コラム

進化を続けるカベルネ・ソーヴィニヨンの名手「シルヴァー・オーク/トゥーミー・セラーズ」 ~カリフォルニアワイン産地 バーチャルツアー

カリフォルニアワイン協会(CWI)は、カリフォルニアワインについての知識を深めることを目的として、影響力のある若手ソムリエに現地のワイナリーを“バーチャル”で体験してもらう「カリフォルニアワイン産地 バーチャルツアー」を開催した。

ツアーは2020年11月19日・20日と同年12月3日・4日の2回に分けて実施され、ソムリエたちは、コンラッド東京(東京都港区)に設けられた会場から、ワイナリーを訪問した。

<関連記事>
将来有望な若手ソムリエが参加した、カリフォルニアワイン協会「カリフォルニアワイン産地バーチャルツアー」とは

今回は、そのバーチャルツアーから、カベルネ・ソーヴィニヨンの名手であるシルヴァー・オーク(Silver Oak)と、同ワイナリーがカベルネ・ソーヴィニヨン以外の品種を手掛ける新ブランドとして1999年に設立したトゥーミー・セラーズ(Twomey Cellars)の内容を紹介する。

シルヴァー・オーク/トゥーミー・セラーズ

バーチャルツアーには、ぶどう栽培・ワイン醸造部門の責任者であるネイト・ヴァイス氏と、インターナショナル・セールス・マネージャーのヴィヴィアン・ゲイ氏がガイドとして登場した。

ヴィヴィアン・ゲイ氏(写真上)はソノマの自宅から、ネイト・ヴァイス氏(写真下)はオークヴィル・ワイナリーのオフィスから参加

シルヴァー・オークの始まり

シルヴァー・オークが設立されたのは1972年のことだが、歴史はその前から始まっている。起業家だったレイ・ダンカン氏は、友人から「カリフォルニアに来てみろ」と声を掛けられ、1960年代後半、ナパ・バレーとソノマ・カウンティに土地を購入した。当時はワインづくりではなく、ぶどう栽培をするつもりだったという。ちなみに、ダンカン氏に声を掛けた友人も、1972年にナパ・バレーにてワイナリー、スポッツウッドを立ち上げている。

ワインづくりを始めるきっかけとなったのは、シルヴァー・オークの初代醸造家となるジャスティン・メイヤー氏との出会いだ。メイヤー氏は神職者としてワインをつくっていたが、女性と恋に落ちてその仕事を辞めざるを得なかった。そんな時、メイヤー氏は共通の友人を通じてダンカン氏と会い、「ワインをつくるのに私が必要だ」と伝えた。それがシルヴァー・オークの始まりだ。

レイ・ダンカン氏(写真右)とジャスティン・メイヤー氏(写真左)

「Life is Cabernet !(人生はカベルネだ!)」の言葉で知られるメイヤー氏は、設立当時から、手掛けるのはカベルネ・ソーヴィニヨンのみだと考えていた。1972年のナパ・バレーは、ワイナリーの数も20軒程度。みんな手探り状態だったが、メイヤー氏は、ナパ・バレーが最高のワイン産地であること、そこで育つ最高の品種がカベルネ・ソーヴィニヨンであることを確信していたのだ。

さらにメイヤー氏は、ヨーロッパのまねをしようとしていた他のワイナリーとは異なり、アメリカンオーク樽で熟成させることにこだわった。アメリカンオーク樽こそが、彼が求める品質や質感、エッセンスをワインに与えると信じていたからだ。シルヴァー・オークは現在、アメリカ国内で唯一、アメリカンオークの樽工房を所有するワイナリーとなっている。

トゥーミー・セラーズの始まり

1999年、シルヴァー・オークが他の品種の可能性を探るために立ち上げたのが、トゥーミー・セラーズだ。

きっかけとなったのは、フランスの名門シャトー・ペトリュスでワインづくりに関わっていたダニエル・バロン氏だ。後にシルヴァー・オークの2代目の醸造家となるバロン氏は、ボルドーでの経験を生かしたいとメイヤー氏を説得し、ナパ・バレーにあるソーダ・キャニオン・ランチのヴィンヤードでメルローの栽培をスタートさせた。栽培量が増えて質が高くなるにつれ、メルロー主体のワインをつくるブランドとして、トゥーミー・セラーズが誕生した。

2002年にはソノマ郡のロシアン・リバー・バレーでピノ・ノワールの栽培をスタート。2003年にはソーヴィニヨン・ブランの栽培を始めるなど、品種の可能性を広げてきた。

2012年には、シャトー・ペトリュスで44年間醸造に携わったジャン・クロード・ベルエ氏をコンサルタントとして迎えている。ベルエ氏について、ヴァイス氏は、「彼はとても直感的なワインメーカーであり、ぶどう栽培家であり、指導者だ。指示するだけのコンサルタントではなく、質問をして従業員を正しい方向に導こうとしてくれる」と語っている。

サステナブルへの取り組み

カリフォルニアのワインづくりにおいて、重要なキーワードとなっているのが、“サステナブル”だ。シルヴァー・オークも、サステナブル(持続可能)なワインづくりに力を入れている。

2020年4月には、アレキサンダー・バレーにあるシルヴァー・オークのワイナリーが、取得が非常に難しいLiving Building Challenge(LBC)認証を取得した。世界で25番目の認証取得であり、ワイナリーとしてだけではなく、製造業者としても初めての取得となる。

ヴァイス氏は、サステナビリティの3つの柱として、「経済的に成功して持続可能であること」「従業員との関わり方」「地球に優しいワインづくり」を挙げた。

アレキサンダー・バレーのワイナリーがオープンしたのは2017年だが、サステナビリティへの取り組みは、それよりもずっと前から始めていた。最初に取り組んだのがヴィンヤードで、また、2008年に再建したオークヴィルの施設では、きれいな空気や水を取り戻すことを目指した。

アレキサンダー・バレーのワイナリーでプロジェクト・マネージャーを務めたハーレー・ダンカン氏は、LBCで使用を禁止されている素材が含まれていないか、配管をつなぐテープといった細かい部分までチェックしたそうだ。

サステナビリティへの取り組みのうち、最も興味深いものとしてヴァイス氏が挙げたのが、水の使用だ。ヴィンヤードでは水を減らすことで、ぶどうの樹に適度なストレスを与え、それが良い結果につながったが、大量の水を使うワイナリーで水の使用を抑えることは、シルヴァー・オークにとって大きな挑戦となった。現在は、水を施設内でリサイクルして、何度も利用しているという。

ヴァイス氏は、「私たちができたことは、他のワイナリーでも、挑戦すればきっとより良くできるはずだ。グリーンビルディング(環境配慮型建物)のコンセプトにのっとり、ワイン産業を前進させたいと考えている」と語った。

ワイナリー&ヴィンヤード・ツアー

シルヴァー・オークとトゥーミー・セラーズのヴィンヤードの地図を見てほしい。

シルヴァー・オークのワイナリーとヴィンヤードは、ナパ・バレー(右下緑色の部分)とソノマ・カウンティのアレキサンダー・バレー(中央の黄色い部分)にある。トゥーミー・セラーズのワイナリーとヴィンヤードは、カリフォルニア州内からオレゴン州まで広範囲にある。

バーチャルツアーでは、主要なワイナリーとヴィンヤードが紹介された。

オークヴィル・ワイナリー

シルヴァー・オークは、ナパ・バレーとアレキサンダー・バレーに2つのワイナリーを所有している。ナパ・バレーのワイナリーは、シルヴァー・オークの始まりの地でもあるオークヴィルに位置する。以前の建物は2006年にゴミ箱からの出火で消失してしまい、現在の建物は2008年に再建されたものだ。

通常であれば、ツアー客に建物の前でトゥーミー・セラーズのソーヴィニヨン・ブランを味わってもらってから、ワイナリーの中を案内することになっているという。

入り口を入ってすぐ目の前にあるのが、1972年からのヴィンテージが保存されているライブラリーだ。シルヴァー・オークのワインは長期熟成に向いており、少なくとも20年は熟成できる。

シルヴァー・オークでは、ナパ・バレーとアレキサンダー・バレーの2種類のカベルネ・ソーヴィニヨンだけでワインをつくっている。

続いてはバレルルーム。シルヴァー・オークを語る上でのポイントの1つが、オーク樽だ。

背後の樽には2020年ヴィンテージのカベルネ・ソーヴィニヨンが入っている

ミズーリ州とアイオワ州には、アメリカン・ホワイト・オークの最良の森があり、シルヴァー・オークはミズーリ州にバレル・メーカーを所有している。アメリカンオーク樽は、ワインに若干のスパイシーさとほんのりとしたバニラ感を与え、タンニンを滑らかにするという。

ナパ・バレーのカベルネは、24カ月アメリカンオークの新樽で熟成させた後に、瓶内で2年半熟成させる。

また、シルヴァー・オークと言えば、給水塔だ。給水塔はワイナリーのアイコンにもなっており、シルヴァー・オークの全てのボトルに描かれている。

給水塔は、かつてはカリフォルニアの農村のあらゆるところにあり、貯水、給水に使われていた。オークヴィル・ワイナリーの敷地内にある給水塔は、現在ではその役割を終え、倉庫として使用されている。

トゥーミー・セラーズの拠点

トゥーミー・セラーズの拠点は4つある。1つは、ホームベースであるソノマ・カウンティのロシアン・リバー・バレー。もう1つは、オリジナルのワイナリーがあり、メルローを手掛けているナパ・バレーのカリストガ。そして新しく加わった、オレゴン州のダンディー・ヒルズとメンドシーノ・カウンティのアンダーソン・バレーだ。

今回のバーチャルツアーでは、アンダーソン・バレー、ロシアン・リバー・バレー、ダンディー・ヒルズが紹介された。

●アンダーソン・バレー

アンダーソン・バレーでは、2つのヴィンヤードをアシスタント・ワインメーカーのヴァネッサ・ハート氏が紹介してくれた。

アンダーソン・バレーにあるワイナリー

1つ目は、ベアマン・ベンド・ヴィンヤードだ。

アシスタント・ワインメーカーのヴァネッサ・ハート氏

ベアマン・ベンド・ヴィンヤードは、標高500フィート(約152.4m)の、なだらかな起伏を持つ丘陵にあり、南または南東を向いている。ずっと下りていくと、海抜の高さになる。海を隠すように西側にも東側にも尾根がそびえている。

アンダーソン・バレーの2つ目のヴィンヤードは、モニュメント・ツリー・ヴィンヤード。中央に立っているレッドウッド・ツリーが、名前の由来となっている。この樹は雷に何度も打たれており、オーナーの1人であるデヴィッド・ダンカン氏は、雷がヴィンヤードにエネルギーをもたらしていると信じているそうだ。このヴィンヤードも東西の尾根の合間にあり、起伏のあるなだらかな丘陵は北向きに位置している。

2つのヴィンヤードは1.5マイル(約2.4km)ほどしか離れていないが、ヴィンヤードの向きや土壌が全く異なっており、異なる個性の果実ができる。

●ロシアン・リバー・バレー

ロシアン・リバー・バレーのヒールズバーグには、トゥーミー・セラーズのフラッグシップワイナリーがある。この地のヴィンヤードとワイナリーについて、ワインメーカーのジャスティン・ヒラゴヤン氏が紹介してくれた。

ワインメーカーのジャスティン・ヒラゴヤン氏

トゥーミーのフラッグシップヴィンヤードとも呼べるのが、ラストストップ・ヴィンヤードだ。ロシアン・リバー・バレーAVAの内部に位置するグリーン・バレーAVAにあり、冷涼な気候と深い霧が、果実にフレッシュさやバランスをもたらしてくれる。細かい砂質土壌で水はけが良く、良質なピノ・ノワールの産地として高い評価を得ている。ヒラゴヤン氏がこの地を好む理由は、力強くリッチで、果実味が前面に出たぶどうができるからだという。

トゥーミー・セラーズでは、産地を際立たせる目的で樽を使用している。

樽は味に深みを出し、スパイスを与える。ここでは主にミディアムトーストの樽を使用しており、熟成時の新樽使用率は20~30%と控えめだ。エレガンスさとバランス、質感を重視して、樽がワインに影響を与え過ぎないようにしている。

●ダンディー・ヒルズ(オレゴン州)

2017年、より冷涼な場所を求めて、ダンカン家はカリフォルニア州の北に位置するオレゴン州に進出。オレゴン州でピノ・ノワールの産地として知られるダンディー・ヒルズに、新しいワイナリーを立ち上げた。ここからはアソシエイト・ワインメーカーのクリス・バーロー氏が紹介してくれた。

アソシエイト・ワインメーカーのクリス・バーロー氏

2020年2月にオープンしたテイスティングルームは、標高767フィート(約234m)の場所にある。

36エーカー(約15ha)ほどのプリンスヒル・ヴィンヤードは、オレゴンのパイオニアの1人である、ディック・イーラス氏がかつて本拠地としていた特別な場所だ。ブルゴーニュのピノ・ノワールと同じような品質のワインをつくるために、イーラス氏がたどり着いたのがダンディー・ヒルズだった。

イーラス氏のワイナリーやブランドは、2006年からサン・ミッシェル所有となっているが、プリンスヒル・ヴィンヤードは手元に残していたという。

シルヴァー・オーク/トゥーミー・セラーズを味わう5種のワイン

バーチャルツアーでは、ワイナリーやヴィンヤードの紹介後、シルヴァー・オークのシェフによるランチメニューと共に、トゥーミー・セラーズから3種、シルヴァー・オークから2種のワインが紹介された。

トゥーミー エステート ソーヴィニヨン ブラン 2018

ソーヴィニヨン・ブランは、醸造家が望むスタイルに左右されるが、トゥーミー・セラーズでは、ニュアンスや質感をつくり出すことを目指したという。

発酵後に澱引きをしないことで、クリーミーな質感と若干の重さが加わっている。35~40%に樽を使用し、他はステンレススチールのドラムやタンクを使用して4カ月間熟成する。全てにステンレススチールを使用すると、きりっとしたワインにはなるが、退屈なワインになってしまうため、程よく樽感を含めて仕上げている。

すっきりとした食事とよく合う、最高の夏ワインを目指した1本だ。

2018 TWOMEY SAUVIGNON BLANC, SONOMA & NAPA COUNTIES
アルコール度数:14.1%
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
参考小売価格(2017年ヴィンテージ):4500円(税別)

トゥーミー メルロ ナパ・ヴァレー2014

ナパ・バレーにある、ソーダ・キャニオン・ランチの単一畑のワイン。そこでは5種類のボルドー品種を育てている。

2014年のヴィンテージの特徴は、質の高いカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドして、メルローの比率を下げている点だ。コンサルタントのジャン・クロード・ベルエ氏は、品種のパーセンテージではなく、土地を表現することが大切だと考えている。

およそ80%を樽で熟成させるが、そのうち新樽の使用は30%と控えめだ。ステンレスタンクで熟成させた残りの20%が、このワインにフレッシュさや酸をもたらしている。

柔らかくてシルキーであり、ベルエ氏が重視している質感が味わえるワインだ。

2014 TWOMEY MERLOT, NAPA VALLEY
アルコール度数:14.4%
品種:メルロー79.7%、カベルネ・ソーヴィニヨン8.3%、カベルネ・フラン7.9%、プティ・ヴェルド4.1%
参考小売価格:1万780円(税込)

トゥーミー ロシアン・リヴァー・ヴァレー ピノ・ノワール 2016

飲み頃のワイン。ラスト・ストップ・ヴィンヤードのぶどうを65%使用している。他には、若干暖かい気候でぶどうが成熟しやすく、よりパワフルな果実となるウェスト・ピン・ヴィンヤードのぶどうを使用。オクシデンタル産のものも少し使用している。

ロシアン・リバー・バレー産のピノ・ノワールには、チェリーやコーラっぽさが感じられる。このワインはマッシュルームの風味があり、ロシアン・リバー・バレーのアーシーな個性を楽しむことができる。30%を全房発酵しており、若干のスパイシーさがある。フレンチオーク樽を100%使用して熟成しているが、新樽の使用率は28%に控えており、樽が主張し過ぎないようにした。とてもラブリーなピノ・ノワールだ。

2016 TWOMEY PINOT NOIR, RUSSIAN RIVER VALLEY
アルコール度数:13.7%
品種:ピノ・ノワール100%
参考小売価格:8690円(税込)

シルヴァー・オークの2つのカベルネ・ソーヴィニヨン

シルヴァー・オークのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ナパ・バレーとソノマのアレキサンダー・バレーの2カ所で栽培されている。ぶどうを育てている場所は違っても、手掛けているチームやワインづくりの哲学、アプローチは変わらない。

ただし、違いもある。ナパ・バレーではよりボルドーに近いアプローチをしており、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率は比較的低めだ。メルローをブレンドし、カベルネ・フランを加えることが多い。ヴィンテージによっては、プティ・ヴェルドやマルベックを加えている。

アレキサンダー・バレーでは、創業から40~50年の間、100%カベルネ・ソーヴィニヨンのワインをつくっていた。天候などに左右されて、結果が良い年もあればそうでもない年もあることから、10年ほど前に変更を決めた。なぜカベルネ・ソーヴィニヨンだけにこだわって、自分たちの限界を決めなくてはならないのかと思ったのだ。そこで他の品種とブレンドするようになった。ブレンドしたワインでも、アメリカでは75%以上使用している品種があれば、その品種のワインとしてラベルに表示できる。

また、ナパ・バレーとアレキサンダー・バレーとでは、樽の使用率も異なっている。ナパ・バレーのぶどうは、より柔軟でニュアンスを含ませることができるため、新樽の使用率は85~100%と高めだ。アレキサンダー・バレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは、アロマやストラクチャーの観点から見ると、よりデリケートなため、新樽はナパ・バレーの半分ほどにとどめている。

どちらも、目指しているのはテロワールの表現だ。

暖かいナパ・バレーでは、ワインはより強く丸くなる。カリフォルニアでは、カベルネ・ソーヴィニヨンは最も暑い8月に成熟するが、9月末から10月に成熟するのが望ましい。2013年は、非常に穏やかな夏となり、温度が急上昇せず収穫もスムーズだった。さらに干ばつにより実が小さくなり、凝縮感のあるワインをつくるのには完璧なコンディションとなった。

やや冷涼であまり暖かくないアレキサンダー・バレーでは、比較的重くない、酸が豊かなワインになる。鮮やかな赤い果実が感じられ、アーシーでハーブのようなカベルネ・ソーヴィニヨンの個性と心地良いタンニンが現れる。

●シルヴァー・オーク ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2013

2013 SILVER OAK CABERNET SAUVIGNON, NAPA VALLEY
アルコール度数:13.8%
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン95%、メルロー2%、カベルネ・フラン2%、マルベック1%
参考小売価格:2万1450円(税込)

●シルヴァー・オーク アレキサンダー・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2014

2014 SILVER OAK CABERNET SAUVIGNON, ALEXANDER VALLEY
アルコール度数:14.1%
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン97.7%、メルロー1.3%、プティ・ヴェルド0.5%、マルベック0.3%、カベルネ・フラン0.2%
参考小売価格:1万4080円(税込)

シェフによるペアリングの解説も

バーチャルツアーでは、シルヴァー・オークのシェフであるドミニク・オルシーニ氏のレシピによるランチとワインのペアリング体験も提供された。ワインのペアリングで大切なのは、料理の重さ、塩、酸とバランスを取ること。「ワインに合わせて塩やレモンの量を調節したり、オリーブオイルの代わりにバターを使用したりといった工夫が必要」との解説があった。

シェフのドミニク・オルシーニ氏

バーチャルツアーに参加した日本側のソムリエたちには、コンラッド東京の総料理長である水口雅司氏がオルシーニ氏のレシピを完全再現したものが提供された。

スターターとして提供されたのが、左下のツナ・タコスだ。タコスの具は、ライムと塩を加えたアボカドムースの上に、さいの目に切ったマグロとワカメを混ぜたものを載せている。タコスの皮には、ワンタンの皮を使っているという。

ペアリングワインは、「トゥーミー エステート ソーヴィニヨン ブラン 2018」。トロピカルなフルーツのフレーバー、マンゴーやココナッツの味わいがある。口中に広がるこのワインの豊かな酸に合わせるため、重さと味の構成を意識してメニューを考えたとのこと。ワンタンのカリっとした食感も、ワインの鮮やかな酸味に合わせることを意識した。

続いては写真中央の、マッシュルームのリゾット。米の代わりにファッロ(小麦の原種にあたる古代穀物)を使用し、ケールとパルメザンチーズを加えている。マッシュルームのうま味とワインの重さが合うようにつくられたリゾットだ。

ペアリングワインは、「トゥーミー ロシアン・リヴァー・ヴァレー ピノ・ノワール 2016」「トゥーミー メルロ ナパ・ヴァレー2014」の2本。ピノ・ノワールは軽めで、メルローはミディアムだ。これらのワインは、重たいステーキではなく、マッシュルームの重さで十分バランスが取れるという。

最後は写真右下、ゴーダチーズのクリームブリュレ。砂糖を使用したデザートではなく、カスタードにチーズが入っている。

ペアリングワインは、「シルヴァー・オーク ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2013」「シルヴァー・オーク アレキサンダー・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2014」の2本だ。

クラシックな骨格を持つナパ・バレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは重さがあり、重厚な料理と相性が良い。シルヴァー・オークのワインは、パルミジャーノ・レッジャーノなど、8カ月から1年間熟成させたチーズと合わせるのもおすすめだそうだ。

アレキサンダー・バレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ステーキと合わせられることが多いが、とても使い勝手が良く、ベジタリアンフードや焼いたサーモン、チキンにも合う。シェフによると「私が関わった中で、最も食べ物と相性が良いカベルネ・ソーヴィニヨン」とのこと。

参加者の森本美雪氏(コンラッド東京)は、シルヴァー・オークのワインを「ソムリエが何も言わなくても顧客に選ばれるワイン」と表現した。それほどの有名ワイナリーでありながら、人や環境を大切にする精神のもとでワインをつくり、産地やブレンド比率など新しい可能性に挑戦し続けている。今回のバーチャルツアーでは、そんなシルヴァー・オークの魅力を十分に感じられた。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ