コラム

世界でも評価される甲州の“きいろの香り”を極めたアイコンワインを発売 ~シャトー・メルシャン 2021年戦略説明会③

メルシャンは2021年5月18日、2021年のシャトー・メルシャン戦略説明会を開催した。

同社マーケティング部長の山口明彦氏と、シャトー・メルシャンのゼネラル・マネージャーである安蔵光弘氏により、シャトー・メルシャンの事業計画、そして「日本を世界の銘醸地に」を合言葉にした取り組みについて発表された。

今回は、安蔵氏が語った、日本を世界の銘醸地にするためにシャトー・メルシャンが取り組んでいる日本固有品種「甲州」の挑戦をまとめる。

シャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャーの安蔵光弘氏

シャトー・メルシャンと甲州の歴史

シャトー・メルシャンでは、1975年から甲州の多様性について追求しており、フレッシュでフルーティーなドイツワインのようなスタイルから辛口まで、幅広い甲州ワインを生み出してきた。

1984年には「甲州シュール・リー 1983」を発売している。発酵後も澱(おり)を引かず、澱の上にワインを春まで貯蔵するシュール・リー製法を甲州に用いる方法は、現在では多くのワイナリーが取り入れているが、周囲のワイナリーに広めたのがシャトー・メルシャンだといわれている。

世界からも高い評価

シャトー・メルシャンの甲州ワインは、世界からも高い評価を受けている。

2019年に上海で行われた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ チャイナ(International Wine Challenge China:IWC China)」では、“きいろの香り”が楽しめる「シャトー・メルシャン 岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2017」が、日本の白ワイントロフィーと金賞を受賞している。

甲州を使ったオレンジワインの「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ 2017」も、同IWC China 2019で金賞を受賞。2020年にロンドンで開かれた「ソムリエ・ワイン・アワード(Sommelier Wine Awards)」では、日本ワイン初の金賞を受賞している。

さらに、2021年にロンドンで行われた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」では、2019年ヴィンテージが日本ワインで唯一となる金賞を受賞。オレンジワインのカテゴリーにおいて、その世界的な産地として有名なジョージア以外の産地で金賞を受賞するのは、同コンクール史上初の快挙だ。

甲州の最高クラス「岩出甲州 オルトゥム」を発売

シャトー・メルシャンが展開する3つのポートフォリオの中で、世界のトップクラスと並べる日本を代表するシリーズが「アイコン」だ。

そのアイコンシリーズに、甲州ワインが仲間入りすることとなった。それが、「岩出甲州 オルトゥム」だ。

「岩出甲州 オルトゥム」には、「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ」を生み出す畑から特に優れた区画のぶどうを使用。表面は粘土だが、岩出という地名の通り、掘ると岩がゴロゴロ出る土壌だ。笛吹川が近いことも、香りの強い甲州を生んでいると考えられている。

スダチやユズなどの和かんきつの香りや白い花のニュアンスとともに、心地よい酸やミネラル感が口中で長い余韻となって感じられるそうだ。

2021年9月下旬に、シャトー・メルシャンの各ワイナリーおよび、「シャトー・メルシャン プレステージ・パスポート2021-2022」会員限定で発売される予定だ(プレステージ・パスポートの申し込みは「DRINX」から)。

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受け継がれる名前

「キュヴェ・ウエノ」は、1992年から勝沼ワイナリーの工場長を務めた上野昇氏が手掛けているぶどう畑「上野園」のぶどうを使用していることから付けられた名前だ。「オルトゥム」は「上昇」という意味のラテン語で、新しいアイコンワインの名称にも上野昇氏へのリスペクトが受け継がれている。

次回は、シャトー・メルシャンの「日本固有品種の挑戦」として、新しい産地である「山形県鶴岡地区」についてまとめる。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ