コラム

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC) 2022」結果発表! 今年はサプライズ受賞も

今回で39回目を迎えた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge:IWC)」は、世界で最も権威のあるコンペティション(審査会)の1つとされている。

先入観をなくして公平を期すために、産地や名称を伏せたブラインドテイスティング方式で審査される。賞が決定するまでに、最低でも8人の審査員によってテイスティングが行われる。得点が95~100点のワインに金賞、90~94点のワインに銀賞が与えられる。

2022年5月17日に結果が発表されたIWC 2022の選考結果を、3回にわたって紹介する。

今年も圧倒的強さを見せつけたフランス

今回のコンペティションでは、316銘柄が金賞、1730銘柄が銀賞を受賞した。その中で、圧倒的な受賞数を誇ったのがフランスだ。

フランスワインは74銘柄が金賞を、367銘柄が銀賞を獲得した。そのうち、シャンパーニュ地方だけで29銘柄が金賞、107銘柄が銀賞を受賞している。歴史あるシャンパーニュメゾンのパイパー・エドシックは、3銘柄が金賞、4銘柄が銀賞を受賞した。続いてブルゴーニュ地方は20銘柄が金賞、66銘柄が銀賞を受賞している。

フランスに次いで金賞が多かったのは、オーストラリア(金54、銀246)だ。続いて、スペイン(金47、銀212)、ポルトガル(金43、銀162)、ニュージーランド(金17、銀77)、イタリア(金13、銀144)、南アフリカ(金13、銀83)という結果となった。

最高得点はスペイン! インドが初金賞の快挙も

今回、最高得点の98ポイントを獲得したのは、スペインの「ボデガス・トラディシオン オロロソ トラディシオン V.O.R.S.(Bodegas Tradicion Oloroso Tradicion VORS)」だ。昨年の最高得点は97点で、アルベール・ビショーとパイパー・エドシックが手掛けたフランスワインだったが、今回はスペインのシェリー酒がこの栄誉を獲得した。

また、主要6品種に対して、金賞の中からカテゴリーごとの優れた銘柄にトロフィーが授与されている。今年はインターナショナル・グルナッシュ・トロフィーに、オーストラリアのPinnacle Drinksが手掛ける「The Ethereal One Fleurieu Grenache 2020」が選ばれた。オーストラリアのワインがこのトロフィーを獲得するのは初めてとなる。

インターナショナル・シラー・トロフィーを獲得したのは、フランスのドゥラス・フレールが手掛ける「レ・ベサール 2019(Les Bessards 2019)」。フランスがこのトロフィーを獲得するのは2014年以来だ。フランスは他にも、「オスピス・ド・ボーヌ クロ・ド・ラ・ロッシュ キュヴェ・シロ・ショードロン 2020(Clos de la Roche Grand Cru Cuvée Cyrot Chaudron Hospices de Beaune, 2020)」が、インターナショナル・ピノ・ノワール・トロフィーを獲得。フランスはこの賞を受けるのは7年連続となっている。

インターナショナル・シャルドネ・トロフィーは、トリニティ・ヒルの「ギムレット・グラヴェルズ シャルドネ 2020(Gimblett Gravels Chardonnay, 2020)」、インターナショナル・ソーヴィニヨン・ブラン・トロフィーは、イーランズ・エステートの「シングル・ブロック ソーヴィニヨン・ブラン 2021(Yealands Estate Single Block S1 Sauvignon Blanc, 2021)」が獲得し、ニュージーランドが2冠に輝いた。

さらに今大会では、インドが躍進している。スラ・ヴィンヤーズが手掛けたスパークリングロゼワイン「スラ ブリュット トロピカル クレマン・ド・ナシク, NV(Sula Brut Tropicale Cremant De Nashik, NV)」が、インドに初めての金賞をもたらしている。インドは2015年に銀賞を受賞して以来の高評価ワインとなる。

金賞ならず、今年の日本ワインの結果は?

2021年は銀賞13銘柄、金賞1銘柄を受賞した日本ワイン。2022年は、15銘柄が90点以上を獲得して銀賞を受賞した。受賞数は増えたが、金賞受賞(95点以上)のワインはない結果となった。

【受賞した日本ワイン一覧】
・シャトー・メルシャン「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 2019」(長野県)
・シャトー・メルシャン「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ 2020」(山梨県)
・シャトー・メルシャン「シャトー・メルシャン 岩崎甲州 2020」(山梨県)
・MGVs(マグヴィス)ワイナリー「K131 勝沼町西田 2020」(山梨県)
・MGVs(マグヴィス)ワイナリー「K138 勝沼町 2018 POSH」(山梨県)
・サントリー「ジャパンプレミアム 高山村産シャルドネ2020」(長野県)
・サントリー「登美の丘ワイナリー 登美 赤 2016」(山梨県)
・サンクゼール「サンクゼールシャルドネ2019」(長野県)
・盛田甲州ワイナリー「グラン・シャンモリ 勝沼甲州シュール・リー 2021」(山梨県)
・白百合醸造「ロリアン 甲州樽発酵2020」(山梨県)
・高畠ワイナリー「2016 高畠醗泡 プリデムース シャルドネ」(山形県)
・広島三次ワイナリー「TOMOÉシャルドネ待月2020」(広島県)
・マンズワイン「ソラリス 古酒 甲州 2008」(山梨県)
・三和酒類「安心院スパークリングワイン 2020」(大分県)
・ヴィラデストワイナリー「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 2020」(長野県)

地域で見ると、山梨県が8銘柄、長野県が4銘柄、広島県と大分県、山形県がそれぞれ1銘柄ずつ獲得した結果だ。それぞれのワインの販売状況については、次回の記事で紹介する。

<関連リンク>
インターナショナル・ワイン・チャレンジ公式サイト

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ