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ワイン好きなら誰もが知る一大ブランド「ボルドーワイン」。その最新ヴィンテージの出来栄えが気になる人も多いだろう。
ボルドーワイン委員会は2017年11月、2017年ヴィンテージのぶどうの生育状況や天候についての情報を発表した。2016年は前年を上回る収穫量だったが、2017年はぶどう収穫量が激減してしまったという。
最新のボルドーワイン、2016~2017年のヴィンテージはどのように評価されているのだろうか。ボルドーワイン委員会の情報から紹介していこう。
2016年ヴィンテージ:降雨量の多い冬から一転、例年よりも乾燥した夏
2016年の気候については、前半(1~6月)と後半(7~12月)とで大きく異なったという。
1~6月の降雨量は722.4mm。同時期の平均降雨量(444.7mm)と比較して62%増とかなり多かった。特に、1月には233.8mmと記録的な大雨に見舞われている(1月の平均降雨量は87.3mm)。
雨量がかなり多かったおかげで、夏の乾期が訪れてもぶどうは耐えられた。日照時間は830時間で、平年と比べて18%少なかった。
一方、7~12月は降雨量が例年に比べ非常に少なかった。降雨量は101.1mmで、平均降雨量(283.5mm)と比べて64%も減少した。
このため花粉が雨で散ることがなく、結果的に充分な受粉が行われ、開花が同時期に集中した。
雨が降らなかった分、日照時間は975時間と平年と比べて16%増。特に7~8月は例年よりも晴天に恵まれ、一様なヴェレゾン(色づき)が得られたという。
こうした天候状況の結果、小春日和によってどの地区・ぶどう品種においても、ぶどうは最適な成熟度にまで達し、収穫は順調に進んだ。
その結果、2016年ヴィンテージに使うぶどうの収穫量は580万hL(ヘクトリットル)となり、前年比9%増となった。
2016年ヴィンテージ:ワインタイプ別の出来栄えは?
2016年ヴィンテージのワインはどのような出来栄えになったのだろうか。ボルドーワイン委員会によると、タイプ別に次のような特徴があるそうだ。
辛口白ワイン
メイン品種となるソーヴィニヨン・ブランの収穫は、9月5日からスタート。若飲みタイプのワインは生き生きとした味わいとなった。
赤/ロゼワイン
9月24日に、早熟なメルローの収穫がスタート。次いで10月12日ごろから遅熟品種であるカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが収穫された。
収穫時期には完熟に達しており、赤ワインは小さな黒い果実のアロマとしっかりとしたボディ、余韻を持つ味わい深いワインに仕上がりそうだ。
ロゼワインはワイルドストロベリーやラズベリーなど果実の酸味とともに、爽やかな口当たりを感じさせるワインとなった。
半甘口/甘口ワイン
9月中旬から10月末にかけて使用するぶどうを収穫。 凝縮された香りと味わいを持つ ワインとなった。
2017年ヴィンテージ:悪天候に襲われ、大幅な収量減に。ただし品質は高く「素晴らしいヴィンテージ」
2016年が比較的順調にぶどうを収穫できた反面、収量の面で苦戦を強いられているのが2017年ヴィンテージだ。
2017年4月下旬(21、27日)の2日間、フランス・ボルドーを含む西ヨーロッパは強い寒気に襲われた。霜により、ぶどう畑は大きな被害を受けたという。
ボルドーもその例外ではなく、ほとんどのシャトーは夜を徹してぶどうの保護に追われた。フランス農林水産省は2017年8月25日、「2017年ヴィンテージは、1945年以降、最低の収穫量となる可能性がある」とのコメントを発表している。
ボルドー地方の2017年ヴィンテージに使うぶどうの収穫は、例年よりかなり早期にスタート。白ワイン用のソーヴィニヨン・ブランの収穫が始まったのは、8月21日週から。全体的な収穫減は確実で、2016年と比較して約40~50%の収量減となるそうだ。
しかし、夏季が暑く乾燥していたことにより、収穫されたぶどうは非常に高品質とのこと。2017年のボルドーワインは流通数こそ少ないながら、「素晴らしいヴィンテージである」(ボルドーワイン委員会)という。
2017年ヴィンテージ:ワインタイプ別の出来栄えは?
2017年ヴィンテージはどのような出来栄えか、こちらもタイプ別にボルドーワイン委員会の情報をまとめてみた。
辛口白ワイン
フレッシュで、生き生きとしていて、とても表情豊か。白のとても素晴らしいヴィンテージとなった。
赤
とても良いアロマ豊かな表情と色、果実味、さわやかさを見せている。味わいはなめらかでまろやかさがあり、バランスが取れている。素晴らしい赤ワインのヴィンテージとなることが予想される。
甘口ワイン
甘口ワインの主役であるセミヨンは、凝縮とアロマの豊かさのためにとても良い天候条件の恩恵を受けた。