チリ最高峰のワイン「アルマヴィーヴァ」をご存じのワインバザール読者の方も多いと思う。
アルマヴィーヴァは、ボルドーの第1級シャトーであるシャトー・ムートン・ロスチャイルドと、チリワインを代表するワインメーカーであるコンチャ・イ・トロがタッグを組んで送り出したドリーム・ワインだ。
「格付け制度のないチリでも、世界トップクラスのワインをつくろう」という気概を持ち、徹底した品質管理と最新設備を使ってつくり出すのがアルマヴィーヴァだ。年間の生産量は3500ケースのみという希少性も手伝い、今や非常に入手しにくい人気ワインとなっている。
このコラムでは、アルマヴィーヴァについて解説していこう。
アルマヴィーヴァのファーストヴィンテージは1997年
ワイナリーとしての「アルマヴィーヴァ」は、ボルドー5大ワイナリーの1つシャトー・ムートン・ロスチャイルドを擁するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドと、チリで最大級のワイナリーであるコンチャ・イ・トロとの合弁事業としてスタートした。
アルマヴィーヴァ最初のヴィンテージは1997年。発売は1998年と比較的最近のことだが、「チリのオーパス・ワン」などと呼ばれ、瞬く間に人気のワインとなった。
近年では、2005年から「マイクロゾーン」と呼ばれる細かい区画ごとにぶどう栽培を管理するようになった。その結果、パワフルなスタイルからアロマティックなスタイルへと変貌。カベルネ・ソーヴィニヨン主体のアルマヴィーヴァだが、ここ10年ほどでメルローやプティ・ヴェルドも使われるようになった。
変化を恐れず着実に進化する味わいは、さらなる高評価を呼んでいる。
「アルマヴィーヴァ」という名前の意味
「アルマヴィーヴァ」という名前は、フランスの古典文学の「フィガロの結婚」に出てくる「アルマヴィーヴァ伯爵」から付けられた。
ラベルに描かれている字体は、「フィガロの結婚」の著者である劇作家・ボーマルシェ自身の筆跡だ。
ワインラベルに描かれているモチーフは、チリの先住民族マプチェ族の祭礼用太鼓に付けられるマーク。十字架は東西南北、4つの点が春夏秋冬、半円の形は風を表す。
アルマヴィーヴァの特徴と飲み頃
スタイルとしてはボルドータイプのアルマヴィーヴァだが、7割を超えるカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、2割ほどのカルメネールが足されている。
ブラックベリーなどの黒果実の濃く甘い香りがあふれ、甘草やスパイス、バニラやナッツなどのニュアンスがある。果実味はフレッシュで適度な酸を携え、タンニンはしっかりとしていながらもしなやかだ。
リリース直後でも楽しめるワイン。ヴィンテージによるが数年程度寝かした方がいいとされ、優れたヴィンテージのものは10~20年と熟成を重ねることによってさらに複雑味と奥行きが期待できるようになる。
アルマヴィーヴァの当たり年は?
リリース以来、ワイン評論家のロバート・パーカー氏が1度も90ポイント以下をアルマヴィーヴァに付けたことはない。チリの安定した気候にも恵まれ、毎年素晴らしいワインをつくり続けている。
その中でもあえて当たり年を考えてみると、2004~2013年のチリワイン全体についてパーカー氏が高得点を付けたのは2013年(93点)、2011年(92点)、2010年(90点)、2008年(90点)、2005年(90点)となっている。
また、コンチャ・イ・トロが2016年に作成した資料においても、アルマヴィーヴァを紹介するページにおいて、2011年と2013年、特に2013年にパーカーポイント94点を獲得するなど、特に高評価を得たと記されている。