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2019年10月29日、スペインワイン&フード商談会が、八芳園(東京都港区白金台)で開催された。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)による関税撤廃もあり、より手軽に味わえるようになったスペインワインだが、スペイン大使館経済商務部が開催した今回の商談会では、スペイン産のワインやフードを輸入する55の企業が一堂に会し、数々の魅力的なスペイン産ワインが紹介された。
出展者の中には、東京・浅草にあるうなぎの名店の姿も。うなぎとスペインワインの意外な組み合わせの理由を聞いた。
浅草の老舗うなぎ専門店「駒形前川」
駒形前川は、創業から約200年が経つ、うなぎ屋の老舗。『鬼平犯科帳』などで知られる池波正太郎に愛された店としても知られている名店だ。
現在は、浅草の駒形にある本店に加えて、東京スカイツリータウンソラマチ店、新丸ビル店の合計3店舗を構えている。
浅草の隅田川沿いにたたずむ本店では、スカイツリーを眺めながら、代々、受け継がれた味を楽しむことができる。
うなぎ専門店でありながらワインを取り扱うようになったのは、今から15年ほど前のこと。先代の社長が、「おいしいうなぎに、おいしいお酒を合わせたい!」と考えたのがきっかけだという。
上品なものやクオリティの高いものがたくさんあること、そして和食に合うことから、スペインワインの取り扱いを始めた。
ラインアップのベースはうなぎに合うものだが、店舗では刺身なども扱っているので、和食に合うものを中心に取りそろえている。ただし、魚料理だからといって、白ワインにこだわっているわけではない。かば焼きには、果実味とコクがあり、口当たりの柔らかい赤ワインがよく合う。
老舗うなぎ専門店でスペインワインの可能性を探ってみるのも楽しそうだ。
駒形前川で取り扱っているワインは、本店のほか、新丸ビル店、浅草にあるダイニングバー「Wine & Dining EKA」で味わうことができる。
注目のつくり手「ドミニオデラベガ(Dominio de la Vega)」
駒形前川から特におすすめのワイナリーとして名前が挙がったのが、「ドミニオデラベガ」だ。バレンシア州の内陸地にあるワイナリーで、樹木、果実、畑などの自然をリスペクトした丁寧なワインづくりを行っている。
デキャンター・アジア・ワイン・アワード2019では、2本が銀賞、1本が銅賞、1本が奨励賞を受賞している。駒形前川のワイン事業部マネージャーの奥津直也氏は、「カヴァや土着品種であるボバルでつくったワインのクオリティが高い」とワイナリーの特徴を語る。
DO(原産地呼称)は、ウティエル・レケーナ。隣接するDOバレンシアの陰に隠れてしまいがちだが、古代ローマ時代からワインづくりが行われており、近年は質の高さを重視したワインづくりが行われている地域だ。カヴァといえばカタルーニャ地方が有名だが、地中海からの影響と内陸山地の気候が、カヴァをつくるには非常に良い条件をもたらしている。ドミニオデラベガは、ボバルの研究や品種改良にも力を入れているという。
駒形前川の本店で提供しているグラスワインは、いずれもドミニオデラベガのもの。赤ワインは「アニャカル ティント」(ボバル100%)、白ワインは「アニャカル ブランコ」(マカベオ80%、ソーヴィニヨン・ブラン20%)だ。
ドミニオデラベガの4本
スペインワイン&フード商談会で提供されていたドミニオデラベガのワインは、以下の4本だ。前出の奥津氏の解説と共に紹介したい。
カバオーセンティックレセルバ
タイプ:スパークリングワイン
ぶどう品種:マカベオ、チャレッロ
希望小売価格:2980円(税別)
カバレセルバスペシャル
タイプ:スパークリングワイン
ぶどう品種:マカベオ、シャルドネ
希望小売価格:4200円(税別)
レクエルダメ
タイプ:白ワイン
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン
希望小売価格:2400円(税別)
ボバルエンカルマ
タイプ:赤ワイン
ぶどう品種:ボバル
希望小売価格:2250円(税別)
駒形前川では、店舗ごとに取り扱っているワインが異なる。「これ!」というワインを見つけたら、直接問い合わせ、またはオンラインショップ(https://www.misvan.jp/)から購入してみるとよいだろう。