サントリーワインインターナショナル(SWI)は2022年6月8日、「2022年日本ワイン戦略説明会」を開催した。同年1月開催の記者会見で発表された事業方針の1つ「日本ワイン 大刷新」についての詳細が明らかになった。
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サントリーワイン2022年事業方針説明会② ――登美の丘ワイナリーから日本ワインの魅力を発信
説明会では、日本ワインを含む近年のワイン市場動向、日本ワインの魅力をユーザーに伝えるために打ち出した新コンセプトおよび新ブランド、持続可能なワインづくりなどについて発表があった。
第2回目となる本記事では、日本ワインの魅力を伝えるために同社が掲げる新コンセプトやワインづくりの現場である登美の丘ワイナリーの刷新について紹介する。
SWIが伝えたい日本ワインの魅力とは
日本ワインは、2015年に基準が明確化され、2018年には表示ルールが定められた。これによって、日本産ぶどうを100%使って国内醸造する日本ワインに、安心感と共に親近感を抱いた人も多いだろう。また、日本の風土が生んだワインが日本の食卓に合うこと、国内のワイナリーに気軽に足を運んでつくり手の技術や思いに触れられることも、日本ワインならではの魅力と言える。
SWIは日本ワインの魅力を発信すべく、多くのユーザーから話を聞き、ユーザーが強く共感する要素を探った。その結果、同社が伝えたい日本ワインの魅力が明確になった。
1つは「つくり手が日本の自然、風土と、畑から向き合い匠の技と愛情を込めて、時間をかけてつくりあげたワインであること」、もう1つが「ぶどう畑やワイナリーにその物語があること」だ。
同社代表取締役社長の吉雄敬子氏によると、同社のワイナリーやぶどう畑について話したり、写真を見せたりすると、ユーザーに驚かれることがあるという。ワインに対して、いわゆる工場のラインで流れ作業のようにつくられるイメージを持つ人もいるようだ。
自らぶどうの収穫の応援に行くこともあるという吉雄氏は、品質の高い日本ワインをつくることで、それらのワインが畑でぶどうを育てることから始まっていること、さまざまなつくり手の技術と愛情でつくられていることを伝えていきたいと語った。
“全ては畑から”という思いから生まれた新コンセプト
同社が、畑から始まる日本ワインのものづくり、日本ワインに対する思いを込めて掲げる新たなコンセプトが「SUNTORY FROM FARM 水と、土と、人と」だ。
ぶどう畑は日本の複雑なテロワールや大自然の力を気付かせてくれる場所であり、ぶどうづくり、ワインづくりに携わる人々の情熱を描き出す舞台でもある。新コンセプトにはそんなぶどう畑への敬意が込められている。
日本ワインの魅力を伝える4つの戦略
同社は、新コンセプト「SUNTORY FROM FARM 水と、土と、人と」をベースに、日本ワインの魅力をユーザーに届けるため、以下の4つの取り組みを実施する。
・サントリー登美の丘ワイナリー リニューアルオープン
・日本ワインの新ブランド 4シリーズを発売
・中味品質向上の取り組み
・持続可能な日本ワインづくり
新ブランド4シリーズについては第3回目、品質向上および持続可能なワインづくりへの取り組みは第4回目の記事で紹介したい。
体験型ワイナリーへリニューアルオープン
1909年に「登美農園」として開園して以来(その後1936年にサントリーが購入)、100年以上の歴史を誇るサントリー登美の丘ワイナリー。ここでは、150haの敷地にある50区画でぶどうを栽培し、醸造、瓶詰めまでを一貫して行っている。
SWIは約5億円を投じて、2022年9月9日に同ワイナリーをリニューアルオープンする。リニューアル後は、ワイナリーを訪問した人が、ワインづくりの奥深さに触れつつ、自然の恵みとワインのおいしさを体験できるような施設になるという。
生まれ変わったワイナリーは、雄大な富士山とぶどう畑を眺めながらワインを堪能できる「ワインテラス」をはじめ、ワインが持つ物語を伝える場としての「ワインショップ」、つくり手と飲み手が語り合える「セミナールーム」、ワインの熟成が体感できる「樽熟庫」などを備える。
ワイナリーツアーも刷新
サントリー登美の丘ワイナリーのリニューアルオープンとともに、同ワイナリーのワイナリーツアーも刷新される。
四季ごとにさまざまな姿を見せるぶどう畑や、樽熟庫・瓶熟庫を見学できるほか、気軽にサステナブル農業を体験したり、畑の異なる甲州ワインを飲み比べたりできる。「FROM FARM」の言葉通り、ワイナリーツアーにも、ぶどう畑からワインづくりのこだわりを伝えたいという同社の思いが表れている。
次の記事では、新コンセプトを踏まえて誕生した、同社日本ワインの新ブランド「FROM FARM」4シリーズを紹介する。
【サントリーワイン2022年日本ワイン戦略説明会】
① 成長を続ける日本ワイン