インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など、複数の記事・書籍を参考にして世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回も前回のアメリカに引き続きワインの「新興勢力」と呼ばれ、近年頭角を現しているアルゼンチンとチリの赤ワインを取り上げる。
成長著しい南アメリカの赤ワイン
アルゼンチンは、フランス、イタリア、スペイン、アメリカに次いでワイン生産量第5位の世界有数のワイン大国だ。2010年にはアルゼンチン大統領がワインを「国民酒」であると宣言した。
一方、チリは、日本の財務省が発表した貿易統計によると、2015年の国別ワインの輸入先でフランスを抜いて首位の座に就いた。
それでは、そんな2カ国の赤ワインの特徴を見ていこう。
アルゼンチン
アルゼンチンの赤ワインに使われる主要なぶどう品種はマルベックだ。マルベックでつくるワインはオーク樽の中で長期熟成させることで、コクと豊潤な香りを醸し出す。マルベックの主要生産地はメンドーサ州に集まり、アルゼンチン産ワインの約70%を生産している。
マルベックに次いで生産されているのがボナルダ種。ベリー系のフルーツの香りが豊かで、果実味とタンニンが豊富なのが特徴だ。
チリ
チリで生産されるワインの約75%が赤ワインだ。カベルネ・ソーヴィニヨン種を筆頭に、メルロー種、カルメネール種が主に使われている。チリ産のワインは、チョコレート、緑コショウ、ローストしたバニラビーンズの味わいを特徴に持つ。
カルメネール種は、最近までメルロー種と間違われて栽培されてきたという事実があるほど特徴が似ている「ボルドーで絶滅したぶどう品種」なのだ。従って、造り方を間違わなければ、ボルドーに引けをとらない高品質な赤ワインに仕上がる。