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ワイン党か、ビール党か――。このサイトを見ている人なら、「ワイン党」と答える人が多いだろう。
ワイン党にとって、ビール党との食事は少なからず気を遣ったり、時には面倒なこともあるはずだ。特に彼女や彼氏、妻や夫など、親しい人がビール党の場合、行きたいレストランの意見が合わなかったり、一緒に飲みたいと思うボトルが注文できなかったりする。せめて記念日や思い出の食事では、共にワインを楽しめたらいいのに……。
そこで海外情報サイト「VinePair」が制作したインフォグラフィック「このビールが好きなら、きっとこのワインが好きなはず」を参考に、ビールの種類別にオススメのワインをご紹介しよう。アメリカで作られたインフォグラフィックなので、海外ビール好きでないと当てはまりにくいかもしれないが、パートナーに好みのビールを聞き出して、今夜からでもそのビールに近い味わいのワインを薦めてみてはいかがだろうか。
白ビールが好きなら ⇒ シャルドネ
苦みが少なくフルーティーな香りが特徴の白ビールが好きな人には、シャルドネを使った白ワインやスパークリングワインがオススメだ。
白ビール同様、薄い黄色味がかった色合いで、トロピカルなフレーバーが魅力のシャルドネ。特にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、温暖な気候で育ったシャルドネは、程よいコクと果実のアロマのバランスが良く、まるでジュースのような飲みやすさ。甘いお酒やカクテルを好む人、ワイン初心者にもとっつきやすいはずだ。
一方、涼しい産地で育ったシャルドネは、やや辛口ですっきりとした酸味が特徴。甘口が苦手なら、フランスやイタリア北部のシャルドネを試してみよう。
ウェストコーストIPAが好きなら ⇒ カルメネール
ホップ特有の苦みとハッカのような芳香を持つウェストコートIPA。それと似た特徴を持っているのが、カルメネールを使った赤ワインだ。
熟したカルメネールから作られるミディアムボディの赤ワインは、深みのある美しい紫色。ベリーやスパイス、たばこのようなスモーキーな香りが漂う。
イタリア北部やチリが主な産地で、他のぶどう品種とブレンドされたワインが多いが、カルメネール単一のワインの方が、よりウェストコートIPAに近いフレーバーを楽しめるだろう。
ポーターが好きなら ⇒ シラー
焙煎された茶色い麦芽の風味とホップの苦みが特徴のポーター。ポーターのような香ばしさが好みなら、シラーを使った赤ワインをオススメしたい。
南フランスや南米など、熱い地域で多く栽培されるシラーは、ポーターに似た深く濃い紫色で、ベリー系の果実の香りとスパイシーな香りを併せ持つ。
また、タンニンを豊富に含むため、力強く濃厚な味わいのフルボディの赤ワインに仕上がる。
ちなみに、オーストラリアでシラー(Syrah)は「シラーズ(Shiraz)」と呼ばれているので、探すときに注意してほしい。
ケルシュが好きなら ⇒ ソーヴィニヨン・ブラン
ケルシュはフルーティーな酸味と草原のようなアロマが特徴のドイツビールだ。ケルシュの「草のアロマ」は、ソーヴィニヨン・ブランを使った白ワインにも共通する。
明るい黄緑色のソーヴィニヨン・ブランは青草やハーブの香りを放ち、白ワインにすると青々しい風味とともに、すっきりとした酸味と清涼感が口いっぱいに広がる。
ニュージーランドなどの温暖な気候で完熟したソーヴィニヨン・ブランはトロピカルなアロマが強くなるので、フランス・ロワール地方などの寒冷地で栽培された未熟時のものを使用した白ワインの方が、よりケルシュに近い感覚が楽しめるだろう。
インペリアル・スタウトが好きなら ⇒ カベルネ・ソーヴィニヨン
「ビールの王様」と称されるインペリアル・スタウトが好みなら、カベルネ・ソーヴィニヨンを使った赤ワインがオススメだ。
インペリアル・スタウト同様、「ワイン界の王様」として君臨するカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインは、非常に濃厚でしっかりしたボディと複雑な味わいが魅力。ステーキやリブチョップなど、重めの肉料理にも負けない男性的な力強さを持っている。
チョコレートやオークの香りが強いことも、インペリアル・スタウトとの共通点と言えるだろう。
ペールエールが好きなら ⇒ メルロー
苦みが少なく、爽快なノド越しのペールエールと似ているのは、メルローを使った赤ワインだ。
朱色がかった美しいメルローの果実からつくられる赤ワインは、酸味が控えめでタンニンも柔らかく、まろやかな口当たりに仕上がる。
ペールエールがビール初心者向きなら、メルローはワイン初心者向き。万人受けする親しみやすい味わいだ。
デュッベルが好きなら ⇒ マルベック
ベルギーの伝統的なビール「デュッベル」をワインで例えるなら、マルベックを使った赤ワインだろう。どちらも黒に近い深い色合いと、フルーツ系やスパイス系の強めのアロマが特徴だ。
マルベックはタンニンが豊富で、主にどっしりとしたフルボディの赤ワインに仕上がる。濃い色に象徴されるように、ポリフェノールの含有量がワイン用ぶどう品種の中で最も高く、赤ワインが健康に良いとうたわれるようになったきっかけの品種でもある。
ピルスナーが好きなら ⇒ リースリング
チェコ発祥のビールスタイルで、現在では世界で醸造されるビールの大半を占めるピルスナー。日本で販売されているビールも、おおむねこのピルスナー・ビールだ。
「日本のメーカーのビールが好き!」という人には、リースリングの白ワインを試してほしい。
オーストリアやニュージーランドなどの標高の高い寒冷地で作られるリースリングの辛口ワインは、柑橘系やハーブの爽やかな香りと適度な酸味が特徴。苦みの中にもほのかな甘みが感じられ、非常に飲みやすい。
ただ、熟したリースリングを使った超甘口もあり、そちらはピルスナーとは似ても似つかない味わいになるので注意しよう。
ゴーゼが好きなら ⇒ ゲヴェルツトラミネール
原料に塩を加え、乳酸菌を使って発酵させるドイツビール「ゴーゼ」。ゴーゼのようなユニークな味わいを好むビール通には、ゲヴェルツトラミネールの白ワインをオススメしよう。
ゴーゼ同様、ケヴェルツトラミネールから作られる白ワインはアルコール分が比較的低く、柑橘系の香りとフレッシュな酸味で、引き締まった口当たりとなる。
一方で、遅摘みや貴腐化によって甘口のデザートワインに仕立てられることもあるので、ゴーゼのような風味を求めるなら辛口をチョイスしよう。
ランビックが好きなら ⇒ ピノ・ノワール
ビールでは珍しい自然発酵によって作られるベルギー発祥のランビック。酸味を帯びることから、ビールの中でもワインに近いと言われるランビックは、ピノ・ノワールの赤ワインと似ていると言えるだろう。
芳醇な香りを放つ深い紫色のピノ・ノワールは、軽めで渋みが少なく、フレッシュな風味の赤ワインとなる。ただ、気候や土壌によって、品質にバラつきが出やすい繊細さも併せ持つ。ランビックには程遠いピノ・ノワールに出くわすこともあるので、期待し過ぎは禁物かもしれない。
あなたの身近にいるビール党にオススメできるワインは見つかっただろうか? これを機にワイン党に鞍替えしてくれたらしめたものだろう。
でもこのリストを見せたら、きっとビール党もあなたに一押しのビールを薦めるはず。そのときは快く、ビールの世界にも付き合ってあげてはいかがだろうか。