目印
ドメーヌ・ヴァッハウでは、18世紀初期に建てられたバロック様式の城館「デュルンシュタイン・ケラーシュレッセル」が目を引く。元々は修道院が所有していた建物で、カナリア・イエローといわれる黄色が美しく、地下には数百年物の樽が並ぶワインセラーがある。また、この城館のホールや蒸留所、セミナールームをパーティーや試飲会、会議など、幅広く利用できるイベントスペースとして一般貸し出ししているのがユニークだ。
ワイナリーツアーでは、専門のガイドが傾斜地のぶどう畑、城館、地下セラーを案内し、ぶどうの収穫からワイン醸造までの概要を解説してくれる。テイスティングでは、主流のグリューナー・ヴェルトリーナーやリースリングなどさまざまな種類のワインを試飲し、違いを楽しみながら自分好みのものを見つけることができる。
また、「ホイリゲ」と呼ばれるオーストリアのワイン居酒屋もある。城館やぶどう園を望む美しい庭園で、軽食とワインを楽しめる人気のスポットだ。ワインは定番のものから最新ヴィンテージ、レアなものまで、種類が充実している。
土産物が買えるショップもあり、自家製ワインはもちろん、名産のアンズ製品や菓子など数多くの商品が並んでいる。
ワールド・ベスト・ヴィンヤードでは、ドメーヌ・ヴァッハウの広大なぶどう畑がドナウ川の景観と相まって美しい風景を形成していること、多目的に使えるバロック様式の城館があること、オーストリアを代表する白ワインのグリューナー・ヴェルトリーナーが生産量の70%を占めていることなどが、総合的に評価された。
ドメーヌ・ヴァッハウのおすすめワイン
グリューナー・ヴェルトリーナー テラッセン スマラクト
オーストリアを代表する品種グリューナー・ヴェルトリーナーを100%使用。上質なフルーツのアロマにかすかなスパイスの香りがアクセントとなって広がる。グレープフルーツのような爽やかな酸味が特徴だ。
リースリング スマラクト テラッセン
手摘みで収穫した最高品質のリースリングを使用したクオリティワイン。完熟アプリコットの風味と上質なミネラルが感じられる、洗練された深みのある味わい。
シャルドネ フェーダーシュピール テラッセン
有機栽培したシャルドネを手摘みで収穫し、使用している。エレガントでフルーティーなこのワインは、重みと酸味のバランスが取れており、食事にも良く合う。