コラム

日本にもっと“アペリティフ”を! 「アペリティフ in 東京 2018 & アペリティフ・フェア」開催

「アペリティフ in 東京 2018 & アペリティフ・フェア」の記者発表会が2018年5月18日、東京・渋谷区にある代官山ヒルサイドテラスで開催された。

アペリティフ・フェアは、フランス農業・食料・漁業・農村省が音頭を取り、フランスの「アペリティフ」という文化を世界に広めるために企画されたイベント。毎年6月第1木曜日を「アペリティフの日」と定め、その前後に開催されるようになった。

アペリティフとは?

「アペリティフ」=「食前酒」という意味で覚えている方も多いだろう。ただ本場のフランスで「アペリティフ」と言うと、「食前の飲み物(ミネラルウォーターでも何でも可)かおつまみ」「食前の飲み物やおつまみを楽しむ食前のひととき」という意味になる。

フランスの「アペリティフ」で楽しまれる飲み物としては、代表的なシャンパンをはじめ、シャンパンカクテルやシロップを使ったカクテル類、キュッと冷やした白ワイン、そしてもちろんビールなどがある。

おつまみには「アミューズ・ブッシュ」と呼ばれる小さな前菜たち。和食の先付けのようなイメージだ。

こういったものを食べ飲みしながら、大抵は立食形式でおしゃべりを楽しむのだという。仕事を終え、アペリティフを挟んで心身共にリラックスした後、メインのダイニングで食事をする。いかにもフランスらしい素敵な習慣だ。

コンセプトは「コンヴィヴィアリテ」

ライフスタイルを大切にし、日々の生活にゆとりのひとときを求めるフランス文化の中で、「アペリティフ」のような人々の友好と懇親を深める時間は非常に大切だ。

そういった価値観を表す言葉「コンヴィヴィアリテ」が2018年度のアペリティフ・フェアのコンセプトとなっている。

この「コンヴィヴィアリテ」という言葉には「一緒に楽しい時間を生きる」という意味がある。語源となった「コンヴィーヴ」は「会食者」という意味だ。

東京以外にも全国各地でアペリティフ・フェアを開催

フランス農業・食料・漁業・農村省は、このアペリティフ習慣を広めることで、フランスの食材やお酒を国外で販売促進しようと試みている。

中でも、フランス食文化への造詣が深い日本での販促に力を入れている。2018年のアペリティフ・フェアにしても、5月18〜20日に東京で開催したのを皮切りに、仙台、水戸、埼玉、横浜、太田、岐阜、京都、琵琶湖、岡山、高松、土佐で次々にイベントを開催する計画だ。

また、イベント開催以外にも、全国のレストランにおいて6月から12月までアペリティフキャンペーンを展開。スーパーなどの店頭にもブースを設置して、一般の消費者向けにもプロモーションをする予定となっている。

東京のアペリティフ・フェアは、トップシェフやトップパティシエたちが夢の饗宴

記者発表会では、まず運営元Sopexa Japon(フランス食品振興会)の日本代表であるシャルル・デュラン氏(写真上)がスピーチ。アペリティフ文化について、またアペリティフ・フェアの沿革について説明した。

その後、東京でのイベントに出店する各ブースから、シェフやパティシエが勢ぞろい。「アペリティフ in 東京」実行委員長であるアンドレ・パッション氏をはじめ、元トゥール・ダルジャン東京エグゼクティブ・シェフのドミニク・コルビ氏、セルリアン・タワー東急ホテル総料理長の福田順彦氏、開店20年を迎えるレストラン・モナリザの河野透氏、白金の人気店アルシミストの山本健一氏、元ダロワイヨジャポンのシェフパティシエであったフレデリック・マドレーヌ氏など、そうそうたるメンバーが並んだ。

各シェフはアペリティフの魅力や自分のブースで提供するアミューズの説明などを順に話した。複数回出店しているお店も多いためか、シェフ同士の和気あいあいとした雰囲気がなんとも和やかで微笑ましい雰囲気だった。

フランスまんじゅう、フォアグラのブリュレ。バラエティ豊かなブースめぐり

それでは実際の会場の様子を、少しご紹介しよう。

まず、旧山手通りに面したライチリキュール「DITA」のブースでは、道ゆく人にDITAのカクテルをグラスでサービス(写真上)。通りがかった人もイベントに気が付き、中に入っていく様子が多く見られた。

ヴァン・ド・フランスのブース(写真上)では、地域名呼称がつかないカジュアルなフランスワインをぶどうの品種ごとに分類し、好きな品種を探してもらおうと試みていた。
1杯300円というお手頃な値段も後押しし、たくさんのゲストが好みの味を探していた。

実行委員長であるアンドレ・パッション氏のブースでは、アンドレ氏の息子さんが編み出したという「フランスまんじゅう」(写真上)を販売。もっちりとした皮の中に「カスレ(肉と豆の煮込み)」などが入っているという驚きの一品だった。


室内にあるブースではパンやキッシュなどが並べられ、ワインと共に楽しめた。


アルシミストのブースでは、フォアグラのブリュレを好きなトッピングで味わえた(写真上)。
また外のフードトラックでは、ローストチキンなどのボリュームのあるものも販売。多くの方がドリンクを片手に、おいしいおつまみと会話で盛り上がっていた。

先述のように、このアペリティフ・フェアはこれからさまざまな形で展開される。これを機に、あなたも親しい方と一緒に「アペリティフ」のひとときを楽しんでみてはいかが?

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身