INDEX
ボルドー5大シャトーを取り上げる本シリーズ。最後を飾るシャトー・ムートン・ロートシルトは、5大シャトーの中でも最も華やかなイメージを持たれているシャトーだ。味わいはダイナミックでリッチなのが特徴で、最低でも10年の熟成が必要だと言われている。
唯一、事後昇格を果たした「遅れてきた1級シャトー」
今ではボルドー・メドック地区の第1級と言えば「5大シャトー」が当たり前だが、44年前まで「4大シャトー」だったのをご存じだろうか。
1855年の格付けで、1級に匹敵する品質を持ちながら、「フランス人がオーナーではない」という理由からシャトー・ムートン・ロートシルトは2級に落とされたと言われている。それでも、その後の地道な努力の結果、最初の格付けから118年後に1級へと悲願の昇格を果たした唯一のシャトーがムートン・ロートシルトだ。
希代のアーティストが描く毎年のラベル
シャトー・ムートン・ロートシルトのワインは、その時代に活躍する稀代の芸術家が描くオリジナル・ラベルと共に語られることが多い。ワインの出来栄えに加えて、人気のあるラベルのヴィンテージが高値で取引されているのだ。
有名なのは、ダリ(58年)、ピカソ(73年)、ウォーホール(75年)、キース・へリング(88年)など。これらの画家への謝礼は、ワインで支払われると言われている。
革新的なアイディアを実践
1855年、1級に格付けされずに終わったロートシルト家は、1級への昇格を目指して、次々と新しい試みを導入していく。
1924年には、それまで樽で出荷するのが当たり前であった時代に、シャトーでの瓶詰を開始。また巨大な美しい貯蔵庫を建てて、メドックの一大名所に仕立て上げた。1933年にはムートン・カデなどのブランドを擁して生産・販売に関するビジネスをスタートする。1945年にはアーティストによる毎年異なるラベルデザインを開始。こういった一連の努力は、ムートンの華やかなクオリティと合わせて評価され、例外とも言える1級への事後昇格を実現させた。
ユーモアあふれる「羊」の紋章
もともとこのシャトーの名前「ムートン」は「羊」のことではなく、「土塊=モット」が訛ったことが由来だという。
砂利質の多い、ぶどうの栽培に適した良質な土壌を持っていることからこの名がついたと言われるが、多くの人に「羊」と誤解され、また先代のオーナーが牡羊座生まれだったことから、羊のマークを付けるに至ったというしゃれたエピソードがある。
シャトー・ムートン・ロートシルトのおすすめワイン銘柄
シャトー・ムートン・ロートシルトの手掛けるワインは次のとおりだ。
シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルトのファーストラベル。5大シャトーの中でも、一番華やかでアーティスティックなイメージを持たれている。
エール・ダルジャン
1991年ヴィンテージから一般にも提供されるようになった白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンを主体にしたボルドーブレンド。
ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト
ムートン・ロートシルトのセカンドラベル。ファーストと同じ区画のまだ若い木のぶどうを中心に使用してつくられている。年によってはファーストより入手困難となることもある人気のワイン。