コラム

オーパス・ワン、カリフォルニアの元祖キラ星ワインの魅力を探る[覚えておきたいワインブランド]

アメリカ・カリフォルニア州ナパ・ヴァレーで最も有名なワインと言えば「オーパス・ワン」だろう。ワインバザールが過去に実施したワイン好き200人を対象とした調査でも、「一番おいしかったワイン」として名前を挙げる人が最も多かったワインだ。

アメリカでつくられるワインへの評価が決して芳しくなかった時代に登場し、オーパス・ワンはアメリカでもプレミアム級のワインをつくり出せると証明してみせた。今でこそ、カリフォルニア産の高級ワインが数多く産出されているが、その扉を開けたのは、間違いなくオーパス・ワンだ。

そんなオーパス・ワンについて、知っておきたいポイントを紹介していこう。

Opus One 2002

オーパス・ワン ヒストリー

オーパス・ワンは、フランス企業とアメリカ企業のジョイント・ベンチャーとして設立されたプロジェクトだ。

主役はシャトー・ムートン・ロスチャイルドの醸造担当ルシアン・シオノー氏と、「カリフォルニアワインの父」と称されるロバート・モンダヴィ氏の息子・ティモシー氏の2人。まさに、米仏トップ生産者の「夢のコラボ」と言える。

オーパス・ワンの初ヴィンテージは1979年。その2年後には、ナパで開かれたオークションにて、1ケースが2万4000ドルという高値で落札された。

1990年ごろには、オーパス・ワンの価値は世界中に知られることとなる。当時の日本は、バブルの絶頂期。赤ワインブームの牽引役としてもてはやされ、価格が高騰することになった。

近年では、さらに高価な「スーパー・プレミアム・クラス」のカリフォルニアワインが続々と登場している。そんな中でもオーパス・ワンは価値を落とすことなく高評価を集め続け、その地位を保ち続けている。

オーパス・ワン 名前の意味

「オーパス」とは「作品」。ラテン語で、クラシック音楽にてよく使われる言葉だ。

「1本のワインは交響曲のようなもので、1杯のワインはメロディのようなものだ」というロスチャイルドの考えから「オーパス・ワン(=作品番号1番)」と命名された。

そのラベルには、それぞれ左右を向くロスチャイルド伯爵とロバート・モンダヴィの2人が描かれている。

Opus

オーパス・ワン 特徴と楽しみ方

オーパス・ワンの味わいは、黒果実の豊かな香りとフレッシュな果実味が特徴だ。また、それを取り巻くバラや甘草の風味が奥行きを与え、複雑味のある味わいを構成する。

良質なカベルネ・ソーヴィニヨンの肉付きの良さ、骨格の確かさ、そしてしなやかなタンニンのバランスが素晴らしい。親しみがありつつも高貴な香りをまとう大女優のようなワインだ。

オーパス・ワンは熟成を楽しめるワインでもあるが、リリース直後でもおいしく飲めるワインでもある。そのため、気に入ったヴィンテージを複数本買って、リリース直後と数年後を飲み比べる愛好家も多い。

ただし、抜栓後にしばらく空気に触れさせてこそ、その真価が味わえる。もし飲む機会に恵まれたなら、少なくとも1時間以上前には抜栓し、デキャンタージュしておくことが望まれる。

オーパス・ワン 当たり年

極上のカリフォルニアワイン、オーパス・ワンは全体的に価格が高い。その中でも当たり年と評価されたものは、値段がさらに高くなる傾向がある。

ちなみに有名なワイン評論家、ロバート・パーカー氏は、90年代までのオーパス・ワンに「割高」などと辛辣な評価をつけていたが、2001年以降の評価はガラッと変わり、高めの評価となっている。

オーパス・ワンの当たり年:2013年、2012年、2010年、2007年、2005年、2001年

オーパス・ワン・ワイナリーのつくるワイン

オーパス・ワン

Opus one wine

オーパス・ワン・ワイナリーのフラッグシップ。話題となって久しいが、現在も常に世界トップレベルの評価を受けている。

オーパス・ワン・オーヴァーチュア

Untitled

オーパス・ワンのセカンド・ワインとしてつくられているオーヴァーチュア。「オーヴァーチュア」には「序曲」という意味がある。

こちらは非常に生産量が少なく、ワイナリーでのみ購入が可能だ。

収穫されたがオーパス・ワンには使われなかったぶどうを使用。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にカベルネ・フランやメルローをブレンドしたクラシック・ボルドー・スタイルだ。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身