新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、レストランや居酒屋など飲食店の経営は厳しい状態が続いている。それに伴い、ワインの売り上げも落ち込み、酒販店やワイナリーが在庫を抱えるなどの苦境に陥っている。
こうした状況を打開しようと、今、日本ワインを取り扱う飲食店や酒販店、ワイナリーを応援するためのプロジェクトが始動している。プロジェクトの名は「Cheers to the Future(日本ワインで未来に乾杯)」。島根県雲南市木次町寺領のワイナリー「奥出雲葡萄園」の齋藤聡氏が発起人となり、「一緒に明るい未来を切り開こう!」という願いを込めて立ち上げた。
日本ワインの支援プロジェクト「Cheers to the Future」とは?
このプロジェクトは、「アマビエさんとお家に帰ろう」をサブタイトルとし、疫病を鎮めるとされる妖怪「アマビエ」のシール付き日本ワインを販売することで、飲食店やワイナリーなどを支援するという取り組みだ。アマビエのシールは、アーティストの小川信治氏がデザインを考案。ワイングラスの中に半身を浸けたアマビエが描かれている。
プロジェクトの仕組みはこうだ。消費者に、アマビエのシールが付いた日本ワイン“アマビエワイン”を飲食店で料理と一緒にテイクアウトしてもらう。アマビエワインは必ず酒販店を経由して飲食店に流通されるため、アマビエワインを飲食店で購入すると、飲食店、酒販店、ワイナリーの3者の利益になる。
つまり、テイクアウトをきっかけとして、酒販店とワイナリーの課題も一緒に解決しようというものだ。アマビエのシールは、いわば“認証マーク”ともいえる。
「アマビエ」を通じてつながりが広がる
アマビエワインを購入した消費者には、リターンもあるという。アマビエのシールを集めてプロジェクトに参加しているワイナリーに送ると、さまざまな特典がもらえるのだ。それぞれのワイナリーによって必要枚数や内容は異なるが、例えば、生産者とのオンライン飲み会やワイナリーツアーの参加権、地元の特産フルーツなどが当たるといった特典が用意されている。
また、アマビエのシール裏面にはQRコードがあり、それを読み取るとプロジェクトのFacebookグループにつながり、コミュニティに参加できるようになっている。
「新型コロナウイルスという疫災に立ち向かう。1人の力では難しくても、互いに助け合い、想い合う心があれば、私たちはきっと乗り越えることができる」という、メッセージを掲げる同プロジェクト。現在、北海道から沖縄まで日本全土のさまざまな地域から、合わせて100を超える飲食店、酒販店、ワイナリーが参画している。
緊急事態宣言が解除されてからは、テイクアウトだけではなく、店内で料理とともに味わうことも可能になった。飲食店や酒販店、ワイナリーを支える活動の輪は、今後も広がっていきそうだ。