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2018年2月、東京・帝国ホテルで開催された「NAGANO WINE FES in 東京」。同イベントに参加した長野県のワイナリーの中から、注目のワイナリーを何軒か紹介していきたい。
今回紹介するのは、西飯田酒造店。長野県内でつくられたお米を使った日本酒「信濃光」を代表銘柄に持つ酒造店だ。ワインづくりも地元産のぶどうにこだわっているという。
江戸末期から続く酒造店が、約半世紀前から始めたというワインづくり。NAGANO WINE FESに出品した1本1本にこだわりが感じられた。
西飯田酒造店、こだわりのワイン3種
西飯田酒造店が出品したワインは、次の3種類だ。
メローズ リースリング(2500円/税別)
今回出品されたワインの中で最も古い1997年ヴィンテージ。在庫が限られた貴重なワインだ。
信州の地ワイン メローズ 2017(1100円/税別)
自社農園で栽培した「ナイヤガラ100%」で醸造したワイン。酵母は日日草の花酵母を使用している。
フルーティでありながらすっきりした辛口の味わいは、飲み飽きないおいしさだった。製造は約1000L。リーズナブルな一升瓶詰めは、毎年早々に完売してしまうという。
シードル(1750円/税別)
ワインと同様に、日日草の花酵母を使用してつくったシードル。リンゴ生産農家が多い地元の利を生かした1本だ。
冬眠から目覚めた1本も
会場内で来場者の方に「おもしろいワインがある」とご紹介いただき、西飯田酒造店のブースに足を運んだ。そのきっかけとなったのが、「メローズ リースリング 1997」だ。
自社農園で栽培しているリースリングを原料に、1987年から製造を開始。しかしながら、当時はリースリングという品種が日本ではなじみが薄かったために販売が難しく、毎年土蔵の中で眠らせたままになることが多かったという。
今回この1本が冬眠から目覚めた経緯について、西飯田酒造の飯田誠治さんはこう説明してくれた。
最近になって欧州系の品種が注目されてきていることから、土蔵より「冬眠中」の一升瓶の栓を開けて試飲したところ、濃厚な味わいに変身していました。
リースリングならではの瓶内熟成が進み、20年の歳月を経て琥珀色で芳醇、濃厚な味わいに生まれ変わっています。
試飲したソムエリ各氏からも商品化を勧められた次第です。今回の商品は1997年に製造し、一升瓶貯蔵のものを新たに4合瓶に移し換えてラベルも一新しました。
NAGANO WINE FESでの手応えも十分で、終了後には「県外のお客様からリースリングのご注文が複数ネットで入りました」ということだ。
蔵元らしいワインづくりを
江戸末期から日本酒造りをしている西飯田酒造がワインづくりを始めたのは、地元の農家から8代目当主の基社長が相談を受けたのがきっかけだったという。霜の被害で出荷できなくなったリンゴを、ワインに利用できないかと考えたのだ。
現在杜氏を務めるのは、9代目の一基さん(32歳)。父親と同じく東京農業大学で学び、花酵母の研究をしてきたという。白ワインに合う酵母として日々草の花酵母を選び、ワインづくりに取り組んでいる。
自社のワインづくりや今後の展望について、飯田誠治さんにコメントをいただいた。
長野市の西飯田酒造店は「信濃光」を代表銘柄として、近年新たに「積善」という花酵母で仕込んだ製品を発売する日本酒の醸造元です。また自社農園で栽培したぶどうを使ってワインをつくる藏元でもあります。
日本酒づくりも原料は自社農園栽培はじめ県内産米を基本にします。ワインも今まで以上に地元産にこだわって日本酒の蔵元としての特徴を生かし、「普段着で飲める」「顔の見えるワイン」の提供に努めてまいります。
長年地元に根付いた蔵元がつくるワインは、味わいにも価格にもこだわりが感じられるものだった。