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サントリーワインインターナショナル（SWI）は2021年1月20日、2021年の事業方針記者会見を開催した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、会見はサントリーホールでの発表と併せて、オンラインでも配信した。
会見では、2020年の国内ワイン市場やSWIの実績、2021年の事業方針について発表があった。本記事では、2021年の取り組みのうち、「国産カジュアル」「輸入デイリー」「輸入プレミアムワイン」のマーケティング計画について取り上げる。
新体制が始動
SWIは、2021年1月1日に代表取締役社長に就任した吉雄敬子氏のもと、同月から体制変更を実施した。新体制は「ワイナリーワイン事業部」と「輸入・カジュアルワイン事業部」の2本柱となっている。
ワイナリーワイン事業部では、自社ワイナリーを主体とした事業を行い、国内外のワインづくりの品質のさらなる向上を図る。輸入・カジュアルワイン事業部は、より消費者に近い輸入ワイン、国産カジュアルワインに関して、自由な発想からのブランドづくりや消費者との接点づくりに挑戦できる組織とした。
コロナ禍で需要拡大した国産カジュアル、輸入デイリー
吉雄氏は2021年の国内事業方針として、「消費行動の急速な変化に対応すべく、新たな需要創造にチャレンジするとともに、それぞれのブランドの価値を強化していく」とコメントした。
SWI代表取締役社長の吉雄敬子氏
国産カジュアルの既存シリーズをリニューアル
SWIの国産カジュアルワインの販売推移を見ると、2010年の190万ケースから11年連続で売り上げを更新し、2020年は470万ケースと10年で2.5倍に成長している。
国産カジュアルワインの中でも、「酸化防止剤無添加」シリーズが好評で、2020年の実績が前年比108％の209万ケースと伸張している。SWIは、同シリーズのフレッシュさとフルーティさを強化し、さらなる健康ニーズに応えるため、2021年2月上旬にリニューアル商品「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。贅沢ポリフェノール（コクの赤）」を発売。リニューアルにより、前年比105％を目指す。
また、「デリカメゾン」シリーズは、2019年は前年比97％とやや落ち込んだものの、2020年は前年比110％で109万ケースと好調だった。「デリカメゾン」シリーズは、さらに満足感、飲み応えを高めるとともに、新しい飲み方提案として、2021年2月16日に「割るだけワインサワー」を新発売する。同シリーズも、2021年の目標は前年比105％だ。
輸入デイリーの新商品でエントリー層の受け皿を強化
国産カジュアルとともに、家庭用ワイン需要の大きな受け皿になっているのが、輸入デイリーワインだ。SWIはチリの「サンタ バイ サンタ カロリーナ」を2021年2月に大幅リニューアル。親しみやすさとリッチ感を高めて、前年比101％を目指す。
また、同年3月30日には、若年層やエントリーユーザーが好む、ほのかな甘口のドイツワイン「プリンツ ベア」を新発売し、エントリー層の受け皿を強化していく。
輸入プレミアム、スタンダードワインのブランド強化
家庭用ワインの中で、輸入プレミアムワイン、中価格帯のスタンダードワインも健闘している。SWIでは欧州ブランドを中心に、それぞれのブランドが持つ独自価値の訴求を図る。
さらに、ドイツの「マドンナ」、スペインの「フレシネ」など欧州各国の主要ブランドから近年特に伸びているオーガニックワインをそろえ、消費者に“いつも飲んでいるブランドのオーガニック”という、“選びやすさ”を提供する。
同社が取り扱う輸入オーガニックワインのうち、イタリア「タヴェルネッロ」のオーガニック「タヴェルネッロ オルガニコ」の人気が特に高い。家庭用オーガニックワインのランキングでは白カテゴリーで1位、赤は2位に入っている（出典：家庭用業態155チェーン合算POS合計金額20年1‐12月）。
同社は引き続き「タヴェルネッロ」ブランドの品ぞろえを強化して、「タヴェルネッロ オルガニコ」の育成を図り、オーガニックワイン全体の2021年の目標を前年比140％としている。
家飲みを楽しみ、外飲みでも良質体験を
2020年はコロナ禍により、これまでの日常は一変した。感染拡大を防ぐため、大人数で集まる宴会はもちろん、気軽に外食や旅行に行くことができなくなった。家でお酒を飲む「家飲み」が増えると同時に、飲食店は大きな打撃を受けている。
家飲みと飲食店での外飲み、それぞれを応援するため、SWIが2021年に実施する企画、提案が以下の2つだ。
「食卓で世界を旅しよう」キャンペーンの第3弾を実施
SWIでは、自由に外出できない状況だからこそ、ワインユーザーに喜んでもらえる提案をしたいと、2020年に実施して好評だった「食卓で世界を旅しよう」キャンペーンの第3弾を、2021年3月29日から実施する。
前回のキャンペーンには、多くのワインユーザーから応募があった。応募者からは、「ワインを飲んで世界を旅した気分」「家飲みを余儀なくされている中で、とても魅力的な商品」といった感想が寄せられたという。
外飲みならではの良質体験を提案
吉雄氏は「家庭での飲用も大事だが、ワインの間口を拡大するという点において、外飲みならではの良質な体験は不可欠」として、飲食店向けの新しい飲み方を提案した。
それが、スペインの「アンジュエール アイス」に冷凍レモン、氷を合わせた「バブレモ（バブリーレモンスパークリング）」という飲み方だ。
「アンジュエール アイス」の甘みはレモンとの相性が良く、氷を入れると約6.5％と飲みやすいアルコール度数になる。この「バブレモ」を、外飲みならではのちょっとぜいたくな新提案として、幅広い業態で展開する。例えば、これまではスパークリングの取り扱いがなかった業態にも飲用機会を創出し、接点拡大を図っていく。
