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前回、カリフォルニアワイン協会のメディア発表会において、ナパヴァレー・ヴィントナーズの駐日代表・小枝絵麻氏が紹介してくれた“ペアリング方程式”の概要についてご説明した。
この“ペアリング方程式”は、食材や調理法などを当てはめていくだけで、誰でもワインと料理・おつまみとの優れたペアリングを実現できるという優れもの。小枝氏は「料理の内容にこだわるように、ワインのペアリングにもこだわってほしい」という思いで開発したという。
“ペアリング方程式”に従って、食材・調理法・味つけのそれぞれをポイント化し、それに「ブリッジ食材」を加えることで、ぴったりなペアリングが簡単に実現する。詳しい内容は、前回の記事を参照いただきたい。
今回のコラムでは、実際の料理・おつまみを方程式に当てはめ、ペアリングの相性を見ていこう。
1. 黒トリュフとアスパラガスのキッシュ × ピノ・ノワール
香ばしい生地とチーズをふんだんに使ったアパレイユで、どんな具材でもおいしく包み込むキッシュを作った。
こちらの料理・おつまみの“ペアリング方程式”は次のとおり。
[食材]乳製品(2)+[調理法]焼(2)+[味つけ]チーズ(2)=6ポイント。
スパークリングワインや白ワインに合わせがちなキッシュを、ピノ・ノワールに合わせたい。そしてピノ・ノワールと合わせるのならブリッジ食材として、料理をエレガントに格上げする黒トリュフの力を借りよう。
2. 牛フィレ肉のタリアータ 黒トリュフのサルサ × ピノ・ノワール or カベルネ・ソーヴィニヨン
炭火で表面を香ばしくグリルした牛のフィレ肉をカットしたタリアータ。
こちらのペアリング方程式は、次のとおり。
[食材]牛(3)+[調理法]炭火(3)+[味つけ]塩(1)=7ポイント
ポイント的にはピノだがブリッジを加えることでカベルネもOK。ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニヨンに合わせるためのブリッジ食材は、こちらも黒トリュフ。高貴な香りが優雅さを持つ赤ワインにぴったりだ。
3. 牛肉の串焼き 照り焼きソース × メルロー
和風の照り焼きソースと合わせたジューシーな牛肉は、焼肉のような食欲をそそる風味。
こちらのペアリング方程式は、次のとおり。
[食材]牛(3)+[調理法]焼(2)+[味つけ]照り焼きソース(3)=8ポイント
甘さと香ばしさをあわせ持つ照り焼きソースなど、肉に醤油を合わせると、メルローにぴったりなブリッジ食材となる。もう少し軽めの食材(カモなど)を醤油に合わせるなら、ピノ・ノワールでもOKだ。
4. プルドポーク・ミニバーガー BBQソース × ジンファンデル
プルドポークとは、豚塊肉に低温〜中温で何時間もかけて火を入れ、ホロホロになった肉を引き裂くように細かくしたものだ。
こちらに果実ベースのバーベキューソースを合わせたこの料理・おつまみ、ペアリング方程式はこうなっている。
[食材]豚(3)+[調理法]長時間調理(3)+[味つけ]BBQソース(3)=9ポイント
果実の風味が強い甘辛なバーベキューソースには、果実味にあふれ、ボディーのしっかりしたジンファンデルがぴったり。ブラックペッパーを加えるとさらにジンファンデルのスパイシー感もアップ。まさにアメリカ流なペアリングと言えるだろう。
どんな料理でも、ペアリングを際立たせるブリッジ食材に着目すると、ワインとの相性が抜群に良くなることがお分かりいただけたかと思う。
次回は白ワイン編をお届けする予定だ。どうぞ、お楽しみに。