INDEX
国際協力機構(JICA)は2025年5月26日、東京都千代田区のJICA本部(麹町)で、モルドバにおける農業支援をテーマにした報告会を開催した。WineBazaarでは、これまで3回にわたり、JICAのモルドバワインに関する取り組みを紹介してきた。
今回は番外編として、実際にモルドバワインを取り扱う「イオンリカー四谷店」を取材。スタッフの武藤広岳ソムリエと、広報でありワインエキスパートの資格を持つ西條治子氏の2人に、モルドバワインの魅力と実際に取り扱っている5本のワインについて伺った。

左が西條治子さん、右が武藤広岳ソムリエ
ソムリエも応えを感じるモルドバワイン
東ヨーロッパに位置するモルドバは、国民の多くが家庭でワインをつくっており、毎年「ワインの祝日」を祝うほどワイン文化が根付いている。ワインづくりの歴史は5000年に及び、ジョージア(旧グルジア)と並ぶ長い伝統を誇る。しかし、日本ではまだあまり知られておらず、800ページ以上ある日本ソムリエ協会の教本でも、モルドバについて書かれているのは10ページに満たない。まさに“知られざるワイン産地”だ。
武藤ソムリエは、「日本ではほとんど知られておらず、ソムリエでもあまり知らないような産地ですが、飲んでみると非常に高品質でリーズナブルなところが魅力です。モルドバワインの良さを日本の皆さんにも知ってもらいたいですね」と語っている。
これまでのシリーズでは、日本市場へのモルドバワインの輸出促進を支援するJICAの取り組みを紹介してきたが、実際に販売を行う小売店の目線でも、「これからの可能性を感じるワイン」と評価されている。
初心者も上級者も楽しめる多様性
肥沃な土壌と豊富な日照に恵まれている、モルドバ。一般的にワイン用ぶどうには痩せた土壌が適しているとされるが、モルドバでは豊かな土壌が個性と幅広い味わいを生み出している。
栽培されているぶどうは、大きく分けて2種類。1つは、世界的に親しまれているカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ソーヴィニヨン・ブランなどの国際品種だ。もう1つは、地域で長年大切にされてきた、肥沃な土壌に適したモルドバ固有の土着品種となる。
いずれも単一品種のワインもあれば、国際品種と土着品種をブレンドしたワインもある。特に固有品種を使用したワインは、モルドバでしかつくれない唯一無二の存在だ。
リピーターの多さに手応え
モルドバワインは、店頭でも確かな反応を得ている。
武藤ソムリエは、「モルドバワインの存在を知らない方でも、試飲すると『おいしい』と感じて購入いただける確率が非常に高いです。リピーターも多く、今では非常に人気のあるワインになっています。ご自宅用だけでなく、品質の高さと珍しさから贈答用として選ばれることもあります」と、手応えを感じているそうだ。
話題性にとどまらず、「また飲みたい」と思わせる味わいが、モルドバワインの大きな強みとなっている。
イオンリカー独自! モルドバワインを『好みで選ぶ』方法
初めてモルドバワインを手に取るという方は、どうやってワインを選べばいいのか悩んでしまうかもしれない。そんな時に役立つのが、イオンリカー独自のこちらのカードだ。
このカードでは、味わいやタイプをアルファベットと数字で分類。味わいが想像しやすく、好みに合ったワインを直感的に見つけられる仕組みになっている。裏面には、ワインごとの味わいの説明や相性の良いメニューの説明も書かれている。
店員と相談しながらじっくり選ぶこと、自分のペースで棚を巡って発見を楽しむこと、どちらもできるのがイオンリカーの魅力だ。
イオンリカーで買える! 5本のモルドバワイン
この日、イオンリカーの店頭で紹介されたモルドバワインは5本。つくり手ごとに紹介する。
クリコーヴァのスパークリングワイン
クリセッコ ブリュット
タイプ:白泡・やや辛口
品種:フェテアスカ・アルバ(土着品種)100%
参考小売価格:1958円(税込)
クリコーヴァは、全長120kmほどの巨大な地下セラーで知られる、モルドバ最大規模の老舗ワイナリーだ。 そのクリコーヴァが手がけるスパークリングワインは、土着品種フェテアスカ・アルバを100%使用し、高い品質に対して驚くほど手頃な価格を実現している。贈答用としても人気が高い。
実際に試飲してみると、すっきりとした酸味に加え、後味にはほんのりとした苦味も感じられる。山菜の天ぷらや中華料理など、幅広い料理と相性が良さそうだ。初心者にも親しみやすく、ワイン愛好家も納得の「誰もが楽しめる1本」と言えるだろう。人に贈りたいワインとして選ばれているというのも納得だ。
【武藤ソムリエのコメント】
ジャスミンの花のような香りやリンゴのようなすっきりした味わいもあり、魚介のカルパッチョやアクアパッツァのような、ハーブを効かせた魚料理と一緒に味わうのが非常におすすめです。モルドバの個性もしっかり感じられるようなスパークリングワインで、非常に高品質なワインだと思っております。
シャトー・クリスティの4本
シャトー・クリスティは、モルドバの首都キシナウの市長を務めたこともある、元政治家のウラジミール・クリスティ氏が立ち上げたワイナリーだ。特に「ポリティカ」シリーズは、「政治不信などにも負けないような、自由を楽しむ人々のためのワイン」というメッセージが込められ、かなりポップなラベルでありながら、「見ざる・言わざる・聞かざる」の3猿が隠された意味深なデザインとなっている。
ポリティカ クーパージュ リベラル
タイプ:白・辛口
品種:シャルドネ、リースリング
参考小売価格:1958円(税込)
シャルドネのまろやかさとリースリングのクリアな酸味が調和した、モルドバならではのブレンド。伝統的なワイン産地としては珍しい組み合わせが、まさにモルドバワインの自由な発想を象徴している。白ぶどうの生産が60%を超えるモルドバワインの中で、武藤ソムリエが特におすすめする1本だ。
【武藤ソムリエのコメント】
アタックにシャルドネ由来のまろやかさ、余韻にリースリングのキレイな酸が感じられるのが魅力です。
ポリティカ クーパージュ デモクラティック
タイプ:赤・フルボディ
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー
参考小売価格:1958円(税込)
【武藤ソムリエのコメント】
ボルドー品種のブレンドですが、ボルドーとの違いが楽しめます。土からくる親しみやすい味わいが特徴です。樽もそれほど使用していないので、フレッシュなぶどうの味わいも楽しめます。
ポリティカ ピノ・ノワール
タイプ:赤・ミディアムボディ
品種:ピノ・ノワール
参考小売価格:1958円(税込)
【武藤ソムリエのコメント】
赤い果実由来のすっきりした香りがあり、ブルゴーニュなどのフランス産ピノ・ノワールとは違う個性を楽しんでいただけます。
ブラボー ララ・ネアグラ ブレンド
タイプ:赤・フルボディ
品種:ララ・ネアグラ40%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、メルロー20%、シラーズ20%
参考小売価格:2508円(税込)
【武藤ソムリエのコメント】
国際品種と土着品種のブレンドです。フレッシュな果実の風味とジャムのような濃厚さが絶妙に重なる深みとコクがあります。このワインに骨格を与えているのが、土着品種のララ・ネアグラです。
イオンリカーのオンラインショップでは、これらの他にもモルドバワインを取り扱っている。気になった人は、ぜひそちらもチェックしてみてほしい。