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シャトー ラフィット・ロートシルト(Château Lafite Rothschild)は、1855年にメドックの格付けが制定された際、第1級に格付けされた4シャトーのうちの1つだ。1973年にシャトー ムートン・ロートシルト(Château Mouton-Rothschild)が昇格して5シャトーが第1級となっているが、その中でも筆頭として絶大な存在感を誇っている。
同シャトーのワインは、ルイ15世をはじめとする王族が愛飲し、王室の晩餐会でも振る舞われていたことから、「王のワイン」と呼ばれていたという。
そんな格式高いシャトー ラフィット・ロートシルトについて、歴史や特徴を紹介する。
第1級筆頭シャトーとしてゆるぎない存在
シャトー ラフィット・ロートシルトは、フランスワインの銘醸地ボルドーの中でも著名なメドック地区のポイヤック村にある。シャトーがポイヤック村の標高の高い場所に位置することから、「小高いところ」を意味する「La Hite(ラ・イット)」を転じた「シャトー ラフィット」という名が付けられたという。
13世紀からぶどうを栽培しており、17世紀にはセギュール家がシャトーを取得して、本格的なワインづくりが始まった。その後、所有者が何度か変わり、1868年にロートシルト(英語読みではロスチャイルド)家のジェームズ・ド・ロートシルト男爵が所有者となって「シャトー ラフィット・ロートシルト」と改名した。
1855年には、パリ万国博覧会で実施された公式のメドック格付けにおいて、第1級格付けの筆頭として高く評価された。以来170年間、第1級筆頭であり続けるシャトー ラフィット・ロートシルトは、その地位にふさわしい、気品ある最高峰のワインを生み出し続けている。
シャトーを取り巻くテロワールや醸造のこだわり
シャトー ラフィット・ロートシルトは、ポイヤック村の北側にある100haあまりのぶどう畑で、主にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを栽培している。畑は石灰質を含む砂利質土壌で水はけが良く、メドックでも最良と呼ばれる、ぶどうに最適な土壌だ。
醸造法は、伝統的な手法に現代の最新技術を取り入れている。使用する樽は全て自社の樽工房で製造したもので、ワインの特性に応じて調整してトースト(樽の内面を火であぶって、成形する作業)している。また、ぶどうの区画ごとに醸造できるよう、必要に応じて50~125hlの低容量ステンレスタンクを使用している。
また近年では、サステナブルなワインづくりにも力を入れている。2018年にオーナーとなったサスキア ド ロスチャイルド氏は、ぶどうの遺伝的多様性を保存し、気候変動に強いぶどう品種を選定する「PHARE(フランス語で灯台の意)」プロジェクトや、ぶどう畑の周りに広がる森の動植物を保護する取り組みを進めている。
シャトー ラフィット・ロートシルトのおすすめワイン
シャトー ラフィット・ロートシルトのワインは、繊細でエレガントな味わいが特徴だ。数あるワインの中から、2点を紹介する。
シャトー ラフィット・ロートシルト
シャトー ラフィット・ロートシルトのファーストラベル。5大シャトーの中で最も複雑な香り、しなやかで高貴な味わいを楽しめる。ぶどうの出来次第で年ごとにブレンド比率が変わるが、近年の当たり年は2014年、2012年、2011年、2000年、1999年とされる。
タイプ・味わい:赤・フルボディ
産地:AOPポーイヤック
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド
カリュアド ド ラフィット ロートシルト
「カリュアド」は、同シャトーが1845年に購入した区画「カリュアドの丘」に由来する。「シャトー ラフィット・ロートシルト」のセカンドラベルだが、2015~2022年は全てパーカーポイント90点以上を獲得しており、安定した品質の高さがうかがえる。
タイプ・味わい:赤・フルボディ
産地:AOPポーイヤック
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローを主に、ヴィンテージによりカベルネ・フラン、プティ・ヴェルドをブレンド