コラム

津軽のテロワールが生み出す爽やかなスパークリング ――「SUNTORY FROM FARM」新ヴィンテージ つくり手が語る試飲会③

サントリーは2023年9月5日、TKPガーデンシティ浜松町(東京都港区)で、「『SUNTORY FROM FARM』新ヴィンテージ つくり手が語る試飲会」を開催した。

同試飲会では、同社 ワインカンパニー ワイナリーワイン事業部長の新村聡氏、同事業部 シニアスペシャリストの渡辺直樹氏、サントリー登美の丘ワイナリー栽培技師長 大山弘平氏が登壇し、ぶどう品種「プティ・ヴェルド」や産地「津軽」を通じて、世界に誇るワインづくりに挑戦するつくり手の取り組みが語られた。

第3回となる本記事では、渡辺氏によって語られた、ワイン産地「津軽」のテロワールや、「津軽」らしさを表現した瓶内二次発酵スパークリングについて紹介する。

サントリー ワインカンパニー ワイナリーワイン事業部 シニアスペシャリストの渡辺直樹氏

津軽のぶどう栽培

リンゴ栽培で有名な青森県の津軽地方だが、ぶどう栽培の歴史は古く、現在ではそのテロワールを生かしたぶどうづくりが行われている。

津軽のぶどう栽培の歴史

津軽地方では、明治初期にはワイン用ぶどうがつくられており、1886年に欧州系ぶどうの栽培量で全国6位となった。だが、このころフィロキセラによる被害が甚だしく、リンゴへの転作が進んだという(同社提供資料より)。

その後、1980年代後半から、青森県の岩木地区(弘前市)、鶴田町(北津軽郡)、藤崎町(南津軽郡)にて、同社がシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなどの契約栽培を開始した。2015~2018年には「日本ワインコンクール(Japan Wine Competition)」で津軽産の白ワインが4年連続で金賞を受賞するなど、品質が向上している。2020年には、さらに品質の高い津軽ワインを生産するため、弘前市、JAつがる弘前、同社が3者協定を締結した。

津軽地方のテロワール

同社の契約栽培畑がある、青森県弘前市の岩木山南東地域や鶴田町は、ワイン用ぶどうに適した気候だ。日照時間が比較的長く、冬は雪がぶどうの樹を凍害から守ってくれる。ぶどうの生育期となる4~8月は雨が少なく、収穫前の夏は気温が高くなるが、収穫期の9月に入ると一気に冷涼になる。また、岩木山の火山灰が堆積した肥沃な土壌は、水はけが良い。

同社では、契約栽培者だけでなく、地元の新規栽培希望者にも指導を実施して栽培コミュニティを広げるなど、ワイン用ぶどう産地としての「津軽」の発展に向けた取り組みを続けている。

津軽らしさを生かしたスパークリングワイン

津軽らしさを表現した、世界に通用する高品質ワインを生み出すに当たって、同社が出した答えが、瓶内二次発酵スパークリングワインだ。

収穫と醸造の工夫

熟したリンゴを思わせる香り、充実した果実味、爽やかな酸味といった“津軽らしさ”を引き出すため、同社では糖度と酸のバランスが最適となった時期を見極めて収穫している。

醸造では、房ごとプレスして得た清澄度の高い果汁を、新鮮な果実味を持つキュベと充実感があるタイユに分け、それぞれをマロラクティック醗酵なしで醸造した後、ベストな配分でブレンドしている。

新発売の「SUNTORY FROM FARM 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング2020 グリーンエティケット」

同社は2023年9月12日、日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」のテロワールシリーズとして「津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング2020 グリーンエティケット」を発売する。緑のラベルは爽やかな味わいを表現したものだ。

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同ワインは「日本ワインコンクール(Japan Wine Competition)2023」において、金賞とスパークリングワイン部門の部門最高賞を受賞している。

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ぶどう品種:シャルドネ57%、ピノ・ノワール43%
タイプ・味わい:スパークリング・辛口
参考小売価格:8250円(税込)

青リンゴやグレープフルーツのような爽やかな香りと、滑らかな果実感がある。酸味は豊かだが落ち着いており、細やかな泡立ちが心地良い。

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