ジメジメと蒸した空気がどうにも苦手。洗濯物が乾かない。子供を外遊びに連れていけない。梅雨は多くの人にとって、どことなく悩ましい季節かもしれない。
でも、農作物にとっては恵みの雨。きっと梅雨という季節があるからこそ、四季折々の豊かな作物がおいしく育つのだろう。
夏のようにビアガーデンやビーチで外飲みできる季節ではない。でも、そんな梅雨の時期だからこそ、しとしとと降る雨を眺めながら乾杯するのも乙なものではないだろうか。
梅雨で少し憂鬱な気分も、旬の食材とおいしいワインをぴったり合わせれば、きっとどこかへ消えてしまうはず。梅雨時に味わいたいワインをご紹介しよう。
イタリア エミリア・ロマーニャ州のランブルスコ
快晴の夏空にはキュッと冷えた辛口白がよいが、梅雨時はもう少しコクのある味わいがほしい。
そんなときは、イタリアを代表する赤の発泡ワイン、ランブルスコを手に取ろう。キメの細かな泡立ちとフレッシュな酸味が特徴だ。
イタリアでは生ハム類やボロネーゼなどと合わせることが多い。これは、口中の肉の脂を、ランブルスコの泡がすっきりさせてくれるからだ。
この時期の肉料理には、重々しい赤ワインではなく、ランブルスコを合わせてみてほしい。
イタリア カンパーニャ州のファランギーナ
ファランギーナは南イタリアで栽培されている白ぶどうだ。南部のワインらしく果実味が豊かで、白桃やパイナップルのような香りと、どことなくスパイシーな雰囲気がある。
味が凝縮したおいしい枝豆や、バルサミコ系のドレッシングで食べるトマトと一緒に楽しみたい。
フランス コート・デュ・ローヌ地方のヴィオニエ
ヴィオニエのワインを飲んだことはあるだろうか。ワイン店でヴィオニエのワインを探すと、銘醸地の高価な「コンドリュー」を薦められるかもしれない。だが、手頃な値段でもおいしいワインはたくさんあるので探してみよう。
ヴィオニエを使ったワインは、花の香りと複雑な味わいの奥行きが楽しめる。まさに梅雨空をゆったりと楽しむのに最適な白ワインだ。ボディがしっかりしているので、香り豊かな新ごぼうなどとともに味わいたい。
南アフリカのシュナン・ブラン
ロワール地方で甘口・辛口のどちらにも多用されるシュナン・ブラン。この品種は南アフリカでも多く栽培され、リーズナブルで品質の良いワインが多く醸造されている。
アフリカの大地の持つパワーのおかげだろうか。シュナン・ブランの持つ蜜感が、力強さを感じさせるワインに仕上がる。トマトのオーブン焼きや、出始めのゴーヤを使ったチャンプルーなどにぴったりだ。
カラフルで見た目も楽しい夏野菜が続々と出てくる梅雨の時期。青空を待ちながら、ボディのある辛口ワインをゆっくり楽しみ、上質な時間を過ごしてもらいたい。