コラム

「日本ワインコンクール2023」結果発表! 北米系等品種の白部門で初の金賞を選出

国産ぶどうを100%使用した“日本ワイン”を対象とする「日本ワインコンクール(Japan Wine Competition)2023」の授賞式が、2023年9月2日に山梨県庁で開催された。

審査会は同年7月12・13日に山梨県内で開催され、4年ぶりにフランスやイギリスなど4カ国から大学教授や専門家が審査員として参加。国際的な舞台で戦える素晴らしい品質のワインがあったと、高い評価が得られた。

2023年も過去最多エントリー数を更新、各部門最高賞は?

2023年は、過去最多エントリーとなった2022年の108ワイナリーを上回る123のワイナリーが参加し、709本の出品があった。受賞結果は2023年7月28日に発表され、部門最高賞10銘柄、金賞28銘柄、銀賞71銘柄、銅賞119銘柄、奨励賞65銘柄、コストパフォーマンス賞4銘柄が選出された。

また今大会では、北米系等品種 白で部門初となる金賞が選出されたほか、関西から2ワイナリーが初めて金賞を受賞した。

欧州系品種 赤 部門最高賞「ソラリス ラ・クロワ」

欧州系品種 赤の部門最高賞に輝いたのは、マンズワインの「ソラリス ラ・クロワ 2019」だ。「ソラリス」シリーズは、“日本の風土で、世界の銘醸ワインと肩を並べるプレミアムワインをつくる”ことを目標としており、2022年は「ソラリス 千曲川 メルロー」が同部門の部門最高賞に輝いている。

長野県上田市東山地区の十字路(ラ・クロワ)の角にある、単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを使用。それぞれの最適なタイミングで収穫・醸造し、樽熟成の後、瓶詰め前にアッサンブラージュすることで、テロワールを表現している。

左端が欧州系品種 赤 部門最高賞受賞の「ソラリス ラ・クロワ 2019」

マンズワインからは他にも、「ソラリス 千曲川 シャルドネ 2022」など計14品が各賞を受賞した。

欧州系品種 白 部門最高賞「久住シャルドネCatwalk Nightharvest 2021」

欧州系品種 白で部門最高賞を獲得したのは、大分県久住ワイナリーの「久住シャルドネCatwalk Nightharvest 2021」だ。

久住ワイナリーは、大分県竹田市の標高850mに位置する高原のワイナリー。久住連山の麓で、風と大地の恵みを受けて出来上がったワインは、2つの金賞、3つの銀賞、3つの銅賞を獲得している。

国内改良等品種 赤 部門最高賞「SUNTORY FROM FARM 塩尻マスカット・ベーリーA 2019」

国内改良等品種 赤では、サントリーの「SUNTORY FROM FARM 塩尻マスカット・ベーリーA 2019」が部門最高賞を受賞。長野県塩尻のテロワールを生かして栽培されたぶどうを使用し、凝縮感のある味わいに仕上げた。ブラックベリーなどの黒い果実の香りや綿菓子を連想させる甘い香り、樽熟成由来のバニラやクリームのニュアンスも感じられる複雑な香りを楽しめる。

甲州 部門最高賞「甲州ドライ 2022」

甲州の部門最高賞を受賞したのは、山梨県のシャトー酒折ワイナリー「甲州ドライ 2022」だ。同ワイナリーは、1991年に甲府市を一望できる酒折の地に設立され、海外のワイン製造技術に関する最新情報や設備を活用し、甲州、マスカット・ベーリーAなど日本固有の品種を中心とした日本ワインを醸造している。

2022ヴィンテージが金賞、部門最高賞、コストパフォーマンス賞の3冠を獲得した「甲州ドライ」は、2016年の「G7伊勢志摩サミット」で提供されるなど、高い品質を誇る。気候風土が異なる県内の産地で収穫した甲州に、それぞれ異なる酵母を使ってつくられたワインをブレンドすることで、シャープな酸味とミネラル感が絶妙に調和した表情豊かな味わいとなっている。

北米系等品種 白 部門最高賞「TOMOE デラウェア 2022」

これまで金賞が出なかった北米系等品種 白で初の金賞・部門最高賞を受賞したのは、広島三次ワイナリーの「TOMOE デラウェア 2022」だ。採れたての果実を思わせるフレッシュな香りと、ジューシーで爽やかな酸味がバランスよくまとまった味わいが評価された。

北米系等品種 白で金賞を受賞した「TOMOE デラウェア 2022」(右)と「2022ナイヤガラ やや甘口」(左)

広島三次ワイナリーでは、果実から味わいと香りを引き出すため、ぶどうの仕分けから発酵の温度や時間、樽など、細部にまでこだわっている。今大会では他に、「TOMOEシャルドネ新月2021」「VILLAQUAイエロー」などが各賞を受賞した。

極甘口 部門最高賞「北島ヴィンヤード ノーブルロット ケルナー 2019」

極甘口の部門最高賞は、北海道ワインの「北島ヴィンヤード ノーブルロット ケルナー 2019」が受賞。北海道余市町にある北島農園のケルナーのうち、貴腐化した房を選んで収穫し、醸造したデザートワインとなる。芳醇な果実の風味と濃厚な甘み、酸味のバランスがよく、豊かながら清涼感もある魅力的な1本だ。

スパークリングワイン 部門最高賞「SUNTORY FROM FARM 津軽シャルドネ&ピノ・ノワールスパークリング 2020 グリーンエティケット」

国内改良等品種 赤で部門最高賞を獲得した日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」から、「同 津軽シャルドネ&ピノ・ノワールスパークリング 2020 グリーンエティケット」がスパークリングワイン部門最高賞を受賞。

青森県の岩木山(いわきさん)の火山灰土壌と、ぶどうの生育期に雨が少なく、収穫期に一気に冷涼になる気候のもとで栽培したぶどうを使用し、豊かな香りと酸味が魅力の辛口の1本に仕上げた。口に含むと滑らかに広がるリンゴのような果実感と落ち着いた酸味、細やかな泡立ちを堪能できる。

天橋立ワイナリーと飛鳥ワインが関西初の金賞受賞

全国から31道府県のワイナリーが参加した今大会では、関西から京都府と大阪府のワイナリーが初めて金賞を受賞した。

天橋立ワイン「2022ナイヤガラ やや甘口」(左)と飛鳥ワイン「飛鳥スパークリングシャルドネ 2020」(右)

天橋立を目の前に望む、天橋立ワイナリー

「2022ナイヤガラ やや甘口」が北米系等品種 白で金賞を受賞した、京都府の天橋立ワイナリー。100%京都産のぶどうを使用し、ドイツ式のノウハウでワインづくりを行っている。全てのワインを加熱殺菌処理せずに瓶詰めするため、その後も熟成が進み、年月をかけてまろやかな味わいになるという。

金賞となった「2022ナイヤガラ やや甘口」は、生食用のナイヤガラを使用。トロピカルでフルーティーな香り、優しい果汁の甘さの後にきれいな酸味を楽しめる。

大阪エコ農産物の認証を受けた、飛鳥ワイン

大阪府の飛鳥ワインからは、「飛鳥 スパークリング シャルドネ 2020」がスパークリング部門で金賞を受賞した。瓶内ニ次醗酵によるシャンパーニュ方式で醸造しており、グレープフルーツのようなかんきつ系の香りと心地よい酸味を特徴とする。

ワイナリーのある大阪府羽曳野市飛鳥地域は、水はけが良く温暖で、雨の少ないぶどう栽培に適した土地。飛鳥ワインでは、化学肥料を使用せず、ぶどうの樹と草を共生させる草生栽培にも取り組んでおり、畑は全て大阪府から大阪エコ農産物の認証を受けている。

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About the author /  tomo

量販店の販売員、製造メーカーの設計部を経て、フリーライターに転身。ゆっくりお酒を飲みながら愛猫と戯れる夜のひと時に幸せを感じている。