コラム

古来品種6種、指定文化財・樹齢約130年のぶどう樹を生かして「日本独自のワイン」をつくる大和葡萄酒【ワイン&グルメジャパン2017レポ】

ワイン専門の総合見本市「ワイン&グルメ ジャパン2017」が2017年4月に開催された。ワインバザール編集部が同イベントを取材した中で気になった出展者、「HUGGY WINE(ハギーワイン)」というブランドの下、ワインづくりに取り組む大和葡萄酒を紹介していきたい。

日本古来のぶどう品種7種のうち6種を復活・保存

――大和葡萄酒の手掛けるワインの特徴、こだわりについて教えてください。

大和葡萄酒は、「日本独自のワインづくり」を目指すワインメーカーです。日本最古のぶどう品種と言われている甲州を実らせるぶどう樹の中でも、日本最古の樹とされている「甲龍」を管理しています。樹齢約130年となる甲龍は指定文化財に指定されていまして、大和葡萄酒が管理するぶどう樹としては、甲龍から枝分けした樹齢約100年の「三森甲州」も指定文化財となっています。こうした歴史的な資産を生かしながら、ワインづくりをしているのが特徴です。

大和葡萄酒株式会社 代表取締役社長 萩原保樹氏

大和葡萄酒を代表するワインとして、日本古来のぶどう品種にこだわり、甲龍から枝分かれしたぶどうを使った「古代甲州」という商品があります。ストーリー性がある素晴らしいワインで、マンガ「神の雫」でも紹介されました。Japan wine Competition(日本ワインコンクール)では古代甲州の2008年ヴィンテージが銅賞を受賞しました。

このように、日本古来のぶどう品種にこだわったワインをつくるため、古来品種の探索・復活・保存に努めています。日本の古来品種としては、甲州・竜眼・甲州三尺・大阪紫葡萄・聚楽葡萄(じゅらくぶどう)・高浜葡萄・水晶葡萄の7種があります。大阪紫葡萄と京都の聚楽葡萄は自然淘汰されて現存しないと言われていましたが、2008年ごろに大阪紫葡萄を探し出し、2012年ごろに聚楽葡萄を見つけました。天草の高浜葡萄も2012年ごろから管理するようになり、日本の古来品種7種のうち水晶葡萄以外の6種を保有しています。

また、スパークリングワインも非常に高い評価を受けています。2009年から2016年まで、ワインコンクールのスパークリングワイン部門で入賞したワインの3割ほどが大和葡萄酒のスパークリングワインです。2016年の日本ワインコンクールのスパークリング部門でも、金賞・銀賞の15本のうち6本、およそ4割が大和葡萄酒のものでした。

大和葡萄酒の創業は大正2年(1913年)。100年以上の歴史を誇りますが、山梨県・勝沼で活動するワインメーカーには、100年くらいの歴史があるところはざらにあります。ただ、歴史があればおいしいワインをつくれるというわけではありません。伝統に甘んじず、日本古来のぶどう品種を生かした日本独自のワインをつくり、世界で通用するワインメーカーを目指していきたいと考えています。

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