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ここ数年のワイン業界の世界的なトレンドと言えば、空前の大ブームとなっているロゼだろう。ロゼワインのクオリティが世界的に向上したこと、そのチャーミングなたたずまいがSNS映えすることなどが要因となっているのだろうか。
2018年、日本ではオレンジワインが話題の1つになっているが、フランス、アメリカ、イギリスではロゼ、ロゼ、ロゼだ。しかも仏プロヴァンスのロゼが大人気だという。
一体、何が起こっているのか。数字とともに見ていこう。
<フランス>今夏は店頭からロゼがなくなる? 世界的な売れ行きに心配するフランス国民
2018年6月に行われたジョルジュ・デュブッフの輸出部長、アドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏の講演会で、フランスでは2017年に「白ワインよりロゼワインのほうが売れていた」という驚愕の事実が発表された。
フランス国内の全スティルワインの売上のうち53%を占める赤ワインに次いで、ロゼは2位で30%を占める。白はたったの17%だ。フランスワインの長い歴史のなか、これは大事件と言っていいだろう。
一方、ロゼワインの売上が伸びるのはワイン業界にとって好ましいことのはずだが、手放しで喜べない理由が他国の動向だ。
世界中でプロヴァンスのロゼが売れまくってしまっており、今夏、フランス国内でロゼが足りなくなるのではないかという予測が出ている。
【参照リンク】Is France really heading for a rosé wine shortage this summer?(フランスはこの夏、ロゼ不足に陥るのか?)
<アメリカ>ロゼに熱狂するミレニアル女子たちが売上を押し上げる
ニールセンの調査によると、アメリカのテーブルワイン市場の中でロゼが占める割合はまだまだ低いが、その売上は2016年から2017年にかけて前年比53%もの成長を遂げている。
その立役者は、21~34歳の女性たち。いわゆる「ミレニアル女子」だ。彼女らはSNSの影響を受けやすく、ファンシーでチャーミングなロゼの外観に心を動かされ、ロゼの購入につながっているという。
アメリカではロゼワインに絡むイベントも多い。ニューヨーク州では「La Nuit en Rose (ロゼとともに過ごす夜)」イベントが酒販店にも大々的に展開され、売上を伸ばした。また6月10日の「ナショナル・ロゼデー」にピクニックならぬ「Pinknic(ピンクニック)」が開催された。青空の下でロゼワインを飲むというなんとも楽しげなイベントだ。
さらには、ロゼワインを楽しむための「ロゼ・クルーズ」が開かれるなど、ロゼブームが非常に過熱している。
【参照リンク】Rosé On The Rise In 2017(2017年、急成長したロゼ)
<イギリス>UKガールはビールよりロゼ? イギリスで発生した熱波がロゼ熱をあおる
イギリスでは国内ワインのクオリティが上がっている。そんな中、国外のワインで売上を伸ばしているのは、プロヴァンスのロゼとボジョレーの赤のみだという。しかしそのロゼ熱は、かなりの過熱ぶりだ。
ワイン専門誌「Decantar」によると、2018年5月初旬の”Bank Holidays”(イギリスで休日や祝日が月曜日の場合に、それに合わせ少し長めの休暇を取ること)は熱波の影響で気温が30度近くに上るところもあったようだ。その間のロゼの売上は前年比でなんと114%増。売上の大半はプロヴァンスのロゼだ。
ビール、ジン、ウイスキーが大好きというイギリス人の印象は、すでに一昔前のものかもしれない。
チャーミングな外観と、肉にも魚にも多彩な食材に合わせやすいロゼ。今後もしばらくは、世界で熱いロゼブームが続きそうだ。
参照リンク:Rosé wine sales spike over bank holiday heatwave(”Bank Holidays”の熱波よりも熱かったロゼの売れ行き)