コラム

覚えておきたいオーストラリアを代表するワインのつくり手6選 ~ 解説:オーストラリア名門ワイナリー

   

ワイン新興国と言われるオーストラリア。しかし、国を挙げてワイン産業の活性化を図った結果、オーストラリアはワイン大国へと成長してきた。

オーストラリアワインの主なつくり手

オーストラリアには、どのようなワインのつくり手がいるのだろうか。これまでワインバザールで紹介してきたつくり手をあらためてご紹介しよう。

SHIRAZ | Buy Australian Shiraz Cabernet | Buy Wine Online Free Delivery |

ウルフ・ブラス

オーストラリアで最も多くの賞を受賞しているワイナリーのひとつと言われている。

ワイナリーを代表するワイン「ブラック・ラベル」は、オーストラリアで最も権威があり、その年の最高の赤ワインに与えられる「ジミー・ワトソン・トロフィー」を1974年から3年連続で獲得した。さらに1998年ヴィンテージでも獲得している。

【関連記事】国内外3000以上の受賞歴。ウルフ・ブラスの代表作「ブラック・ラベル」は要チェック
Wolf Blass Black Label

カセラ・ファミリー・ブランズ(イエローテイル)

ラベルにワラビーが描かれた認知度の高いワイン「イエローテイル」を産するワイナリー。「伝説をつくったワイン」と評されるほど、アメリカのワイン市場で急成長を遂げた。

果実のおいしさを前面に出し、「誰もが気軽に楽しんで飲めるワイン」で、ワインになじみのなかった人たちをワイン市場に引き込んだ。

【関連記事】跳んでるアイツのワインラベル。アメリカで記録的成長を遂げたカセラ・ファミリー・ブランズ
Casella

クリス・リングランド

オーストラリアで最も素晴らしいシラーズを産すると評されるワイナリー。有名なワイン評論家ロバート・パーカー氏も「オーストラリアで最高のシラーズをつくるワインメーカー」と評した。
年間の総生産量がおよそ500ケースと非常に少なく、価格は1000ドルを超える。入手が難しいカルトワインとなっている。

【関連記事】最も入手困難なオーストラリアワインの1つ、パーカー氏が満点を4度付けた「クリス・リングランド シラーズ」
Chris Ringland Cellar

トルブレック

赤ワインの傑作を産み出す天才と評されるデイヴィット・パウエル氏が創業したワイナリー。
樹齢150年以上の古樹のシラーズを使用してつくる「ラン・リグ」は、全てのヴィンテージでパーカーポイント95点以上を獲得している。若樹のシラーズを使用してつくる「トルブレック・ウッドカッターズ・シラーズ」も高級赤ワインに匹敵すると評されている。

【関連記事】毎年PP 95点以上の「ラン・リグ」のつくり手・トルブレック。元きこりが古樹を生き返らせた
Killer Lineup of Torbreck Wines

ペンフォールズ

オーストラリアのワイン界に長期熟成ワインを誕生させたワイナリー。ボルドーに負けない長期熟成ワインとして「グランジ」を誕生させた。
ファーストヴィンテージ発売当初、オーストラリアの評論家たちは酷評したが、1960年になってファーストヴィンテージが熟成されてくると、各国で高い評価を得るようになった。中でも1955年ヴィンテージの評価は高く、20世紀の偉大なワイン12本のひとつに選ばれている。

【関連記事】オーストラリアでボルドーに負けない長期熟成ワインを。偉大な「グランジ」をつくり出したペンフォールズ
Penfolds wine bottle cake

ジェイコブス・クリーク

ジェイコブス・クリークのワインは、世界60カ国以上で楽しまれており、世界で1番売れているオーストラリアワインのひとつとされている。
最高級、最高品質ではないが、みんなが楽しめる手ごろな価格のワインだ。また、手ごろな価格にもかかわらず、バラエティーに富み、常に高い品質を保っている。

【関連記事】「世界ベストワイナリー100」で1位! オーストラリアを代表するジェイコブス・クリーク
DSC01401_m

オーストラリアワインの特徴

オーストラリアワインに使用されるぶどうの主要品種は、黒ぶどうではシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、白ぶどうではシャルドネ、セミヨンとなっている。

シラーズは、フランスのローヌ地方から伝わった「シラー」のこと。オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれている。シラーズは温暖で乾燥した気候に適しているので、オーストラリアでは栽培しやすい品種となっている。

冷涼な地域で栽培されたシラーズと比べると、オーストラリアで栽培されたシラーズには、スパイスのような香り成分「ロタンドン」の含有量が少ない。そのため、オーストラリアのシラーズでつくったワインは、ローヌ地方のシラーよりもスパイスの香りが柔らかになっている。

Hunter Valley Shiraz Grapes

カベルネ・ソーヴィニヨンは、温暖な気候に適しているため、オーストラリアでは品質の高いカベルネ・ソーヴィニヨンを栽培できる。オーストラリアのカベルネ・ソーヴィニヨンは、味わいや色が濃く、濃厚なワインになる。

オーストラリアのシャルドネを使ったワインは、フレッシュさだけでなく、トロピカルフルーツの味わいを持つ濃厚なタイプが多い。

セミヨンは、フランスのボルドー地方同様に、甘口でボリュームのある白ワインをつくるときに使用されることが多い。ニュー・サウス・ウェールズ州の貴腐ワインもセミヨン種を使用してつくられている。

オーストラリアワインは高品質でありながらも、手ごろな価格のものが多い。それを可能にしているのが、大手ワイナリーが多くの畑を所有しているということと、気候が比較的安定しているということ。特に、大手ワイナリーが集中している南オーストラリア州の気候は安定している。

オールドワールドのワインと同レベルのワインをより手ごろな価格で味わえるのもオーストラリアワインの魅力のひとつと言える。

Australia

オーストラリアワインの歴史

ぶどうが存在しなかったオーストラリアにぶどうが持ち込まれたのは1788年。ニュー・サウス・ウェールズ州の初代総督となったイギリス海軍のアーサー・フィリップ大佐が持ち込んだと言われている。

その後1825年に、ジェームズ・バズビー氏がニュー・サウス・ウェールズ州のハンター・バレーに本格的なぶどう栽培地を開くと、ぶどう栽培がオーストラリア全土に広がっていった。ジェームズ・バズビー氏はその功績を称えられ、「オーストラリアのワイン用ぶどう栽培の父」とも呼ばれている。

1800年代後半になると、イギリスがオーストラリアから甘口の酒精強化ワインを輸入するようになり、オーストラリアは酒精強化ワインを集中してつくるようになった。しかし、第2次世界大戦後、市場の嗜好の変化に伴い、スティルワインの生産に力を入れるようになった。

そして1960年、ついに世界を驚かせる素晴らしいオーストラリアワインが誕生した。ペンフォールズ社のワイン「グランジ」が、20世紀における最も偉大なワイン12 本のひとつに選ばれたのだ。それにより、オーストラリアワインの知名度と評価が向上した。

さらにオーストラリアは具体的な政策と数値目標を掲げ、2025年までにオーストラリアワインの認知度を向上させて、輸出量を増やすよう取り組んだ。その結果、2005年にはその目標を達成し、ワイン生産大国の仲間入りを果たした。

オーストラリアのワイン業界では、世界に先駆けてスクリューキャップを導入。オーガニック志向の高まりに伴いナチュラルワインが多くつくられるようになるなど、常に新しい取り組みが行われている。
The same wine sealed with cork and screwcap Comparision

オーストラリアワインの主な生産地

オーストラリアは、国土のおよそ60%がぶどう栽培に適さない乾燥地帯となっている。

ぶどうが栽培されているのは、おもにオーストラリア南東部と南西部で、その気候は地中海性気候に属している。

土壌は、砂質やシルト(粘土より粒が大きく粗い)、粘土質など多岐にわたる。そのため同じ品種のぶどうでも、土壌によってさまざまな違った味わいを楽しめる。

ニュー・サウス・ウェールズ州

シドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリアワイン発祥の地として知られ、中小規模の生産者が多い地域。手ごろな価格のテーブルワインや貴腐ぶどうでつくる甘口ワインの生産が盛んで、生産量も比較的多い。同州の主な生産地は、ハンター・バレーだ。

ハンター・バレーは、オーストラリアで最初にぶどうが持ち込まれたオーストラリアワイン発祥の地。ニュー・サウス・ウェールズ州においてワイン生産の中心となっている。主にシャルドネやセミヨン、シラーズを栽培しているほか、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールなど、長期熟成タイプの赤ワインもつくっている。このほかの主要な生産地として、カウラ、オレンジ、タンバランバなども挙げられる。

Bradley's Head Lighthouse

ビクトリア州

ビクトリア州では、プレミアムワインからデイリーワインまで、多様なワインがつくられている。

海岸地帯では、冷涼な気候を活かして高品質なピノ・ノワールやスパークリングワインが、比較的涼しく乾燥した気候の内陸部では、ローヌ・スタイルのシラーズなどがつくられている。中小規模の生産者が多く、個性的なワインが数多くつくられているのも特徴だ。

また、ピノ・ノワールとシャルドネの産地としても有名で、スティルワインだけでなく、高品質のスパークリングも産している。

同州のおもな生産地は、ヤラ・バレー。ヤラ・バレーは、冷涼な気候を活かして品質の高いピノ・ノワールやシャルドネを栽培している。スパークリングワインの産地として有名で、オーストラリアを代表する産地のひとつ。このほかの主要な生産地として、ジロング、ゴールバーン・ヴァレーなども挙げられる。

Chrismont Wines

南オーストラリア州

南オーストラリア州は、オーストラリア最大のワイン生産地域で、オーストラリアワインのおよそ50%を産している。気候や土壌が地区によって異なるため、さまざまなスタイルのワインがつくられているのも特徴だ。フィロキセラの被害を免れたため、由緒ある古いぶどう樹が現存している。

同州のおもな生産地は、バロッサ・バレー。バロッサ・バレーは、大規模なワイナリーが集まっていて、オーストラリアワインの主要産地。気候は、日照時間が長く昼夜の寒暖差が激しいうえに、降水量も少ない。オーストラリアを象徴するシラーズを使用した力強いワインを産する。

このほかの主要な生産地として、アデレード・ヒルズ、イーデン・バレー、クレア・バレー、クナワラ、リヴァーランドなども挙げられる。

Adelaide January 2017 - 025.jpg

西オーストラリア州

西オーストラリア州のワイン生産量はオーストラリア全体の数%と非常に少ない。しかし、高品質なワインを産するブティックワイナリーが多い地域として有名だ。

同州の主な生産地は、マーガレット・リバー、スワン・バレーなど。

0417 Australia (140)

タスマニア州

タスマニア州は、南極から大気汚染を含まない風が吹き込んでくるため、「人が住んでいる地域で、世界一空気がきれいな島」とされている。

オーストラリアで最も冷涼な生産地域となっている。冷涼な気候を活かして、ピノ・ノワールとシャルドネの栽培が盛ん。

同州のおもな産地は、テイマー・バレー、パイパーズ・リバー、ノース・ウエストなど。

Beautiful view. Tasmania Australia. Wine Glass Bay to right of pic.

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  ワインバザール編集部
ワインバザール編集部

世界各国のワインに関するニュースやコラムなどを配信していきます。