フランス南部に広がるコート・デュ・ローヌ地方。南北約200kmにわたる広大なワイン産地で、フランス国内の広域AOCとしてボルドーに続く第2位の生産量を誇る。
コート・デュ・ローヌは大きく北部と南部に分けられ、北部には「コート・ロティ」「エルミタージュ」などの高級ワインの生産地がある。
一方、南部では「シャトーヌフ・デュ・パプ」などの一部の産地を除き、広域AOCワインが量産される。質が高くリーズナブルなものが多いため、フランス国内でも人気がある。
コート・デュ・ローヌには地元に根ざした小規模な生産者が多い。ただその中には、コート・デュ・ローヌの複数の土地に畑を持ち、それぞれのAOCワインをつくっている中規模〜大規模なつくり手も存在する。
そうした中規模〜大規模なつくり手も、日常的な消費品としてのワインに重きを置いているのか、高級ワインを手掛けつつも高品質な広域AOCワインを非常にリーズナブルに販売しているところも多い。
コート・デュ・ローヌワインの特徴
同じコート・デュ・ローヌでも、北部と南部で使用されるぶどうの割合が異なる。また、使用するぶどうがAOCにより大きく異なるのもコート・デュ・ローヌの特徴だろう。
例えば、北部の赤はシラーがメイン。それが南下するに従ってグルナッシュやムールヴェードルが増えてくる。白は全体的に生産量が少ないが、ヴィオニエを100%使うAOCコンドリューのように、個性的なものが見られる。
コート・デュ・ローヌは、ワイン評論家のロバート・パーカー氏が高評価をつける産地としても有名だ。特にパワフルなワインが生まれるコート・ロティ地区は、パーカー氏のお気に入りのようだ。
主なコート・デュ・ローヌのつくり手
それでは、世界規模で愛されるコート・デュ・ローヌを代表する作り手を、いくつかご紹介しよう。
E. ギガル
コート・ロティの“三兄弟”と、コンドリューにある「ラ・ドリアーヌ」という優れたぶどう畑を保有し、圧倒的な地位を手にした生産者。パーカーポイント100点を最も多く獲得しているつくり手でもあり、リーズナブルな価格帯のワインでも高評価を得ている。
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M. シャプティエ
伝統的手法と有機栽培を軸に、今や国際的にも知られる生産者となったシャプティエ。ビオディナミで土壌を再生し、そこから生まれたぶどうを丁寧に丁寧にワインへと導く。日常的な価格のものから大変評判が高く、ファンが多い。
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ポール・ジャブレ・エネ
伝統的手法にこだわるつくり手。エルミタージュを代表する生産者で、赤ワイン「ラ・シャペル」が有名。ワインの熟成のためだけの洞窟を所有することでも知られる。