サントリーは2025年2月26日、パレスホテル東京(東京都千代田区)にて、ドメーヌ バロン ド ロートシルト ラフィット社(Domaines Barons de Rothschild Lafite)のサステナブルなワインづくりに関するセミナーを開催した。
同セミナーでは、サントリー ワイン本部 輸入ワイン戦略部長の新村聡氏とDBRラフィット社のオーナーでCEOのサスキア ド ロスチャイルド氏が登壇し、2025年で40周年を迎える両社の提携の歴史や、サントリーと同様にサステナブルなワインづくりを進めるDBRラフィット社の取り組みが語られた。
本記事では、DBRラフィット社がチリに取得したヴィニャ ロス ヴァスコス(Viña Los Vascos)を取り巻く大自然と、そこでのサステナブルな取り組みを紹介する。
豊かな生物多様性と調和したぶどう畑
DBRラフィット社がチリのヴィニャ ロス ヴァスコスを取得したのは1988年。現在は3600haの敷地のうち、約500haの畑でぶどうを栽培している。サスキア氏によると、ぶどう畑の周囲には、フランスのボルドーやブルゴーニュとは比較にならない広さの手付かずの大自然が広がっており、周囲の自然とぶどう畑が見事に調和しているという。

大自然の中のぶどう畑
同社は、ミツバチの巣箱を設置したり、地域固有の植物を保護したりと、大自然に存在する多様な動植物相の保全を積極的に進めている。また、ぶどうの茎や搾りかすなどの植生廃棄物を堆肥化してぶどうの肥料に利用する、ミミズを用いたろ過システムで廃水を処理するといったサステナブルなワインづくりに取り組んでおり、チリワインのサステナブル認証も取得している。
ル ディス ド ロス ヴァスコス 2018
「ディス(Dix)」は、フランス語で「10」を意味する。チリでの経営開始から10年目の1998年に、初リリースされたのが「ル ディス ド ロス ヴァスコス」で、出来の良いヴィンテージのときだけつくられている。
「ル ディス ド ロス ヴァスコス 2018」は、1959年植樹と非常に古い樹のカベルネ・ソーヴィニヨンを使用している。
サスキア氏は「味わいに感じられるメントールの香りは、ぶどう畑の周囲にあるユーカリの森のメントール感を反映したものではないか。非常に丸みがあり、カベルネ・ソーヴィニヨン独特のミネラル感を持ったワインで、ボルドー・メドック地区のサン・ジュリアンやサン・テステフのワインを思わせるような味わいに仕上がっている」とコメントした。
“ブラックチェリー、熟したイチゴ、プラムのアロマがあり、ほのかなオークの香り、デリケートな杉、黒鉛、ダークチョコレートのニュアンスも。涼しい夜のおかげで程よい酸味”(セミナー資料より)
Le Dix de Los Vascos 2018
タイプ・味わい:赤・フルボディ
産地:チリ/コルチャグアバレー
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン92%、シラー8%
ラベルのこぼれ話
「ル ディス ド ロス ヴァスコス」は、2018年ヴィンテージからラベルを新しくした。黒い背景はチリの爽やかな夜を、三日月を囲む白く細い線は広がる古樹の根をイメージしたものだ。
ラベルの紙は、サスキア氏が以前サントリーのウイスキー「碧Ao」を手にしたときに、和紙のようなラベルの質感を気に入り、似た材質の紙をワインラベルに採用したとのこと。
次回の記事では、5大シャトー筆頭であるシャトー ラフィット・ロートシルト(Château Lafite Rothschild)のサステナブルなワインづくりと、同シャトー取得から150周年を記念する「シャトー ラフィット・ロートシルト 2018」を紹介する。
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①サントリーとの提携40周年
②大切なのは畑に出て、畑を「観察」すること