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チリの名門ワイナリーを紹介する本シリーズ。今回は、ボルドー第1級シャトーのシャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドがチリに設立したワイナリー「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリ」について、ご紹介していこう。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリのエピソード
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、フランスのボルドー地方で5大シャトーの1つとして数えられるシャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有し、ボルドー最大かつ最高のワイナリーとして君臨している。さらに、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、ボルドー地方にとどまらず、海外にも進出した。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが、カリフォルニアワイン界の重鎮ロバート・モンダヴィ氏とともに生み出した「オーパス・ワン」は、リリースと同時に人気を博し、世界最高峰のプレミアムワインと評されている。その後、チリで最高のワイナリーと名高いコンチャ・イ・トロとともに「アルマヴィーヴァ」を発表。これも世界最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンの1つと評されている。バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、ボルドーで培った最高の技術を駆使して、ワイン新興国でも優れたワインをつくりあげている。
「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリ」は、そのバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドがチリに設立したワイナリーだ。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリの歴史
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリは、1997年に設立された。チリでの歴史は浅いが、本家バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは長い歴史を持つ。
その歴史は、1853年にユダヤ系のナタニエル・ド・ロスチャイルド男爵が、フランスのポイヤック村にあったシャトーを購入したことに始まる。男爵はそのシャトーを「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」と名付けた。
その後、ロスチャイルド男爵の曾孫にあたるフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵がワイン事業を本格化させた。ロスチャイルド男爵は、シャトー・ムートン・ロスチャイルドをトップシャトーに押し上げただけでなく、アメリカ・カリフォルニアに進出した。ロバート・モンダヴィ氏とのタッグによってつくり出された「オーパス・ワン」は、最高級のプレミアムワインと評されている。
続いて、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドはぶどう栽培に非常に適した地であるチリにも進出し、コンチャ・イ・トロと共同で出資して、アルマヴィーヴァを設立。チリのオーパス・ワンと称される、ワイナリー名を冠した「アルマヴィーヴァ」を誕生させた。
そして、1997年にはチリに独自のワイナリー「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリ」を設立した。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリのワインづくり
フランスとチリを感じられるワイン
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリでは、フランスの上品さとチリの太陽を感じられるワインをつくっている。そのために、テロワールとぶどうの個性を最大限に引き出す製法を用いている。
ぶどうは区画ごとに手摘みされ、選果も手作業で行われる。また、分別したぶどうは区画ごとに圧搾している。
最高を目指すために努力を惜しまない
本家バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、最高をめざすために努力を惜しまないという姿勢で、今日の地位を築いた。
ユダヤ系の大富豪ロスチャイルド家がシャトー・ムートン・ロスチャイルドを購入した1853年の2年後、1級は確実と思われていたメドックの格付けで、シャトー・ムートン・ロスチャイルドは2級に格付けされてしまった。1級に格付けされなかったのは、オーナーがフランス人でなかったからなどとも言われたが、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、「1級にはなれないが2級には甘んじれぬ、ムートンはムートンなり」と奮起した。
そして、畑の改良や栽培方法の見直し、醸造、熟成技術の工夫など、さまざまな努力を続けた。ほどんどのシャトーがワインを樽で出荷していた1924年に、瓶詰めをシャトーで行うように変更。さらに、ワインを保管するために、樽を寝かせるセラーであるグラン・シェを作った。また、1933年には小規模のワイン商を買収し、ワインの生産販売をするビジネスを始めた。このように、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが努力を続けた結果、1973年にシャトー・ムートン・ロスチャイルドはメドック格付け1級に昇格した。メドックの格付けは、1855年以来100年以上も変更されることがなかったが、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは惜しみない努力で1級への格上げを手に入れた。そして、「われ1級になりぬ、かつて2級なりき、 されどムートンは昔も今も変わらず」という名句を残したと言われている。
そして、その最高を目指すために努力を惜しまない姿勢は、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリのワインづくりにも受け継がれている。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリのおすすめワイン
エスクード・ロホシリーズ
同シリーズは、もともとはカルメネールとカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、シラーとカベルネ・フランをブレンドしたワインだけだった。しかし近年、「シャルドネ」「カルメネール」「カベルネ・ソーヴィニヨン」などの品種別ワインも仲間入りし、シリーズ化した。
ロスチャイルド家の祖先が暮らしたドイツで、「ロスチャイルド(ドイツ語読みはロートシルト)」は「赤い盾」の意味を持つ。そして「エスクード・ロホ」はチリの使用言語であるスペイン語で「赤い盾」の意。つまり、「エスクード・ロホ」はファミリー名を冠した、フラッグシップワインなのだ。
アンデラシリーズ
アンデラシリーズは、チリのセントラル・ヴァレーで栽培されたぶどうを使用している。セントラル・ヴァレーは地中海性気候に属し、温暖な気候で、夏が長く乾燥している。ぶどうの収穫期前後に降雨がほとんどないので、ぶどうが傷む心配がほとんどなく、糖度の高い良質なぶどうができる。果実の鮮度や品種固有の香り、味わいを引き出したワインに仕上がっている。
マプシリーズ
1000円台で楽しめるデイリーワインでありながら、高い品質を誇る。マプシリーズは、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリのパートナー栽培者のぶどうを使用してつくられたワイン。