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ワイン新興国ではあるものの、今や世界各地で人気の高いワインを生み出している、オーストラリア。
今回は、アメリカワイン界の巨匠ロバート・モンダヴィ氏が認めた土地でワインづくりを続ける、ルーウィン・エステート(Leeuwin Estate)を紹介する。“世界最高峰”と評されるシャルドネを産するなど、オーストラリアを代表するワイナリーの1つだ。
ルーウィン・エステートとは
西オーストラリア州マーガレット・リバーに位置し、ホーガン家が2世代にわたって経営しているルーウィン・エステート。その設立当初から、シャルドネで世界最高峰の評価を得ている。また、マーガレット・リバーにワインツーリズムを確立させたワイナリーとしても高く評価されている。
ルーウィン・エステートの歴史
ルーウィン・エステートは、1973年にホーガン夫妻(デニス・ホーガン氏とトリシア・ホーガン氏)によって、マーガレット・リバーに設立された。
もともとこの地は、夫妻が週末を過ごすための牧草地だったという。ぶどう栽培やワインづくりは行っていなかったが、1972年に転機となる出来事が起こる。カリフォルニアワインの名を世界に知らしめた、ロバート・モンダヴィ氏が来訪したのだ。
高級ワインに適した土地を探していたモンダヴィ氏は、この土地が高級ワインの産地になり得る可能性があると語った。ワインの生産に適した土地だと知った夫婦は、モンダヴィ氏の指導の下で、自らワインづくりを開始する。
1974年に苗木場をつくり、5年ほどかけてシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、ピノ・ノワールなどを植えていった。ワイナリーは1978年に完成し、初代のワインメーカーとしてボブ・カートライト氏が就任した。
1979年には、本格的にワインの醸造を開始。そして翌年、1980年ヴィンテージの「アートシリーズ・シャルドネ」が、イギリスの『デキャンター(Decanter)』誌で、世界最高のシャルドネとして選出されるという快挙を成し遂げた。その後も国内外で多くの賞を受賞し、オーストラリアを代表するプレミアムワインメーカーとして、その地位を確立していく。近年では、シャルドネだけでなく、カベルネ・ソーヴィニヨンも高い評価を得ている。
現在では、引退したホーガン夫妻に代わり、娘のシモーヌ氏と息子のジャスティン氏が共同最高経営者となっている。3代目シニア・ワインメーカーのティム・ラヴェット氏が率いる醸造チームとともに、素晴らしいワインを産出し続け、世界30カ国に輸出している。
ワインづくりに対する姿勢
ルーウィン・エステートが位置するマーガレット・リバーは、西オーストラリア州随一のワイン名醸地と言われている。マーガレット・リバー近海では、太平洋とインド洋、南西洋の3つの海がぶつかるため、温度の変化が少ない。夏でも夜が涼しい海洋性気候に属し、ミネラルが豊富な石灰質と岩が砕けた水はけの良い土壌など、ぶどう栽培に適した環境が揃っている。
ぶどう栽培に理想的な土地で、収穫量を抑えつつ丁寧にぶどうを育て、その個性を生かしたワインづくりに取り組む、ルーウィン・エステート。オーストラリアのオークションハウス「ラングトンズ」 が発表するオーストラリアワインの格付け「ラングトンズ・クラシフィケーション・オブ・オーストラリアン・ワイン(Langton’s Classification of Australian Wine)」では、「アートシリーズ・シャルドネ」が最高評価のエクセプショナルを獲得。同時に、上位5つのワインに贈られる、ヘリテージ・ファイブの称号も得ている。
また、アメリカの『ワイン&スピリッツ(Wine&Spirits)』誌でトップ100ワイナリーを6回受賞し、2015年に殿堂入りを果たした。2021年には、「ワールド ・ベスト・ヴィンヤード(World’s Best Vineyard)」のトップ100にも選出されている。
世界でも人気のワインツーリズムの地へ
ルーウィン・エステートは、ワインを“アート”の1つとして捉え、アートのあるライフスタイルの追求にも熱心に取り組んでいる。
ワイナリーに併設したレストランや、オーストラリア国内の新鋭画家の作品を展示したアートギャラリー、屋外ステージでのコンサート開催などがその例だ。ワインとともに、アートや食事を楽しむ企画を考案して、ワイナリーに観光客を呼び寄せた。
こうした取り組みをきっかけに、マーガレット・リバーではワイン観光が盛んになっていき、2012年には同地が『フォーブス(Forbes)』誌の世界のワイン観光地トップ10に選ばれることとなった。また、創設者であるホーガン夫妻は、国や州からツーリズムに尽力した功績をたたえられている。
おすすめワイン4選
ルーウィン・エステートが提供するワインには、世界最高峰と称される「アートシリーズ・シャルドネ」を含む「アートシリーズ」をはじめ、「プレリュード・ヴィンヤーズ」「シブリングス」などのシリーズがある。
ルーウィン・エステート アートシリーズ・シャルドネ
ルーウィン・エステートが産するワインの中で、最も高品質で有名なのが「アートシリーズ」だ。若手アーティストの絵を起用した、年ごとに異なるワインラベルも有名。ただし、同シリーズのリースリングだけは、ポーズが異なる4種類のカエルのラベルを使用。こちらも人気を博している。
同シリーズのシャルドネは、「オーストラリア・ソムリエ・マガジン」でオーストラリアトップ25の畑として紹介された「ブロック20」のぶどうを使用する。
新樽のフレンチオークで発酵させ、11カ月ほど熟成させる。洋ナシや白桃などの熟した果実の香りと、長く続く酸を特徴とする。熟成による変化も楽しめる1本。
品種:シャルドネ
味わい:白・辛口
参考小売価格: 1万1550円(税込)
ルーウィン・エステート アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン
同じく「アートシリーズ」の1本。黒に近い深い赤色。チェリーなど、カベルネ・ソーヴィニヨンに特徴的な香りと、スパイスやハーブ、杉などの香りが層をなす。長い余韻では、きめ細かいタンニンが楽しめる。
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:8250円(税込)
ルーウィン・エステート プレリュード・ヴィンヤーズ・カベルネ・メルロー
「プレリュード・ヴィンヤーズ」は、熟成を必要とせず、すぐに楽しめるシリーズ。手頃な価格ながら、マーガレット・リバーのワインの特徴と個性を感じる。
このワインは、黒スグリや八角、カルダモンの香りが絡み合い、重量感のある味わい。ソフトな口当たりで、フィニッシュには長く続く酸とタンニンを感じられる。
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
味わい:赤・フルボディ
参考小売価格:4620円(税込)
ルーウィン・エステート シブリングス・ソーヴィニヨン・ブラン
「シブリングス」は、創業者一族の家系を記念してつくられたシリーズ。「プレリュード・ヴィンヤーズ」と同様に、リーズナブルな価格で、若いうちからバランスよく味わえる。
ソーヴィニヨン・ブランは、レモンやライムの香りの中に、ほのかにオークの香りを感じる。セミヨンをブレンドすることで、豊かなボディに仕上がっている。
品種:ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン
味わい:白・辛口
参考価格:3135円(税込)
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