コラム

念願の初ヴィンテージがDWWA 2024でBest in Showを受賞――サントリー日本ワイン試飲会⑤

サントリーは2024年9月4日、同社田町オフィス11階のカフェ「HARBOR」(東京都港区)にて、新商品を含む日本ワインの試飲会を開催した。

試飲会では、同社ワイン本部日本ワイン部長の宮下弘至氏、ワイン本部シニアスペシャリストの柳原亮氏が登壇し、産地の異なる甲州ワインの解説とともに、これまでの甲州栽培の取り組みや挑戦について話があった。

第5回となる本記事では、同社が満を持して世に送り出した、最高峰のフラッグシップワイン「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」について、「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards:DWWA) 2024」での快挙と誕生に至るまでの同社の10年にわたる挑戦を紹介する。

10年を経て、最高峰シリーズに名を連ねた「登美 甲州」

同社の日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」の中で、最高峰のフラッグシップワインに位置付けられるのが「シンボル」シリーズだ。自園産のぶどうを100%使った高品質ワインとして「登美 赤」「登美 白」「岩垂原メルロ」などをラインアップしているが、これまで「甲州」を100%使用したものはなかった。

日本の固有品種である甲州を使った「登美 甲州」を世に出したい。この強い思いとともに長きにわたるさまざまな試みが実を結び、「登美 甲州」の初ヴィンテージ「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」が誕生した。

DWWA 2024にて最高位賞を受賞

「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」は、DWWA 2024において最高位賞のBest in Showを獲得。Best in Showの受賞は、日本から出品されたワインでは史上初の快挙となる。

SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022

メロン、黄桃、ミカンなどの香りと、蜂蜜やシナモンを思わせる甘い香りが感じられる。甲州では珍しいほどのコクと優しい酸、豊潤な果実味が味わえるエレガントなワイン。2024年9月10日から登美の丘ワイナリーや同社オンラインショップ、一部流通で数量限定にて発売している。

◆SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022
色、タイプ:白、辛口
産地:山梨県(登美の丘ワイナリー)
ぶどう品種:甲州(自園産)100%
参考価格:1万3200円(税込)

「登美」を冠するにふさわしい甲州ワインができるまで

これまでの記事でも紹介したように、同社では自園産の甲州の品質を高めるため、さまざまな取り組みを続けてきた。細かく分けた区画に最適な系統を選んで栽培し、同じ区画のぶどうでも、完熟した房だけを個別に収穫するなど工夫を凝らしている。

特に、「登美 甲州」では、目指したい味わいを起点に圃場や仕立て、栽培方法などの試行を10年近く重ねた。その結果、「登美 甲州」を目指す区画の甲州ぶどうは、他区画の甲州の糖度(15度前後)と比べて、2019年以降、16~18度超と糖度が飛躍的に上がっている。柳原氏によると2023年の平均糖度は21.5度で、補糖なしで仕込めるほど高い糖度が得られた。

区画による糖度の比較

次回の記事では、日本ならではのプティ・ヴェルドと同ぶどうをメインに使用した「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 プティ・ヴェルド 2020」「同登美 赤 2020」を紹介する。


【関連記事】サントリー日本ワイン試飲会
①欧州でも好まれる、すっきりした味わいの甲州
②きれいな酸と果実味が両立する、長野育ちの甲州
③南アルプスの多彩なテロワールを反映した新しい甲州ワイン
④数々の受賞歴を誇る、自園産甲州100%のリッチなワイン

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  ワインバザール編集部
ワインバザール編集部

世界各国のワインに関するニュースやコラムなどを配信していきます。