コラム

「ヨーロッパに逆輸入されたワイン」を産したモンテス~ 解説:チリ名門ワイナリー

チリの名門ワイナリーを紹介する本シリーズ。今回は、世界中のワイン専門家から高い評価と信頼を得ている「モンテス」について、ご紹介していこう。

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モンテスのエピソード

1990年代後半に、人気が急上昇し始めたチリワインだが、それまでのチリワインは、チリ国内、あるいは生産地だけで楽しまれているワインだった。モンテスは、そうした状況を打破し、チリワインを世界から注目されるワインに変えたと評されている。

チリは、雨が少なく日照時間が長いためにぶどう栽培には最適の気候と言える。それに加え、太平洋やアンデス山脈に囲まれていて、害虫が侵入しにくい地形であるため、農薬をほとんど使用しないでぶどうを栽培できる。このようにチリがぶどう栽培に非常に適した地であることに着目したモンテスは、チリワインの可能性と品質を追求し、世界に通用するワインをつくりあげた。

現在、モンテスが産するワインは、スイスのカールトンホテルをはじめ世界の一流ホテルやレストランのワインリストに名を連ねている。

Viña Montes- Rose

モンテスの歴史

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4人の経験を集結して誕生したモンテス

モンテスは、4人のワインスペシャリストによって1988年に設立された。世界をわたり歩いて醸造の修行をした社長兼醸造責任者のアウレリオ・モンテス氏。ワインビジネスの専門家で輸出ディレクターのダグラス・ムライ氏。財務を担当するアルフレド・ヴィダウレ氏。ワイナリーを所有するペドロ・グランデ氏。この4人のそれぞれの経験と技術を集結し、世界に通用するワインを志した。

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チリワインを世界に知らしめたモンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨン

ワイナリー設立とほぼ同時にリリースしたモンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンは、今までのチリワインの印象を覆す高品質なプレミアムワインだった。ヨーロッパの醸造方法を用いてつくられた同ワインは、ワインの本場であるヨーロッパでも注目を集め、ヨーロッパのワイン生産国がモンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンを輸入するようになった。その結果、同ワインは、ヨーロッパに輸出された初めてのチリ産プレミアムワインとなると同時に「欧州へ逆輸出されたワイン」としても一躍名になり、チリワインが脚光を浴びるきっかけとなった。

モンテスは、チリがぶどう栽培に適した風土を持ち、良質なぶどうを使った良質なワインを産み出せる地であることを証明したのだ。

モンテスのワインづくり

モンテスでは、それぞれのぶどう品種の個性を最大限に生かす丁寧なワインづくりをおこなっている。ワインに使用するぶどうは手摘みされ、果房を傷つけないように大切にワイナリーへと運ばれる。熟成には、オーク樽を使用。そして、手を加えすぎて果実のうま味がなくなってしまわないよう、ボトリングの際に、軽くフィルターを掛けるにとどめている。

モンテスは、現状に満足することなく、常にワインづくりに対する情熱を燃やしている。現在では、チリにとどまらずアンデス山脈を越えた隣国のアルゼンチンや、ワインメーカーの憧れの土地であるカリフォルニア・ナパ・ヴァレーでも、ワインをつくっている。

モンテスのおすすめワイン

モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニョン

モンテス・アルファシリーズの1本。ファーストリリースされると、あまりの品質の高さに、ワイン生産大国がその実力を認めた。ヨーロッパに輸出され、「ヨーロッパに逆輸出されたワイン」として一躍有名になった。濃縮された味わいであるとともに、バランスが良いワインに仕上がっている。モンテス・アルファシリーズには、カベルネ・ソーヴィニョンのほかにメルロ、ピノ・ノワール、シラー、カルメネール、マルベック、ソーヴィニヨン・ブラン 、シャルドネなどがある。

Montes Alpha Cabernet Sauvignon

モンテス・クラシックシリーズ

モンテス・ラシックシリーズはリーズナブルな価格ながら、非常にバランスが良く、コストパフォーマンスに優れたデイリーワインとなっている。クラシックシリーズには、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、マルベック、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなどがある。

Uncorking Montes Classic Series Cabernet Sauvignon Reserva 2011 DO #ValleDeColchagua (90 points, @RobertMParkerJr)! #Wine #WineLover

モンテス・アルファ・エム

世界のトップを目指してつくられたワインで、チリワインのアイコン的存在と言われている。ファーストリリースは1996年。「ライバルはボルドーの五大シャトー」と公言しているほど品質にこだわっている。チリ最高の畑と評される単一畑「ラ・フィンカ・デ・アパルタ」で栽培したぶどうを使用。手摘みしたぶどうをフレンチオークの新樽で18ヶ月熟成させている。

Montes Alpha M

タイタ

モンテスのワインづくりの英知を結集させた最高傑作と評されるワイン。醸造責任者のアウレリオ・モンテス氏が認める、最高品質のぶどうができた年にしか生産しないワイン。 ファーストヴィンテージは2007年。年間生産量はわずか3000本で、モンテスの上級キュヴェ「モンテス・アルファ・エム」の25分の1という少なさだ。カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、シラーやカルメネールなどをブレンド。比率はモンテス氏が決めている。フレンチオークの新樽で24ヶ月間樽熟成し、さらに3年以上の瓶内熟成を経てリリースされる。パワフルさとエレガントさを持ち合わせているワイン。「まるでオールド・ワールドのワインのようなフィニッシュがあり、探し求める価値があるワイン」とワイン評論家のロバート・パーカー氏も高く評価している。

Montes TAITA 品酒會_X展架_W61xH160cm

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