静岡大学は2022年6月9日、ワイン用ぶどうの小さな花を高精度にカウンティングする、AI(人工知能)の開発に成功したと発表した。同大学峰野研究室とヤマハ発動機が連携して開発したもので、ぶどうの花以外にも応用できる。
ワイン用ぶどうの収穫量を早い時期に見積もるためには、開花の時期にどれくらい花が咲いているかを把握することが重要だ。これまでは、小さなぶどうの花を人が確認し、経験や勘によって収穫量を予想したり、多く結実しないよう花を取り除いたりしていた。
ぶどうの花を数えるAIは従来も存在していたが、既存の技術では75%程度の精度だった。今回の研究で開発されたAIは、メルローやソーヴィニヨン・ブラン、ジンファンデルなどの異なる品種でも、90%の精度でカウンティングできる。
具体的には、高精細カメラを搭載した小型移動車両を活用し、照明を当てながら夜間に動画を撮影する。この動画を利用し、花を含む領域を特定して、次に個々の花を検出してカウンティングする。さまざまな加工を加えてデータ量を増幅し、分析精度を上げる技術を推論時にも採用しており、夜間に撮影したぼやけた画像でも高精度に検出できる。
ぶどうの花だけなく、複雑な背景下の小さな部位を数える用途にも応用可能だ。今後は実用化を目指し、ワインづくりにおける作業者の負担軽減、持続可能な地域社会の実現を目指す。