2017年10月8日、アメリカ・カリフォルニア州北部で大規模な山火事が発生した。
海外メディアの報道によると、この火災による死亡者数は19日時点で42人。火元になったナパ郡なども被害に遭っているが、ソノマ郡だけでも行方不明者数は53人に。22万エーカー(約890km2。東京都23区の面積は619km2)以上もの範囲が延焼したという。
カリフォルニア、特にナパやソノマと言えば、ワインの銘醸地として有名だ。火災の被害を受けたワイナリーもあると伝えられているのが、この火災による影響はどの程度なのだろうか。ワイナリー330軒を対象に調査したNapa Valley Vintnersのレポートが10月18日に公開されたので、その内容を紹介していこう。
深刻な打撃を受けたのは「一握り」にとどまる
同レポートによると、火災に巻き込まれたのは330軒中47軒。醸造施設や畑などに深刻なダメージを受けたのは数軒にとどまる。レポートでは再始動に向けて「楽観的」だとうたっている。
山火事が発生した10月8日の時点で、Napa Valley Vintnersの推計によると実ったぶどうのうち90%を収穫済みだった。火災発生以前にワインづくりに移っていたために被害は少なく、2017年ヴィンテージのクオリティについて「非常に楽観視している」という。
未収穫ぶどうの大半はカベルネ・ソーヴィニヨンで、火災がぶどうにどのような影響を及ぼしたのかはまだ不明だ。ワインメーカーの中には、火災によってぶどうが煙に巻かれた影響を調べるため、実験的に火災後に収穫したぶどうを使ってワインをつくってみるところもあるようだ。
ナパのワインを楽しむことが支援に
各ワイナリーで貯蔵・醸造中のワインについてもほぼ損なわれておらず、被害を受けたのはごくわずか。2017年ヴィンテージの出荷量は、平年よりも少なくなるだろうが、干ばつや霜害が発生した年と同じくらいになるだろうと見込んでいる。
そしてNapa Valley Vintnersはレポートの最後で次のように記している。
「世界中のワイン愛好家は、好みのナパ・ヴァレー産ワインを楽しむことが復興支援になります。ナパのワイナリー、労働者、コミュニティにとっては、こうした支援がこれまで以上に必要になっています」
Napa Valley Vintnersはナパへの寄付を検討中のワイン愛好家に向けては、Napa Valley Community Disaster Relief Fundを通じた募金を薦めている。
なお、カリフォルニアワインのうち、ナパで生産されるのは全体の4%ほど。Napa Valley Vintnersには530軒以上のワイナリーが加盟しているが、今回紹介した調査に回答を寄せたのは、そのうちの330軒だ。
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