前回、赤ワインの味わい・香りの表現方法について、ご紹介した。今回はスパークリングワインを飲んだとき、どう表現すればいいのか、まとめてみた。
「スパークリングワイン」と言っても、実にさまざまな製法で、多彩な個性を持ったワインがつくられている。
発泡なのか、微発泡なのか。辛口なのか、半甘口なのか。すっきり系なのか、しっかり系なのか――。スパークリングワインそれぞれの個性を的確に表現するアイデアを、いくつかご紹介していこう。
【外観】色や発泡具合を見てみよう
まず、スパークリングワインはガス圧によって複数の種類に分かれている。泡立ちの強さは、そのワインを印象付ける大切な要素だ。
スパークリングワインをグラスに注いだときに、どんな泡がどの程度出ているのかを見てみよう。
きめの細かい泡が「絶えず立ち上る」のか、それとも「次第に消える」のか。スパークリングワインは発泡が長く続くものが良質であるとされている。ある程度の発泡の強さがあれば、耳で小気味の良い発泡音を聞くこともできる。
次に確認してほしいのは、色だ。白色に近いさっぱりとした色合いのものから、黄味がかったいわゆる「シャンパンゴールド」まで幅広くある。
基本的には色が濃くなるにつれて、しっかりとした味わいのワインとなる。味の濃い料理に合わせたいなら、色が濃いめの1本を選びたい。
【味わい】基本は白ワインと一緒。「甘味」「苦味」「酸味」「果実味」のそれぞれを感じよう
続いて、スパークリングワインの味わいの表現について。まずは「甘味」だ。スパークリングワインは大きく分けて「辛口」と「甘口」とがある。
フランスを例にとると、「辛口」を指す「ブリュット」の他に「セック」という表現が主に使われる。「セック」は辛口と甘口の中間程度で「辛口でない」くらいのニュアンスだ。「ドゥミ・セック」「ドゥー」といった表現を使うと「甘口」となる。
次に「酸味」と「果実味」をチェックしよう。果実味は味わいの中では「まろやかさ」を担当する要素だ。マスカットや青りんごのような白・青っぽい果実、または桃やマンゴーを思わせる黄色っぽい果実と、系統が分かれる。
「酸味」はフレッシュさを際立たせる大切な要素だ。酸味が利いて極辛口のものは、まるでレモンスカッシュのようなさっぱりした味わいになる。酸味と果実味のバランスが同等程度のものであれば、ボリュームもありつつ爽やかなスパークリングワインとなる。酸味の表現としては、レモンやライムがよく使われる。
「苦味」についてはレモンピールやグレープフルーツのようなニュアンスが感じられるものがある。さらに、ピノ・ノワールのような黒ぶどうからつくられるワインの場合、皮の内側のポリフェノール成分が苦味に感じられ、味わいに奥行きをもたらしている。
【香り】グラスから広がる香り、鼻から抜ける香りを感じてみよう
次に香りについて。最初に、ぶどう由来の「果実の香り」があげられる。その他には、可憐なイメージの白い花、アカシアなどの「植物や花の香り」もよく使われる表現だ。
そして品質の良いシャンパンにはブリオッシュやトースト香と評される「イーストの香り」がよく感じられる。シャンパンの製法は瓶内熟成期間が長いため、その間に瓶内で酵母の働きが活性化する。この酵母の香りこそが、パンのイースト香とリンクするのだ。そのため、パンと瓶内熟成されたスパークリングワインは心地よくマリアージュする。
いかがだっただろうか。スパークリングワインは幅広い料理に合わせられる万能なワインだ。
ぜひお好みの1本を見つけて、毎日の食卓をさらに華やかにしてみてはどうだろうか。