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夏が終わり肌寒さを感じるようになったころ、スーパーや専門店などの各店舗で始まるのがボジョレー・ヌーボーの予約受付だ。普段はお酒やワインを飲まない人でも、イベントとしてボジョレー・ヌーボーの解禁日を楽しむという人は多いと思う。
毎年11月の第3木曜日に解禁されるボジョレー・ヌーボー。2018年の解禁日は、11月15日だ。果たして今年の出来映えや専門家による評価は、どうなっているのだろうか、
もうすでに予約をしたという人も、まだ決めてないという人も、2018年ヴィンテージの特徴を確認しておこう。
「しっかりとして味わい深く、同時になめらかで複雑」「珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれる」
ボジョレワイン委員会は2018年10月9日に、2018年ヴィンテージの出来映えや評価を伝えるプレスリリースを出している。その内容から、2018年のぶどうの出来映えを探ってみよう。
2018年のヴィンテージは「しっかりとして味わい深く、同時になめらかで複雑」。「2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう」ということだ。
2018年は日照と暑さに恵まれ、果実はゆっくりと順調に熟してきた。春に水を十分に蓄えられたことから、乾燥にも苦しまず、収穫後の衛生状態も万全。ぶどうにとって理想的な成熟条件がそろうことになった。
「9月の暑さと日照の恩恵を最大限に享受した生産者たちは健全で糖分が高く、よく凝縮したぶどうを収穫することができました」
ボジョレーのぶどう栽培・醸造研究所「Sicarex」でディレクターを務めるベルトラン・シャトレ氏は、「早熟のヴィンテージの良いところを備えており、不安な面はありません。ビロードのような口当たりです。ワインは長い浸漬により色とストラクチュアが抽出されています。円みがあって絹のようですが、オイリーで凝縮しています。タンニンは繊細でエレガントです」とコメントした。
2000年のMOF(国家最優秀職人賞)ソムリエであるアルノー・シャンボスト氏は、カーヴでの最初の試飲後に「色は赤く染まり、濃密で、フクシアの赤紫色がかっています。果肉のある黒い果実、花(ボタン、ライラック)のアロマに加え、わずかにスパイスや甘草のニュアンスも感じられます。味わいには、深み、複雑さ、エレガンス、味わい深さが融合しています。タンニンは口中を心地よく覆い、味わいの長さをもたらしています。ワインはテロワールを映し出しており、それは土壌や斜面の向きという要素だけでなく、ガメイという品種の個性も最適な条件の中で引き出されています」と評価している。
2018年と傾向の似たヴィンテージは?
プレスリリースでは前述のとおり、2018年の出来映えは「2017年、2015年、2009年と並」ぶと書かれている。
それぞれの年のヴィンテージには、どんな特徴があったのだろうか。毎年話題になるボジョレー・ヌーボーのキャッチコピーで振り返ってみよう。
2009年:50年に一度の出来栄え
2015年:今世紀で最高の出来
2017年:豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい
キャッチコピーだけで判断することはできないが、それでも2018年ヴィンテージへの期待が大きくなる言葉が並んでいるのは間違いない。
ジョルジュ デュブッフやアンリ・フェッシなど、生産者の評価は?
実際に生産者は今年のぶどうの出来についてどのように感じているのだろうか。
日本でも有名なジョルジュ デュブッフのFacebookページでは、8月30日に「晴天が続いた暑い夏のおかげで、2018年のぶどうは非常に糖度の高いものが出来ました!」というコメントが投稿されている。
また、9月14日には「先日ワイナリーに届いた最初のぶどうから出来た果汁をテイスティングしてみました。この太陽の恵みにあふれた果汁をどのように醸造していくか、ここからが我々の腕の見せ所です」と投稿している。
また、3年連続でトロフィー・リヨンの金賞を受賞しているアンリ・フェッシは、9月5日に「2018年の収穫で美しいものになると確信しました。ガメイのぶどうはボジョレーの太陽を浴びて素晴らしい出来です」と投稿している。
ラブレ・ロワも9月15日、オーガニックのぶどうの出来もよいことを報告している。
ここまでの情報を見る限り、2018年もおいしいボジョレー・ヌーボーを楽しめそうだ。