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サントリー ワインカンパニーは2023年3月9日、「ワイン事業サステナビリティ活動方針説明会」を開催した。
説明会では、同社取締役常務執行役員でワインカンパニー社長の吉雄敬子氏とイタリア CAVIRO(カヴィロ)代表のカルロ・ダルモンテ氏が登壇し、両社が実施しているサステナブルな取り組みや今後の展望について話があった。また、両社はサステナビリティ活動における包括連携協定を締結した。
最終回となる本記事では、両社が共同開発した商品と、新たに締結したサステナビリティ活動における包括連携協定について紹介する。
環境に配慮した商品を共同開発
カヴィロが「タヴェルネッロ」を発売したのは、1983年だ。当時、既に同ブランドには、紙パック入りのワインがラインアップされていた。
1995年にカヴィロとサントリーが提携した後、カヴィロは2014年に提携農家でのオーガニックぶどう栽培を開始。2018年には、日本で瓶入りの「タヴェルネッロ オルガニコ」を発売している。
今回、両社が共同開発したのは、日本の消費者からも好評の「タヴェルネッロ オルガニコ」を紙パック入りにした「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック®」だ。中味のワインは、「タヴェルネッロ オルガニコ」同様、有機農法で栽培された農作物に対する「ユーロリーフ認証」を取得している。
中味だけでなく、紙容器やキャップも環境に配慮した素材でつくられている。パッケージは製品を生産する全ての過程で発生するCO₂の削減量などを評価して授与される「カーボントラスト認証」、持続可能な森林資源からつくられた原紙を使用していることを示す「FSC認証」、持続可能な方法で生産、製造、流通されたサトウキビであることを認証する「BONSUCRO認証」(同商品の容器における植物由来プラスチックの原料)を取得している。
両社は、「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック®」の2023~2027年までの販売計画数量に対して、CO₂排出量を75t削減することを目標にしている。
「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック®」には、赤の「サンジョヴェーゼ」と白の「トレッビアーノ シャルドネ」があり、2023年3月28日から日本で先行販売される。
タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック サンジョヴェーゼ
「サンジョヴェーゼ」は、柔らかな果実味とまろやかな渋味、軽やかな酸が一体となった、飲みやすいミディアムボディの赤ワインだ。
タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック トレッビアーノ シャルドネ
「トレッビアーノ シャルドネ」は辛口の白ワインで、優しい酸味とまろやかな味わいを特徴とする。
複数のサイズ展開で幅広い飲用シーンに対応
サントリー ワインカンパニーでは、ワインをより気軽に楽しんでもらおうと、缶入りのワインサワーやノンアルコールワインなどバラエティに富んだワイン商品を展開してきた。
「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック®」もその流れをくんでおり、容量違いの3種があることで、幅広い飲用シーンでオーガニックワインを楽しむことができる。例えば、250mlは1人で気軽に飲むときに、500mlは2人で分けて、大勢で集まる場では1Lが重宝するだろう。
参考価格は、250mlが407円、500mlが814円、1Lが1496円となっている(各税込)。
サステナビリティ活動の包括連携協定を締結
サントリー ワインカンパニーは「すべては畑から」。カヴィロは「すべては畑に戻る」。両社の事業コンセプトはとても似ている。1995年から提携してきた両社だが、今回、サステナビリティ活動において新たに包括連携協定を締結した。
サントリーが持つ気候変動対策や自然環境保全に関する知見とマーケティング力、カヴィロの再生農業や循環型ビジネスのノウハウなど、互いの強みを融合して交流することで、両社のサステナビリティ活動をさらに発展させるのが狙いだ。
今後の展望
サントリー ワインカンパニーでは、自然の恵みであるワインとサステナビリティは切り離せないものとして、同社のワイン事業の各カテゴリーにおいて、サステナビリティを反映していく。
日本ワイン事業においては、ブランドコンセプト「FROM FARM」が象徴するように、ぶどう畑と畑を取り巻く自然環境を守り、これからの100年も畑からのワインづくりを大切にしていくことそのものが、サステナブルなものづくりになると考えている。
輸入ワイン事業では、今回開発した「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック®」のように、オーガニックワインとしての中味、各種環境配慮認証を受けたパッケージなど、商品を通じてサステナビリティを消費者に分かりやすく伝えられるよう注力していく。
同社のワイン事業において、多くの割合を占める国産カジュアルワイン事業では、かなり早い時期からサステナビリティを取り入れていたという。2020年10月には、全ての720mlペットボトルを再生PET樹脂を原料にしたリサイクルペットボトルに切り替えている。また、「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」の1.8Lサイズのような大容量商品には、再利用しやすい紙パックを採用している。
サステナビリティ推進活動中期計画
サントリー ワインカンパニーのワインの売上において、前述したサステナビリティを推進する上での強化商品が占める割合は、2017年が33%(129億円)、2022年が34%(147億円)となっている。同社は、2027年の同強化商品群の売上目標を2017年の約1.4倍となる185億円とし、構成割合を40%台にする計画だ。
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