コラム

注目度急上昇!? 高コスパなモルドバワイン、特徴やおすすめワインをピックアップ

   

ここ数年で、急速に注目を集めるようになったワインの1つに、モルドバワインがある。

実は、モルドバのワイン醸造の歴史は約5000年と長く、ヨーロッパ各国の王室御用達であったというほど、クオリティは高い。

本記事ではモルドバのワインについて概要を解説しつつ、自由が丘のモルドバ食材ショップ「アルビーナ アンジェラ」のアンジェラさんがセレクトしたモルドバワインをいくつかご紹介していこう。

モルドバってどんな国?

モルドバは1991年のソビエト連邦解体に伴い独立した小国だ。ルーマニアとウクライナに挟まれており、面積は日本の九州より少し小さい程度。人口は約355万人、国内は豊かな自然に恵まれて森林や岩山が多い。

モルドバはルーマニアとの文化的なつながりが強く、言語もルーマニア語だ。またロシアの影響も強く見られ、ロシア流の建物がとても多く建っている。

なお、1992年よりロシア系住民が多いトランスニストリア地域(沿ドニエストル・モルドバ共和国)との紛争が勃発。同年7月に停戦したが、本質的な解決には至っていない。

モルドバワインの特徴は?

モルドバのぶどう生産地は、フランスのブルゴーニュとほぼ同じ北緯46~48度の間にある。

恵まれた肥沃な土壌と昼夜の気温差、またぶどうの成育期間に雨があまり降らないこと(初夏を除く)などから、ぶどうの栽培に適していると言われる。

約7000年前にすでに自生したぶどうがあり、紀元前3000年ほどから各家庭でワインをつくっていたようだ。

その後、ワインの生産量は増加し、19世紀半ばごろには国際的な品評会で高評価を獲得。各国の王室で飲まれるようになった。

だが、19世紀後半にフィロキセラの影響で大打撃を受けた。そこから復興したものの、20世紀後半にはゴルバチョフ書記長の「反アルコールキャンペーン」によりワイン産業は壊滅的な被害を受けた。

1991年に旧ソ連から独立した後は、欧米からの資本や技術を取り入れ、より革新的なワインづくりにシフトした。

モルドバワインには土着品種が多いように感じられるが、ヨーロッパ品種の栽培が全体の73%と最も多い。また、白ぶどうが7割に対し、黒ぶどうが3割という生産バランス。日本のみならず、アメリカやアジア各国への輸出量を増やしている。

おすすめのモルドバワイン

クリセッコNV

生産者:クリコヴァ
ぶどう品種:フェテアスカ・アルバ
参考価格:1620円(税別)

土着品種「フェテアスカ・アルバ」をステンレス・タンクで発酵させたスパークリングワイン。フェテアスカ・アルバは、モルドバの白ぶどうの中では最も長い歴史を持つ。

白い花の香りがふわっと広がり、フレッシュな果実味、美しい酸が追いかける。この値段ながら非常にエレガントな出来栄えで、思わずテンションの上がるワインだ。

ヴィンヴォヤージュ ヴィオリカ

生産者:クヴィント
ぶどう品種:ヴィオリカ
参考価格:1425円(税別)

黄金がかったきれいな外観に、マスカットのような魅惑的な果実味が印象的。果実と花の香りが交錯し、独特の味のバランスを構成する。

このヴィオリカというぶどう品種は1969年に誕生したモルドバ原産のぶどう品種で、優しい口当たりが特徴だ。

ララ・ニャグラ


生産者:リオン・グリー
ぶどう品種:ララ・ニャグラ
値段:1425円(税別)

滑らかで優しい印象を持つミディアム・ボディの赤ワイン。ワインだけでも飲み進められる人気の1本だ。

ララ・ニャグラはモルドバの土着ぶどう品種の中で最も古い歴史を持つ。イチゴやラズベリーのようなチャーミングな味わいに加え、適度な酸味も持ち合わせている。

ラリテット ララ・ニャグラ


生産者:ディオニソス・メレニ
ぶどう品種:ララ・ニャグラ
値段:2340円(税別)

上記と同じララ・ニャグラを使用しているが、こちらは樽で熟成させ複雑味とボリュームを追求。外観も深めのルビー色、シェリー酒のような香り、タンニンは滑らかだ。

秋の夜長に、肉料理とともにゆったりと楽しみたい。ワイン好きのためのワインだ。

ドール


生産者:ボスタヴァン
ぶどう品種:ララ・ニャグラ&カベルネ・ソーヴィニヨン
値段:1980円(税別)

「ドール」とはルーマニア語で、「情愛」という意味がある。心にゆっくりと染み入る情愛のような、奥深い味わいだ。

ララ・ニャグラをカベルネ・ソーヴィニヨンとおよそ半々でブレンドした。ララ・ニャグラの華やかな香り、カベルネ・ソーヴィニヨンの気品あるボディとタンニンが絶妙に混じり合う。

リースリング アイスワイン


生産者:リオン・グリー
ぶどう品種:リースリング
値段:3510円(税別)

きれいな酸を携えたリースリングを使い、最大限のポテンシャルを引き出してアイスワインに仕立てた1本。

凝縮した桃や青リンゴ、はちみつの香り。濃厚だが重くはない口当たり、ふくよかに広がる味わいが絶品だ。

アイスワインは高価なものが多いが、こちらは比較的リーズナブル。嫌味のない果実の甘みが、極上の酔い心地をもたらしてくれる。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身