メルシャンは2021年5月18日、2021年のシャトー・メルシャン戦略説明会を開催した。
同社マーケティング部長の山口明彦氏と、シャトー・メルシャンのゼネラル・マネージャーである安蔵光弘氏から、シャトー・メルシャンの事業計画、そして「日本を世界の銘醸地に」を合言葉にした取り組みについて発表があった。
今回は発表の中から、シャトー・メルシャンの事業計画についてお伝えする。
コロナ禍でのワイン市場
“コロナ禍”と呼ばれる状況になってから1年が過ぎたが、生活必需品ではないワインの市場は、コロナ前の状況と変わっている。
2020年のワイン市場は、推計で前年比90%。日本ワインを含む国内製造ワイン市場だけを見ると、前年と同程度に落ち着いているのに対して、輸入ワイン市場は前年比87%に落ち込んだ。
また、飲食店への休業や時短要請、外食の自粛などにより、業務用ワインは厳しい状態が続いている。一方で、家庭でワインを飲みたいという人は増えており、家庭でのワインの飲まれ方が少しずつ変化している。
コロナ禍でも好調だったシャトー・メルシャン
日本ワイン市場については、2020年はコロナ禍で停滞したが、シャトー・メルシャンは2020年の実績が前年比107%と、家庭用を中心に好調だった。
また、2019年にオープンした長野県の椀子(まりこ)ワイナリーは、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード 2020」で、日本で初めて世界第30位、ベストアジアに選ばれており、国内外に存在感を示した。
日本ワイン全体を盛り上げることが必要
シャトー・メルシャンがワインづくりの合言葉にしているのが、「日本を世界の銘醸地に」だ。「自分たちだけがいいワインをつくるのではなく、”日本ワイン全体を盛り上げる”ことが必要であると再確認した」と、山口氏は2020年を振り返る。
グローバルな情報発信を
ワイナリーに直接足を運ぶことが難しくなってしまったコロナ禍の中でも、シャトー・メルシャンではオンラインで消費者と積極的に交流を図ってきた。
例えば、ワイン業界において最も名声の高い資格であるMW(マスター・オブ・ワイン)の方々や世界的ジャーナリストたちへのオンラインマスタークラスを開催。栽培や醸造、マーケティングの最新情報を共有することで、日本ワインへの注目度を高めている。MWたちからは、日本ワイン全体についての質問もあり、関心の高さがうかがえたそうだ。「日本で面白いことが、起こっているみたいだね」という声がたくさん上がったという。
他に、山梨県の勝沼ワイナリーで開催している「勝沼ワイナリーフェスティバル」を、2020年は現地とオンラインをつないで実施した。消費者や同業者からは、「今年もやってほしい」「私たちも混ぜてよ」という声が上がっているという。
2021年も11月に開催を予定しており、参加ワイナリーを4社から10社に拡大し、勝沼全体の活性化を目指す。さらには、イギリスとつないで日本ワインを海外へ発信する予定だ。
日本ワインの価値向上を目指して、グローバルブランディングを進めるシャトー・メルシャン。今回の戦略説明会では、ゴールに向けた2つのトピックスとして「欧州系品種の挑戦」と「日本固有品種の挑戦」を挙げた。
欧州系品種の挑戦では、桔梗ヶ原に隣接する長野県塩尻市の新産地「片丘」について、日本固有品種の挑戦では、世界に通用する日本最高峰の品種「甲州」について発表があった。
詳細は、次回以降に紹介していきたい。